生産地の水資源保全

紅茶農園内の水源地保全活動

2017年に実施したバリューチェーン上流の水リスク調査や2019年に実施したシナリオ分析では、気候変動による原料農産物生産地における水ストレスや洪水リスクが将来的に増大することが明らかとなっています。しかし、バリューチェーン上流の水資源問題への対応は容易ではありません。そこで、キリングループでは持続可能な農園認証取得支援を通じて現地の紅茶農園やNGOとも強いパートナーシップを築いているスリランカから、この問題の対応を開始することにしました。
高地にあるスリランカの紅茶農園では、急峻な斜面に茶の木が植えられている場所がたくさんあります。そのような場所では、雨が降っても雨水は土壌に浸透せずに斜面を流れ落ちてしまうため、原生林が残っている山と比べると涵養機能は高くないといわれています。しかし、地層などの条件が良いところでは、山頂付近や紅茶農園に降った雨水が地中に浸透し、紅茶農園の一角でたくさんの泉として湧き出ている場所があります。このような場所のことをマイクロ・ウォーターシェッドと呼びます。紅茶農園にあるマイクロ・ウォーターシェッドはスリランカの中心部の高地にあり、ほとんどの場合は沿岸部の都市に流れる河川の源流になっているために、面積はわずかですが貴重な水源地となっています。今回の取り組みでは、認証取得支援を行った紅茶農園から5カ所のマイクロ・ウォーターシェッドを選定して、他の目的に使用されないように柵で囲んで保全する予定です。また、単一栽培の紅茶農園に植生の多様性を与える目的で、その地域固有の在来種の木を周りに植林します。これは、集中豪雨などの時に山の斜面から流出した土砂が水源地に流れ込まないようにする役割も果たします。

  • 水源地保全数目標5カ所 3カ所

    2019年末現在

  • マイクロ・ウォーターシェッドの仕組み

  • 柵で囲んだマイクロ・ウォーターシェッド

  • 紅茶農園内の小川

  • 急斜面に植えられている茶の木

水を大切にする教育プログラム

スリランカの紅茶大農園は、イギリス統治時代のプランテーションの流れをくむため、今でも広大な茶園の中に茶栽培と関係のない人も多く住んでいます。彼らは、伝統的に茶畑として使っていない空き地を自分たちの生活のために利用することが認められてきたため、マイクロ・ウォーターシェッドについてもそれが水源地であるという認識を持つことなく、野菜畑や牧草地に転用したり、薪を取るために周りの木を伐採したりする例が多く見られます。そのため、単に周りを柵で囲っただけでは水源地を保全することはできず、そこが守るべき水源地であることを住民に教育することが必要です。今回の取り組みでは、対象となる5カ所の水源地の周辺に住む住民、約15,000人に対して、水の大切さやマイクロ・ウォーターシェッドがどのような機能を持っているかなどを教える教育プログラムを実施していく予定です。さらに一部の農園では、茶摘みさんの保育所や小学校のプログラムの中に組み込むなどの工夫もしています。将来的には、他の原料生産地域の水リスクに関する支援も検討していく予定にしています。

  • 水の大切さを学ぶ教育対象住民数目標15,000人(2020年) 150人

    2019年末現在

節水型農業への貢献

キリンが植物大量増殖技術の実用化に向けて開発した袋培養型技術は、節水型農業への応用が期待されます。
樹脂フィルム製の袋型培養槽は、小型の袋の内部で植物の生育に必要な養分を含んだ溶液に通気をしながら植物を増殖させるため、土壌栽培よりも水を有効利用することが可能です。そのため、例えば乾燥地帯での栽培へ応用できる可能性があります。今後も、様々な社会課題を解決する技術として、植物大量増殖技術の応用に挑戦していきます。