ブドウ畑

良質で広大な草原として生態系を育むブドウ畑

自然には、人の手がかけられてるからこそ守られていく自然があり、その代表例が草原です。130年前には日本国土の30%を占めていたという草原ですが、今は国土の1%にまで減少しているといわれています。しかし、単位面積あたりの絶滅危惧植物の割合が極めて高く(右図参照)、生物多様性を保全するうえで貴重な役割を果たしています。

農研機構の研究員を招いた本格的な生態系調査で、長野県上田市にあるシャトー・メルシャン椀子(マリコ)ヴィンヤードで、環境省のレッドデータブックに載る絶滅危惧種を含む昆虫168種、植物288種を確認しました。山梨県勝沼町にある城の平ヴィンヤード でも絶滅危惧種を含む多くの希少種が見つかっています。

下草を生やす草生栽培のブドウ畑では、適切な下草刈りにより、畑が良質で広大な草原として機能し、繁殖力の強い植物だけではなく、在来種や希少種も生息することができるのです。2019年からは草生栽培がブドウそのものに与える影響についても調査するために、畑の中のクモや土壌生物、鳥などの予備調査も開始しました。

「日本ワイン」市場の拡大を受けて、日本初の民間ワイン会社「大日本山梨葡萄酒会社」をルーツに持つメルシャンは、自社管理ブドウ畑を拡大していくことにしています。日本ワインのために遊休荒廃地をブドウ畑に転換することは、事業の拡大に寄与するだけではなく、貴重な草原を創出し、豊かな里地里山の環境を広げ、守ることにつながるといえます。

  • 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
  • ブドウ種

  • シャトー・メルシャン椀子ワイナリー

日本の草原面積の推移

  • 日本の草原面積の推移の図

    林野面積累年統計、農林省統計表、農林水産省統計表より集計

単位面積当たりの絶滅危惧種数

  • 単位面積当たりの絶滅危惧種数の図

    1haあたりの絶滅危惧植物
    西日本草原研究会(2007)より

遊休荒廃地からブドウ畑に転換する過程の調査

山梨県甲州市の天狗沢ヴィンヤードでは、遊休荒廃地から、垣根のブドウ畑になるまでの生態系の変化を調べる世界でも珍しい共同研究が、農研機構とキリングループとで行われています。2016年にまだ遊休荒廃地であった天狗沢ヴィンヤードでは、鹿の食害のために極めて僅かな昆虫や植物しか見つかりませんでした。しかし、2017年に柵で囲まれ開墾されて以降、ブドウ畑らしい景色に変わっていくにつれ、生態系が豊かになっていく過程が見えてきています。昆虫の調査では蝶を指標として使っていますが、2018年には13種だったものが、2019年には16種までに一気に増えています。今後も数年に渡って継続して調査を行い、遊休荒廃地を垣根栽培・草生栽培のブドウ畑にしていくことが、生態系を豊かにするという仮説の検証を進めていきます。

見つかった希少種

椀子ヴィンヤードの生態系調査で発見された希少な生きもの

  • ベニモンマダラ:環境省ならびに長野県レッドリストの準絶滅危惧種

  • クララ:環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠA類(長野県の絶滅危惧ⅠB類)であるオオルリシジミの唯一の食草。

  • ユウスゲ:長野県レッドリストの準絶滅危惧種

  • ウラギンスジヒョウモン:環境省レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類。長野県レッドリストの準絶滅危惧種

  • メハジキ:長野県レッドリストの準絶滅危惧種

  • スズサイコ:環境省ならびに長野県レッドリストの準絶滅危惧種

城の平ヴィンヤードの生態系調査で発見された希少な植物

  • キキョウ:環境省レッドリストのの絶滅危惧種Ⅱ種、山梨県レッド
    リストの準絶滅危惧(NT)

  • ギンラン:環境省レッドリストのの絶滅危惧種Ⅱ種、山梨県レッド
    リストの絶滅危惧Ⅱ類(VU)

天狗沢ヴィンヤードの転換過程

山梨県甲州市の天狗沢ヴィンヤードでは、遊休荒廃地から、垣根のブドウ畑になるまでの生態系の変化を調べる世界でも珍しい共同研究が、農研機構とキリングループとで行われています。2016年にまだ遊休荒廃地であった天狗沢ヴィンヤードでは、鹿の食害のために極めて僅かな昆虫や植物しか見つかりませんでした。しかし、2017年に柵で囲まれ開墾されて以降、ブドウ畑らしい景色に変わっていくにつれ、生態系が豊かになっていく過程が見えてきています。昆虫の調査では蝶を指標として使っていますが、2018年には13種だったものが、2019年には16種までに一気に増えています。今後も数年に渡って継続して調査を行い、遊休荒廃地を垣根栽培・草生栽培のブドウ畑にしていくことが、生態系を豊かにするという仮説の検証を進めていきます。

植生再生活動

2016年からは、専門家の指導のもと、椀子ヴィンヤードで従業員参加による希少種・在来種の再生活動を開始し、すでに在来種の定着を確認しています。2019年には、花の咲く在来種も定着し、秋にはお花畑のようになっていました。
さらに、国際的NGOアースウォッチ・ジャパンとそのボランティアの方々と共にクララの植生再生活動も始めました。クララは国レベルの希少種ではありませんが、絶滅危惧ⅠA類(CR)の蝶であるオオルリシジミの唯一の食草です。ボランティアの皆さんにクララの挿し穂を自宅に持ち帰り育てていただいて、最終的には椀子ヴィンヤードに植える予定です。

  • 希少種・在来種再生活動

  • 花の咲く在来種が定着

  • クララ再生活動