食領域

アジア・オセアニアを中心として戦略的に展開し、強固な事業基盤を確立

キリングループは、アジア・オセアニア地域を重点市場と位置づけて積極的なM&Aを実施し、グローバル化を推進してきました。オセアニアで酒類・飲料事業を展開しているライオンをはじめ、ミャンマー・ブルワリーなどのグループ各社は、グループ全体の成長を牽引する企業として成長を続けています。

食領域における方針

収益力の更なる強化

  • 自国における強固なブランド力と収益基盤の確立
  • クラフトビール等の高付加価値カテゴリーを中心とした海外事業展開

各事業会社の戦略

キリンビール

  • 持続的成長の実現に向けた戦略全体像

市場環境

国内酒類市場は人口減少などの影響により逓減しています。また、2020年から2026年にかけて段階的な酒税の改正が予定されています。この改正によって、ビール類については、カテゴリー構成比に影響が現れビールカテゴリーの構成比が増加すると考えられます。しかし、低価格志向の強まりから、すべてのカテゴリーの酒税が統一される2026年までは大きな変化はないと予想されます。一方で、RTDカテゴリーは今後も増加傾向が続くと考えられます。
なお、2020年に発生した新型コロナウイルス感染拡大の影響により、業務用チャネルの販売数量が大きく減少しました。また、健康志向が高まり、家庭で過ごす時間を充実させる高付加価値商品への需要も増加しています。

3つの取り組みを進めることで、2027年に酒税抜き売上収益に対する事業利益率25%を目指します。
1つ目は基盤となる主力ブランドのさらなる強化です。お客様を基点としたマーケティング、生産から営業まで全社を通じたブランド育成によって「キリン一番搾り生ビール」「本麒麟」「氷結」の強化に継続して取り組んでいきます。
2つ目は新たな成長エンジンの育成です。2021年よりクラフトビールと家庭用ビールサーバー「ホームタップ」への投資を拡大します。クラフトビールは主に業務用チャネルで取り組んできましたが、家庭用チャネルにおいてさらなる拡大を図ります。ホームタップは、ビールサーバーを貸し出し、1Lの小容量ボトルを家庭に直接配送することにより、高品質なビールを提供するサブスクリプション型サービスです。縮小が続く市場において、高い付加価値を有するブランド、サービスの構成比を高めることで、収益性の向上を目指します。
3つ目は抜本的な収益構造改革です。特に経営課題となっているRTDの収益性改善について、高付加価値商品の投入や原材料費の見直し、物流費の最適化によって取り組みを加速させます。さらに、業務用チャネルにおける変動費化や、量販チャネルにおける販促施策の効率化などによって販売費のROIを高めていきます。

ライオン

市場環境

2020年の豪州・ニュージーランド(NZ)ビール市場は、新型コロナウイルス感染拡大によるパブやレストランの一時的な閉鎖などにより業務用を中心に影響を受けましたが、新規感染者数の減少や感染対策規制の緩和に伴い、年末に向けて徐々に回復しました。今後も飲食店への入店人数の制限などソーシャルディスタンスが求められるため、一定の影響は残りますが、諸外国と比較して影響は軽微になることが予想されます。
カテゴリー別では、クラフトビールなど嗜好性の高い製品に加え、コンテンポラリーなど、ライトな味わいのビールへの関心が高まっています。また、ビール類以外では、米国で急成長するハード・セルツァーが豪州・NZ市場でも徐々に拡大しています。

ライオンは、対象市場においてお客様に最も愛されるブランドをもつことで、社会とのつながりを創造し、お客様に心豊かな生活を送っていただくことを目指しています。そのための戦略として、事業の成長と生産性の向上を加速させることに焦点を当て、常にお客様を中心に据えた事業活動を行っています。
具体的には、クラフトビール、ハード・セルツァーなど主要カテゴリーへの投資に加え、新価値創造による成長を目指します。また、キリンビールとの協働によりマーケティング力の強化を実現します。加えて、2020年1月より連結化した米国のクラフトビール事業会社「ニュー・ベルジャン・ブルーイング」を通じた事業展開により、海外クラフトビール市場における競争優位なポジションの確立を目指します。
機能効率面では、2020年より本格導入をしたERPシステムの展開を通じ、社内プロセスの共通化による業務の効率化や、データ分析の高速化によるスピーディーな意思決定の実現につなげます。また、グローバルレベルでのコスト競争力醸成により、組織全体の成長を実現します。
これらにより、ライオンは同社が2019年中計で掲げた「高収益率の維持と新たな成長基盤の拡大」に向けた取り組みを着実に進めていきます。

メルシャン

2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、主に業務用市場が打撃を受け、国内ワイン市場は前年比90%となりました。一方で手堅い「家飲み」需要により、家庭用市場は今後も比較的堅調に推移することが見込まれます。
そのような中、メルシャンは「シャトー・メルシャン」に加えて、「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」「フロンテラ」などの主力商品のブランド力の強化を図るほか、カジュアルスパークリングやオーガニックワインなどの商品を通じて、間口拡大・需要創造を図ります。

  • 国際有機農業運動連盟(IFOAM)の基準に則ったワインを指す。

ミャンマー・ブルワリー

ミャンマー市場は、2020年に新型コロナウイルス感染症の拡大による影響があったものの、中長期的には成長トレンドに回帰することが見込まれます。
ミャンマー・ブルワリーは、CSV、マーケティング、マネジメント、DXの4つの要素を軸に施策を展開することで、拡大する家庭用市場の需要取り込みを進めていきます。
なお、2021年2月に発生したミャンマーにおける政情激変については、当社のビジネス規範や人権方針に根底から反するものです。当社としては、福利厚生基金の運用会社として国軍と取引関係のあるMyanma Economic Holdings Public Company Limited(MEHPCL)との合弁事業の提携自体は解消せざるを得ないと考えており、そのための対応を開始しております。

キリンビバレッジ

  • CSV基軸の成長戦略/事業構造の変革

市場環境

2020年の国内飲料市場は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、前年比93%と大きく減少しました。2021年は、前年比102%と回復が見込まれますが、中長期的には総人口の減少に伴って緩やかに縮小することが予想されます。
一方で、総市場の約66%を占める無糖カテゴリーや年率10%の成長が続く健康飲料は、コロナ禍による一段の健康志向の高まり、高齢化の進展などに伴い、今後も増加傾向が続くと考えられます。また、コロナ禍による外出自粛、在宅勤務定着の影響を受けて、自動販売機チャネルの販売数量が大きく減少するなど、事業環境の変化が加速しています

  • 健康飲料:特定保健用食品、機能性表示食品。
    出典:食品マーケティング研究所

事業環境が急速に変化する中、再成長を目指すために「CSV基軸の成長戦略」と「事業構造の変革」に取り組みます。
具体的には、「CSV基軸の成長戦略」として、自社の注力分野を「摂り過ぎない健康(無糖・低糖領域)」と「プラスの健康」と定義しました。「午後の紅茶」や「生茶」といった基盤ブランドに加えて、2020年8月に消費者庁により機能性表示食品の届出を受理されたプラズマ乳酸菌を配合した「iMUSE」ブランドの商品に注力することで、キリンビバレッジはヘルスサイエンス戦略を飲料で担う会社へリポジショニングしていきます。
また、「事業構造の変革」として、「チャネルポートフォリオの再構築」と「環境戦略」に取り組みます。
「チャネルポートフォリオの再構築」では、販売チャネル間の経営資源の配分を見直すとともに、構成比率の減少が加速している自動販売機ビジネスの構造改革を実施します。
「環境戦略」では、プラスチックを取り巻く環境課題に対して、資源循環を求める社会の要請に対応すべく、三菱ケミカル(株)とケミカルリサイクルによるペット再資源化に向けたプロジェクトを開始しました。また、環境をCSV基軸の1つに据え、「生茶」をフラッグシップブランドとして育成します。ラベルレス、R100ボトル、短尺化ラベルを採用した商品を展開することで、「生茶」のブランド価値の向上につなげていきます。

コーク・ノースイースト

2020年は事業利益率が7.2%まで向上し、2022年の到達目標6%を前倒しで達成しました。業務用チャネルを中心に数量ベースで厳しい市場環境が続いていますが、単価上昇を推し進めるとともに、効率化したコスト水準の維持に努め、中長期的にさらなる収益力向上を目指します。

トピックス

日本のビールを"魅力あるものに"

この20年、日本のビール市場は縮小傾向が続いています。これは飲酒人口の減少だけでなく、お客様にとってビールの魅力が薄れているためでもあるとキリンビールは考えます。そこでビールを再び“魅力あるもの”にしていくために、様々な取り組みを展開しています。

日本産ホップの未来を切り開く!ホップ博士が生んだ「MURAKAMI SEVEN」の可能性

ビールの魂と呼ばれ、ビールの味と香りを決める重要な原料であるホップ。国内では東北を中心に生産されていますが、実は日本産ホップだからこそできる商品があるんです。フレッシュな生ホップを使用した「一番搾り とれたてホップ生ビール」がその先駆けで、日本産ホップの可能性に対する見方が変わるきっかけとなりました。このまったく新しいビールを開発したのが“ホップ博士”こと村上敦司主幹研究員。その彼がさらなる研究を経て、可能性あふれる日本産ホップの新品種「MURAKAMI SEVEN」を開発し、商品化にまでたどり着きました。ここでは、その開発秘話や日本産ホップの未来について伺います。

関連情報