3.1 気候変動影響への対応「SBT1.5C」目標・世界最高水準のエネルギーシステムを目指す

「SBT1.5C」目標・世界最高水準のエネルギーシステムを目指す

キリングループはGHG中期削減目標として2020年11月に国際的なイニシアチブであるSBTイニシアチブ(SBTi)の新基準「SBT1.5℃」目標の認定を取得しました。「SBT1.5℃」目標は、地球の気候変動を不可逆的にしないために設定されたものであり、世界全体の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑えるための科学的な根拠に基づいた目標です。
キリングループは、2017年に日本の食品会社として初めて旧基準である「SBT2℃」目標の承認を取得していましが、今回は日本の食品会社として初めて「SBT2℃」目標から「SBT1.5℃」目標へのアップグレードを行ったものです。
目標達成には大規模な投資が必要ですが、キリングループでは、グループ全体での省エネ投資から得られるエネルギーコストの低減効果を原資として再生可能エネルギーを導入することで、グループ全体では中長期的に収益中立となるような気候変動対策を目指します。

  • GHG削減施策イメージの図

製造工程でのヒートポンプの活用

キリンビールの5工場では、2019年から排水処理場にヒートポンプ・システムを導入し、GHG排出量をキリンビール全体の排出量の前年比2%(約3,400 t)削減しています。この取り組みで得た知見は、早期にグループ各社に展開し、効果を最大化します。キリンビールでは、これまでも世界のビール業界をリードする技術力によって、1990年~2015年までの25年間でGHG排出量を約70%も減らしてきました。現在キリンビールはキリングループのGHG排出量削減目標(Scope1+2で2030年50%削減(2019年比))の達成に向けて、一層の技術革新に挑戦しています。
この解決策として、キリンビールが目指しているのが「化石燃料から電力へのエネルギーシフト」です。現在、ビール工場ではエネルギー源として「電力」と「化石燃料」を使用しています。このうち、GHGの排出源の大部分は「化石燃料」、つまり加熱に使うエネルギーです。このような状況で、GHGを削減するためには、エネルギー効率を高めてその使用量を減らし、エネルギーミックスを「電力」にシフトし、その電力に再生可能エネルギーでつくられた電力を活用することが最も効果的と考えています。

  • ヒートポンプの仕組みの図

GHG削減の鍵となる技術の1つが「ヒートポンプ」です。ヒートポンプ・システムを導入することで、省エネルギーと電化を両立させることができます。しかし、単純な設備の導入で成果を生むことはできません。導入の前段で製造プロセスにおけるすべての熱の流れを解析し、最適化する高度な設計が不可欠です。キリングループには高いエンジニアリング技術が蓄積されており、キリンビールではその経験を活用して世界で最もGHG排出量の少ない生産システムの実現を目指しています。
ヒートポンプは、排水処理場から導入を開始しています。排水処理工程では微生物で排水を処理しており、微生物の活性を維持するために排水温を一定温度に保つ必要があります。従来、冬季の水温が下がる時期には加温に蒸気を用いていましたが、微生物処理後には温かい状態で放流していました。ヒートポンプの導入により、放流時に捨てていた熱を回収し再利用して加温できるようになりました。本取り組みにより、蒸気使用が不要となり、GHG排出量削減につながっています。今後は、洗浄や殺菌などの他工程にもヒートポンプの活用を展開します。世界最高水準のエネルギーシステムの実現に向けて、キリングループは技術力を強みに挑戦を続けていきます。