Equity&Inclusion推進の取組み・多様性を広げる取組み

Equity&Inclusion推進の取組み ~多様な人財の活躍を阻む障壁の解消&多様な視点・価値観を受けとめ、その違いを活かす~

なりキリン研修

なりキリン研修は、多様な立場や働き方を疑似体験することができる研修です。
「個々の視点の価値観を多様化すること」、「多様な人財の活躍を阻む障壁を取り除くこと」、そして「多様な視点を受けとめその違いを活かすこと」というDEIのすべての推進につながる取組みとしてキリングループで広く展開しています。
社員の発案で始まったこの研修は、キリングループの両立支援の代表的な取組みとして、誰もが働きやすい職場づくりにつながっています。

  • キリングループの多様性推進プラン

なりキリン研修の誕生まで

なりキリン研修は、若手の営業女性社員5名の声から考案されました。そこから実証実験を重ね、社内でトライアルを実施。
研修の独創性と効果を踏まえ、2019年よりキリングループ全体に展開しています。

なりキリン研修の概要

なりキリン研修は、育児と生活の両立をしているママやパパ、そして介護に携わっている方やご家族の病気の看病をしている方など、様々な事情と仕事を両立している人の立場を疑似体験することで、

  • 多様な立場や働き方を理解して誰もが働きやすい環境をつくる
  • 本人の働き方の見直しにつなげる
  • 上司のマネジメント力を向上させる

など、様々な成果を得ることができる研修です。
また実際に両立する場面に直面した時の予行演習としても活用することができます。
なりキリン研修は、性別や雇用形態を問わず幅広い層の社員が参加しており、両立支援の意識はグループ全体に広がっています。

なりキリン研修実施中の過ごし方(育児パターンイメージ)

なりキリン研修に参加中は、月1~2回程度、保育園や病院など選択シーンに合わせた場所から突発的な呼び出しが発生します。
その場合は、業務の引継ぎ後すぐに退勤していただき、退勤後は個の多様性を広げる時間として自由に時間を活用いただきます。

なりキリン研修中の様子

仕事と生活の両立のためには上司や同僚の理解や協力が必要不可欠となります。
そのため、なりキリン研修中は、研修に参加していることを周囲に公表する運用としており、周囲からのサポートを促進しています。

なりキリン研修のルール

なりキリン研修中の1か月間はノー残業や突発的にお休みしなくてはいけない状況への対応など、以下の通り所定のルールに従って過ごしていただきます。

なりキリン研修の効果

なりキリン研修は両立支援だけではなく、働き方の見直しや、チームワークの向上、働きがい改革の推進等様々な面で効果的な研修となっています。
何より特徴的なことは、参加者本人だけではなく、周囲の両立支援に対する意識の変化や、気づきにもつながるということです。
研修の効果について、研修参加者の声とともにご紹介します。

①男性の家事育児への参画意識向上

<参加者の声>

  • 共働きの妻に夕飯を作る等、家事をすることができて良かった。
  • 塾への送り迎えなど、普段やれないことができた。
  • 夜に子どもと遊ぶ時間が増えた。
  • 子どもとの会話が増えた。
②時間制約のある働き方への理解向上

<参加者の声>

  • 呼び出し時のフォローに感謝している。自分も同様の場面に遭遇したら、相手をフォローできるようにしたい。
  • 毎日同じ時間に帰るのがこんなにストレスなことを初めて知った。
  • 定時勤務は、やればできる。
③チームワークの向上

<参加者の声>

  • 実際の状況(育児で毎日お迎え当番である、介護中である等)も開示できた。
  • メンバー間で気軽に依頼・支援し合う関係が広がってきた。
  • メンバーへの権限移譲が推進できた。
④働きがい改革の加速

<参加者の声>

  • 自身がリーダーとして早く帰宅することで他のメンバーも早く帰ろうという動機付けに影響したと思う。
  • 働きがい改革を進めていこうというムードが高まった。
    今まで業務のスリム化を進めてきたが、まだ余地があることを痛感した。
⑤業務スタイルの変化・気づきの醸成

<参加者の声>

  • 普段から自身の業務内容について共有する意識がついた。
  • いざという時を考えて、支援できる人の育成も検討しないといけないと感じた。
  • 悩みがちな悪い癖があるが、即相談することで、生産性が上がった。

なりキリン研修の社外への広がり

なりキリン研修は社外からも高い評価をいただいており、キリングループの枠を超えて日本全国に広がっています。

~事例①~

2018年に、鳥取県にて介護や育児等で従業員の働き方に制約が生じた際、本人や同僚、上司、企業が慌てず柔軟に対応できる体制づくりを目的として、「なりキリン」をベースにした「介護や育児で慌てない!ファミボス実践事業」を展開されました。

~事例②~

2018年に締結したキリンと神戸市の包括連携協定をきっかけに、神戸市役所にて「なりキリン」をベースにした労働生産性の向上に向けた研修プログラム「KOBE TIME TRIAL~育児編~」を導入、実施されました。

~事例③~

2019年に、広島県とキリンは「女性活躍の推進に関する協定」を締結。育児や介護等で慌てない職場づくりに関するノウハウ等の提供にて連携し、その一環としてなりキリン研修のノウハウについても情報提供を行いました。

このほか、様々な民間企業様にも研修概要の情報共有を行い、導入が進んでいます。

Equity推進の取組み ~多様な人財の活躍を阻む障壁の解消~

両立支援

キリングループでは育児や介護・治療等様々な事情を抱えた社員誰もが、その事情により活躍を阻まれることなく、生き生きと働くことができる職場づくりを目指して、両立支援に取り組んでいます。
両立支援につながる制度導入をはじめ、研修やセミナーによる理解浸透、働き方改革等、様々な取組みを実施することで仕事とライフイベントとの両立を支援しています。

遠隔地勤務制度

遠隔地勤務制度は、育児や介護を担う従業員の転居に対する家族・生活への不安が、前向きなキャリア形成や主体的・意欲的に能力を発揮することの阻害要因の一つとなっている状況を踏まえ、子育てや介護中等、所定の条件を満たした社員を対象に、遠隔地から勤務・通勤を行うことを認める制度です。この制度により育児や介護と仕事の両立をよりしやすい環境づくりを実現しています。

両立支援セミナー

仕事と生活が両立しやすい風土醸成を目指して、年に数回、定期的に両立支援に関する理解浸透や、両立に対する悩みや不安払しょくにつながるセミナーを開催しています。
開始当初は育児と仕事の両立に焦点を当てたセミナーを中心に実施していましたが、近年の動向も踏まえて、介護や治療との両立にもテーマを広げ、セミナーを実施しています。

意識改革(組織全体へのアプローチ)

アンコンシャス・バイアス研修

キリングループでは、意識の格差であるアンコンシャス・バイアスへの対応を行っています。
具体的には、アンコンシャス・バイアスによるステレオタイプ思考によって共創が阻害されないように、誰もが持っているアンコンシャス・バイアスを自覚し、理解して行動につなげるための知識や気づきを得る経験を経て、行動習慣につなげることができる研修を行っています。

Inclusion推進の取組み ~多様な視点や価値観を受けとめ、その違いを活かす~

キリングループでは、Inclusionは多様な人財が組織で活躍するための前提であり、イノベーションを生み出すものであるという考えのもと、Inclusionの発揮のキードライバーである心理的安全性の高い職場づくりを行っています。

心理的安全性の高い組織づくり

心理的安全性研修

心理的安全性に関する基本的な理解をグループ全体に広げ、チームメンバー間の健全なコンフリクトを支援するために、
心理的安全性に関する基礎知識の理解浸透と心理的安全性の高い職場づくりに向けた行動につながる研修を行っています。

多様性を広げる取組み

「多様性」や「違い」を受容し、価値創造につなげるための階層別アプローチ

多様性推進は、本社や多様性推進担当部署だけの課題ではなく、全社的な経営課題です。
経営陣自らが理念の浸透に向けメッセージを直接的に内外に発信するほか、経営職から一般従業員に至る社員の行動・意識改革に向け、人事・評価制度、人財育成・研修体系、表彰体系を全社的に整備しています。

階層 取組み(例)
経営陣
  • 経営陣の属性の多様性推進
    • 女性役員の登用
  • 経営課題への組み込み
    • 重要成果指標(非財務目標)として「多様な人財と挑戦する風土」に関するスコアを指標化。従業員エンゲージメント調査の結果を重要成果指標の非財務目標として設定
    • 経営会議において多様な人財・風土に関する課題を討議(経営トップによるPDCAモニタリング)
    • 長期経営構想、中期経営計画、グループ経営理念体系等の浸透に向けた活動(メッセージ発信、役員による事業所巡回・対話等)
  • 経営陣のコミットメント強化
    • 経営トップによる社外への発信・対話(IR、CSV活動等)
    • ダイバーシティに関する政府・地方公共団体や公的団体の活動への賛同
    • トップ層研修において多様性・人権に係る外部有識者の講義を受講
    • 新任役員への多様性に係る研修による理解浸透(アンコンシャス・バイアス研修 等)
リーダー
(経営職)
  • リーダー層による多様性推進力強化
    • リーダー層のリーダーシップ開発
  • 組織課題への組み込み
    • 部門別の総労働時間、所定外労働時間、会議時間等のイントラネットへの公開
    • 部門ごとのエンゲージメントスコアの把握、PDCAモニタリング
    • 「多様な人財と挑戦する風土」に関する指標の非財務指標への組み込み
    • 熱意・誠意や多様性に係る行動評価
  • リーダー層のコミットメント強化
    • 多様性に係る研修(新任経営職向け多様性研修、アンコンシャス・バイアス研修、心理的安全性研修 等)における多様性理解浸透
メンバー
(一般社員)
  • 業務課題への組み込み
    • 熱意・誠意、多様性に係る行動評価
  • メンバーのコミットメント強化
    • 多様性に係る研修(新入社員向け多様性研修、アンコンシャス・バイアス研修、心理的安全性研修 等)における多様性理解浸透
階層横断施策
  • 多様性を活かす組織づくり
    • 各種ハラスメント防止研修
  • 組織全体のコミットメント強化
    • 多様性推進研修・意識調査実施(多様性受容・活用浸透を目的に、国内グループ従業員約20000人を対象に実施)
    • 人権研修(毎年受講が義務付けられており、ワークが含まれる)等における社内外の最新の人権・多様性に関する知識の習得・実践