トップメッセージ

トップメッセージ

  • キリンホールディングス株式会社
    代表取締役社長
    磯崎 功典

環境経営でリーダーシップを発揮し続け、
「環境立国」に貢献します

はじめに、このたびの新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、罹患された皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、日々感染抑制に努力されている政府、自治体の皆様、感染者の診断・治療に日夜尽力されている医療関係者の皆様に深く敬意を表します。当社が実施している「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD)の提言に基づくシナリオ分析では、地球温暖化によって感染症に晒されるリスク人口が増える可能性が高いことがわかってきています。キリンが発見したプラズマ乳酸菌は、日本で初めて「健康な人の免疫機能の維持をサポート」する機能性表示食品として消費者庁に昨年届出受理されました。原料である農産物や水資源への気候変動による影響に備えるだけではなく、発酵・バイオの先進技術を活用することで健康リスクといった社会課題の解決と事業の成長の両立につなげていきたいと考えています。キリングループは昨年2月、環境についての長期戦略を「キリングループ環境ビジョン2050」に改定し、目指す姿を従来の「ネガティブインパクトの最小化」から「ポジティブインパクトの創出」へと大きく舵をきりました。優先課題である「気候変動」「容器包装」「生物資源」「水資源」という4つの領域で、実効性のある取り組みを進めています。「気候変動」では、同年11月に電力の再生可能エネルギー100%を目指すイニシアチブ「RE100」に加盟し、12月にはグループのGHG中期排出量削減目標で「SBTi」の新基準「SBT1.5℃」目標の認定を取得しました。また、10月にTCFDから刊行されましたシナリオ分析ガイダンスの策定に際しては、日本企業として唯一、また酒類企業としても唯一、世界15社の1社としてインタビューで意見を述べさせていただきました。「容器包装」では、PETボトルのサーキュラーエコノミー確立のため、三菱ケミカル社とケミカルリサイクル実用化の共同プロジェクトを昨年立ち上げました。また本年は、廃棄プラスチックの問題解決にグローバルで取り組む非営利団体「Alliance to End PlasticWaste」に、日本の食品企業で初めて参画しました。「生物資源」では昨年国内飲料事業で紙容器をFSC®認証紙使用率100%に転換し、本年2月からは「水資源」も含めた自然資本の利用についての科学的な目標設定のアプローチを開発するグローバル組織「Science Based Targets Network」のコーポレート・エンゲージメント・プログラムに、日本の食品・医薬品業界として初めて参画しています。私は日本政府の掲げる「脱炭素社会の実現」は、「所得倍増計画」や「日本列島改造論」に匹敵する国家の長期政策ビジョンだと捉えています。自然と人類の共生は、世界が認める日本の理念です。キリングループは環境経営においてリーダーシップを発揮し続けることで、人類と自然が共生する日本の「環境立国」に貢献するとともに、世界のCSV先進企業を目指してまいります。

担当役員メッセージ

  • キリンホールディングス株式会社
    常務執行役員
    (CSV戦略担当、
    グループ環境総括責任者)
    溝内 良輔

研究開発力とエンジニアリング力で、
ポジティブなインパクトを創出します

キリングループでは、2017年からTCFDのシナリオ分析を継続的に発展させています。シナリオ分析で得られた気候変動の事業へのインパクト評価に基づき、昨年長期環境ビジョンを改定しました。SBT1.5℃への更新、RE100への参画といった緩和策や、レインフォレスト・アライアンス認証取得支援のベトナム・コーヒー農園への拡大といった適応策も、シナリオ分析で得た知見を具体化したものです。キリングループは、強みである研究開発力とエンジニアリング力の活用を柱とした、独自の環境戦略を展開しています。世界の食品メーカーとしては最大級の容器包装の開発機関であるキリンのパッケージイノベーション研究所は、これまで容器包装の軽量化による材料使用量・GHG排出量削減とコスト低減のCSVで大きな成果を挙げてきました。現在は、PETボトルのサーキュラーエコノミーを実現するため、三菱ケミカル社と共同でケミカルリサイクルの実用化に取り組んでいます。天然ゴム代替候補の植物の生産をブリヂストン社と共同研究するにあたり、優良品種の種子を大量に得ることへの貢献が期待されている「袋型培養槽技術」は、キリンの生産技術です。キリン中央研究所の植物大量増殖技術の実用化により、今後の地球温暖化に適応した種々の植物系統についても、その開発と短期間で作付面積を拡大することに貢献できるものと期待されています。温暖化に伴う感染症リスクといった社会課題に対しては、ヘルスサイエンス事業で貢献することで事業機会もあると考えていますが、免疫機能で昨年初めて機能性表示食品として消費者庁に届出受理されたプラズマ乳酸菌も、キリン中央研究所の成果です。工場での環境負荷低減や環境新技術導入には、製造工程や生産技術を熟知した上でのエンジニアリングが必要です。キリングループでは、各社に配置されたエンジニアリング部門のほかに、総合エンジニアリング会社のキリンエンジニアリング社を保有しており、それら連携による機動力や設備技術力を強みとして、環境施策の迅速な推進を支えています。グループの原点であるキリンのビール事業には、「生への畏敬」という醸造哲学があります。原料である農産物だけではなく、製造プロセスである発酵も生き物の恵みに支えられている、という思想です。キリンが強みとする技術力も農産物や酵母から謙虚に学ぶことから培われたものであり、環境をパーパスに据えるキリンの組織風土も、ものづくりの礎である自然を継承すべく養われたものです。今後、事業ポートフォリオが組み変わることがあっても、キリンが発酵・バイオの技術を活用し、自然の恩恵にあずかって事業活動を行っていくことに変わりはありません。「キリングループ環境ビジョン2050」の実現に向け、研究開発力、エンジニアリング力、NGOや地域の方々とのネットワーク力を基に、人と社会と自然環境にポジティブなインパクトを創出できるよう、挑戦を続けてまいります。