ヘルスサイエンス領域の安全・安心への取り組み

ヘルスサイエンス領域における品質保証

ヘルスサイエンス領域においては、素材基礎研究から商品開発・市販後まで、研究開発部門、信頼性保証室、学術部門、製造・販売を担うグループ会社が連携し、品質保証活動に取り組んでいます。

素材基礎研究では、既存事業の食領域と医領域の技術に加え、キリングループが長年培ってきた高度な「発酵・バイオ」の技術をベースに様々な研究活動を行い、商品開発においては、開発された素材を各事業会社が活用し、商品特性に応じて品質アセスメントを実施しています。その中で信頼性保証室が、バリューチェーン全体にわたって安全性や機能性の評価などに関与し品質保証活動を強化しています。

機能性表示食品における取り組み

ヘルスサイエンス領域の安全・安心の取り組みを、機能性表示食品を例にご紹介します。

信頼性保証の取り組み

機能性表示食品では、国の審査を受ける特定保健用食品(トクホ)制度と異なり、企業自らの責任において、適切かつ制度に適合した科学的根拠を国に届け出る必要があります。

キリングループでは“科学的根拠に基づいた適正な表示”を行えるように、機能性表示食品制度が発足する前の2014年に、基礎研究、商品開発、消費者庁への届出、マーケティング・製造・販売を行う各部門から独立した組織として、「信頼性保証室」を設置しました。素材研究から商品の発売、そして市販後の調査までの各プロセスにおいて、「信頼性保証室」が、社内の組織でありながら第三者としての立場で科学的根拠や表示の妥当性を厳しくチェックしています。

機能性表示食品の素材研究から市販後まで

素材基礎研究から市販後までの流れ

図:機能性表示食品の素材基礎研究から市販後まで

安全性・機能性の確認

機能性表示食品の安全性・機能性に関する科学的根拠の取得・調査・評価には、高い専門性が必要になります。そのため、素材基礎研究から商品開発、さらに市販後までの各プロセスにおいて、各部門が専門性を発揮しながら安全性・機能性を確認しています。

  • 下のタブの素材基礎研究、商品開発、市販後調査の文字を押すと表示が切り替わります。
図:機能性表示食品の素材基礎研究から市販後まで
研究開発部門の役割

機能性素材や機能性関与成分の安全性は、研究開発部門が素材基礎研究の段階から評価します。具体的には、安全性の評価のため、機能性表示食品制度に適合した自社の安全性評価基準に従い、食経験の調査や臨床試験(ヒト試験)などを行います。機能性については、機能性素材中の機能性関与成分を同定して作用機序を解明するとともに、「表示しようとする機能性」の科学的根拠を臨床試験(ヒト試験)又は研究レビューにより評価します。

  • 研究レビュー:研究論文等の文献から得られる知見を体系的に整理したもので、一般的にシステマティック・レビューと呼ばれます。(【「機能性表示食品」制度における機能性に関する科学的根拠の検証-届け出られた研究レビューの質に関する検証事業 報告書 平成28年3月 消費者庁】より引用)
信頼性保証室の役割

安全性・機能性の評価は、研究開発部門だけでは終わりません。社内での第三者的組織である信頼性保証室が、研究開発部門が評価した機能性素材や機能性関与成分の安全性・機能性の根拠情報が適切か、科学的観点から評価します。根拠が不十分と判断した場合は、研究開発部門に再検討を要請します。

図:機能性表示食品の素材基礎研究から市販後まで
学術部門(ヘルスサイエンス研究所)の役割

開発された商品について消費者庁に届出を行うには、安全性・機能性・製造・品質管理などに関する多くの資料が必要です。その中でも、機能性表示食品にとって重要な安全性・機能性の科学的根拠に関わる資料に関しては、学術部門が、食経験の調査や臨床試験(ヒト試験)などによる安全性情報及び臨床試験(ヒト試験)や研究レビューによる機能性情報を基に作成します。また、学術部門は各事業会社の届出計画を取り纏める役割も担っています。

製造・販売を担うグループ会社の役割

機能性表示食品制度では、表示する商品中の機能性関与成分量が、販売期間(消費期限又は賞味期限を表示する場合はその期間)において維持されることが求められています。そのため、保存試験などにより機能性関与成分の安定性を検証し、表示された量が当該期間において担保されるように処方を決定します。

信頼性保証室の役割

信頼性保証室では、作成された全ての届出資料(パッケージ(表示見本)を含む安全性・機能性・製造・品質管理などに関する届出様式及び関連添付資料)について、機能性表示食品制度への適合性と科学的妥当性を確認します。

図:機能性表示食品の素材基礎研究から市販後まで
学術部門(ヘルスサイエンス研究所)の役割

機能性表示食品としての商品が発売された後も、新しい文献の収集・調査を定期的に行います。加えて国内外の研究機関からの報告や医師・学術団体・行政・消費者団体からの情報も収集・調査します。

製造・販売を担うグループ会社の役割

商品を製造・販売する各グループ会社は、市場に流通している商品の安全性や機能性に関する科学的根拠の妥当性を継続的に保証するために、各部門と連携して市販後調査を行います。商品中の機能性関与成分の含有量が維持されていることを定期的に分析して確認するほか、お客様のご体調に関する情報を収集し、今後の商品設計に反映させます。

信頼性保証室の役割

信頼性保証室では、グループ内で収集した安全性・機能性に関する情報、機能性関与成分の含有量分析結果、健康被害に関する情報について精査し、既存の科学的根拠への影響の有無を評価します。