気候変動の克服「SBT1.5C」目標・世界最高水準のエネルギーシステムを目指す

「SBT1.5℃」目標達成のロードマップ策定と「SBTネットゼロ」目標の認定へ

キリングループはGHG中期削減目標として2017年に国際的なSBTイニシアチブ(SBTi)の「SBT2℃」目標の承認を取得した後、2020年11月に新基準「SBT1.5℃」目標の承認を取得しました。
2021年は「SBT1.5℃」目標達成に向けた2030年までのロードマップを策定し取り組みを開始しています。2022年7月には世界の食品企業で初めて「SBTネットゼロ」認定を取得しました。Scope1とScope2の削減には、「省エネルギー推進」「再生可能エネルギー拡大」「エネルギー転換」の3つのアプローチをとることにしています。2030年までは、省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの拡大を中心にGHG排出量の削減を進めます。2030年以降、2050年のネットゼロの達成に向けては、これらに加えて、蒸気製造工程の燃焼燃料を化石燃料からGHGを排出しない水素などへのエネルギー転換を進める必要があると考えています。
目標達成には大規模な投資が必要ですが、キリングループでは、グループ全体での省エネ投資から得られるエネルギーコストの低減効果を原資として再生可能エネルギーを導入することで、グループ全体ではSBTi目標年度の2030年までは損益中立となるような気候変動対策を目指します。本ロードマップは、ICP(Internal Carbon Pricing)を考慮せず損益中立が実現可能として策定していますが、ICPを考慮することで加速させていく予定です。
Scope3の削減については、「GHGプロトコル」で定めた15のカテゴリーのうち、原料・資材の製造に伴う排出であるカテゴリー1が約60%で最も多くを占めており、削減のための重要カテゴリーとして、「自社主体の削減」と「取引先の削減促進」という2つのアプローチを並行して取り、目標を達成していきます。

  • 図:GHG削減施策イメージ

製造工程でのヒートポンプの活用

キリングループが目指しているのは、「化石燃料から電力へのエネルギーシフト」です。現在、工場ではエネルギー源として「電力」と「化石燃料」を使用しています。このうち、加熱に使う「化石燃料」が最大のGHG排出源となっています。このような状況でGHGを削減するには、エネルギー効率を高めその使用量を減らし、エネルギーミックスを「化石燃料」から「電力」にシフトした上で、再生可能エネルギーでつくられた電力を活用することが最も効果的だと考えています。
キリンビールでは、1990年~2015年までの25年間でGHG排出量を約70%も減らしてきました。その技術力を生かし、Scope1とScope2の合計で2030年50%削減(2019年比)という目標の達成に向けて、一層の技術革新に挑戦しています。鍵となる技術の1つが「ヒートポンプ」です。2019年からキリンビールの5工場の排水処理場にヒートポンプ・システムを導入し、キリンビール全体の排出量の前年比2%(約3,400t)のGHG排出量を削減しています。省エネルギーと電化を両立させるためには、導入の前段で製造プロセスにおける全ての熱の流れを解析し、最適化する高度な設計など高いエンジニアリング技術が不可欠です。蓄積された知見は、早期にグループ各社に展開し、効果を最大化します。2020年から信州ビバレッジの製造ライン、2022年3月からキリンビール岡山工場の製造工程でもヒートポンプの活用を拡大しています。信州ビバレッジでは、ボトル・キャップのリンス水製造工程において直接利用が難しい排熱を、ヒートポンプユニットを介して再度熱利用することで、年間約970tのGHG排出量を削減しています。キリンビールの岡山工場では缶の温水殺菌装置における装置内の排熱や空気中の熱を再利用することで年間約180tのGHG排出量を削減しています。世界最高水準のエネルギーシステムの実現に向けて、キリングループは技術力を強みに挑戦を続けていきます。

  • 図:ヒートポンプの仕組み

  • 図:信州ビバレッジの製造ライン

  • 信州ビバレッジのヒートポンプ

※ 上記情報は「キリングループ環境報告書2022」の開示内容を転載したものであり2022年6月末現在の情報です。