製造

製造工程におけるGHG削減の取り組み

キリンビールでは、世界のビール業界をリードする技術力と数々の先進的な施策によって、1990年~2015年までの25年間でGHG排出量を約70%も減らしてきました。
さらに、現在キリンビールはキリングループのGHG排出量削減目標(Scope1+2で2030年30%削減(2015年比))の達成に向けて、一層の技術革新に挑戦しています。
この解決策として、キリンビールが目指しているのが「化石燃料から電力へのエネルギーシフト」です。現在、ビール工場ではエネルギー源として「電力」と「化石燃料」を使用しています。このうち、GHGの排出源の大部分は「化石燃料」、つまり加熱に使うエネルギーです。このような状況で、GHGを削減するためには、エネルギー効率を高めてその使用量を減らし、さらにエネルギーミックスを「電力」にシフトし、そのうえで再生可能エネルギーでつくられた電力を活用することが最も効果的と考えています。GHG削減の鍵となる技術が「ヒートポンプ」です。ヒートポンプ・システムを導入することで、省エネルギーと電化を両立させることができます。しかし、単純な設備の導入で成果を生むことはできません。導入の前段で製造プロセスにおけるすべての熱の流れを解析し、最適化する高度な設計が不可欠です。キリングループには高いエンジニアリング技術が蓄積されており、キリンビールではその経験を活用して世界で最もGHG排出量の少ない生産システムの実現を目指しています。この取り組みにより2030年以前にGHG排出量削減目標を達成できる見込みで、同時に年間10億円規模のエネルギーコストの削減が達成可能となります。
2019年は排水処理場へヒートポンプ・システムを導入し、国内5工場で稼働を開始しました。ビール製造の各工程から発生する排水は排水処理工程を経て工場外へ放流されます。この排水処理工程では微生物で排水を処理しており、微生物の活性を維持するために排水温を一定温度に保つ必要があります。従来、冬季の水温が下がる時期には加温に蒸気を用いていましたが、微生物処理後には温かい状態で放流していました。ヒートポンプの導入により、放流時に捨てていた熱を回収し再利用して加温できるようになりました。本取り組みにより、蒸気使用が不要となり、年間で約2.0%程度のGHG排出量削減につながる見込みです。
今後は、洗浄や殺菌などの他工程にもヒートポンプの活用を展開します。
世界最高水準のエネルギーシステムの実現に向けて、キリンビールは技術力を強みに挑戦を続けていきます。

GHG削減施策イメージ

ヒートポンプの仕組み

燃料転換とコージェネレーション

ビール工場の場合、使用する燃料のかなりの部分が蒸気を作るボイラーに用いられています。現在では重油よりCO2排出量が少ない天然ガスへの転換を行い、キリンビールおよびキリンビバレッジのすべての工場で燃料転換が完了しています。さらに小型ボイラーの導入により、ボイラーの効率的な運転を行っています。熱電供給できるコージェネレーションシステムを導入し、工場の熱と電気の一部を賄っています。

冷却システム

キリンビールでは、大きな温度差の冷却を行う工程において段階的に冷却を行うカスケード冷却システムの導入や運転改善などにより、冷凍システムの効率を改善し、省エネルギーに取り組んでいます。

排水バイオガス

ビール工場では、製造工程から発生する排水を浄化するために嫌気処理設備を導入しています。嫌気処理では、従来の好気処理のように通気のための電力が不要となるだけではなく、嫌気性微生物による処理の過程で副生成物としてメタンを主成分とするバイオガスが発生するため、これをバイオガスボイラーや、コージェネレーションシステムなどに活用できます。バイオガスは、モルトなどの植物性原料由来による再生可能エネルギーであり、CO2フリーの燃料です。

ミャンマー・ブルワリーの高効率生産設備建設

急速に増大する需要に応えていくために、ミャンマー・ブルワリーでは製造・充填設備の大規模な増設を行い、2018年初頭に10万kLの高効率ラインが稼働を開始しました。新設備の全体設計から機器の選択、設置、チューニングにおいて、グループ外の食品メーカーなどからも高い評価を得てきたキリンエンジニアリング社とキリンホールディングスから出向しているエンジニアの経験と高い技術を活用し、投資効果の最大化を目指すミャンマー・ブルワリーを支援しています。
ミャンマーでは急速に経済が発展しており、今後のエネルギー需要のひっ迫が懸念されています。
このような背景を受け、日本政府の「二国間クレジット制度資金援助事業」を活用して、国内事業で実績のある最先端の省エネ設備を導入することで、生産工程でのエネルギー消費を抑えています。ミャンマーの経済成長と環境負荷低減の両方に寄与しながら、キリングループはミャンマーでの持続的な成長を目指しています。

ミャンマー・ブルワリーに導入した省エネ設備の例