価値創造を加速するICT

グループ全ての事業・機能部門でDXを推進し、ビジネス変革に取り組む

長期経営構想キリングループ・ビジョン2027(KV2027)では、イノベーションを実現する組織能力の一つとして、「価値創造を加速するICT(Information And Communication Technology)」を掲げ、デジタル技術を活用した業務プロセスの見直しを進めるなど、グループ全体のあらゆる領域でビジネス変革に取り組んでいます。

  • キリンホールディングス株式会社 常務執行役員
    デジタル戦略担当、経営企画部長
    秋枝 眞二郎

    2010年台湾麒麟啤酒股份董事長兼総経理、2013年メルシャン執行役員企画部長、2015年キリンビバレッジ執行役員企画部長、2018年キリンビール執行役員企画部長、2019年キリンホールディングス執行役員経営企画部長を経て、2022年春より現職。

社会のデジタル化の潮流を、自社に生かす

近年におけるデジタル化の流れ・テクノロジーの進化は益々加速しています。新たなデバイスやサービスが次々と登場し、2000年前後から進んできたIT化の流れの延長線上にある考え方や手法・テクノロジーに基づく業務プロセスのままでは、競合劣後となるリスクがあります。一方、つくり手とお客様のタッチポイントはデジタルによって拡大しており、市場の変化や嗜好の多様化をより詳細に把握し、お客様にとって満足度の高い商品やサービスを提供できる可能性が広がっていると認識しています。例えば、ヘルスサイエンスの領域においては、個人向けの検査キットやウエアラブルデバイスで取得したデータを活用するなど、お客様一人一人に合わせて対応することも可能になっています。

これまでもキリングループではITの活用を推進してきましたが、デジタルの浸透・深化によって変化し続ける社会の中で永続的にビジネス変革を起こしていくためには、継続的なDXの推進が必要だと考えています。

DXの推進により、「業務プロセスの変革」「既存事業の価値向上」「新規ビジネスの加速・開発」を実現する

「業務プロセスの変革」では、AIを用いた効率的な商品開発やシミュレーションによる生産・物流体制の最適化等、部門や領域を横断してデータやデジタルソリューションを活用したバリューチェーン全体での生産性向上を追求していきます。一方、「既存事業の価値向上」「新規ビシネスの加速・開発」では、食領域における「タップマルシェ」や、ヘルスサイエンス領域におけるDtoC(Direct to Consumer)ビジネスなどを積極的に展開しています。まずはスモールサクセスを積み上げ、その成功体験が基礎となりグループ全体の取り組みへと波及することで、やがて競争優位となる非連読な価値創出につなげていきたいと考えています。

また、これらの取り組みが、個別のパーツになってしまわないように全体感を持ってDX戦略を設計していくことも重要です。各取り組みはROIを重視し、変革のための投資とそれに対するリターンを確認するとともに、新しいビシネスの創出を図る場合は、将来性やチャレンジ性を加味した評価・管理を行っており、トータルでコーディネートすることでグループ全体でのDX推進を図っています。

DXを推進する組織能力について

現在、当社グループ全体として多くの取り組みを開始していますが、DXをさらに加速させるために重要なことは、課題に対してあるべき姿を描く「企画構想力」を伸ばし、デジタルICT部門主体ではなく「現場主体でDXを推進していくこと」です。この2つのポイントを実行していくためには、組織体制の構築とその担い手となる人財の育成が必要となります。

組織については、2021年に各事業会社・部門のDX推進担当者が参加する「グループDX推進委員会」を設置しました。グループや領域を跨いだ情報共有や課題解決を目的とし、実際に当社グループ内の取り組みや他社事例を各社・各部門に波及させるなど、この仕組みを通じた現場主体でのDX推進が始まっています。

一方、人財に対する取り組みでは、2021年から新卒採用においてはデジタルICT人財の確保に向けて「デジタル戦略コース」を新設するとともに、多様な課題に違った目線で向き合う人財を求めキャリア採用を通年で行っています。また、社内の人財を育成するために「キリンDX道場」を開講し、独自の社内育成プログラムを開始しました。

今後はさらに、自社では思いつかないアイデアや推進力を得るために外部企業との連携も重視し、変化し続ける世の中においてもDXを継続的に拡大・深化できる体制を構築していきます。

自律的なDXの推進で、新たな価値を創造し続ける

DXは経営戦略そのものであり、終わりのない取り組みです。その認識の下で、「全ての事業・機能部門で自律的にデシタル技術を活用してプロセスの変革やビジネスの創造を行えている」状態を実現すべく、2022年-2024年中期経営計画(2022年中計)の最終年度にあたる2024年度までには、グループの全領域で課題のあるプロセスを見直し、再構築することで徹底的な効率化を図ります。さらに、各事業会社では個々のお客様ニーズを把握するために、デジタルの活用を含めた新たなビジネスを発想したり、先端テクノロジーを既存事業へ積極的に活用したりすることで、競争力を強化していきます。新たな価値創造に向けたキリングループの取り組みにぜひご期待ください。

DX事例1:キリンビバレッジでの「アセスメントAI」の活用による高品質で効率的な飲料開発

食領域における商品開発において、熟練開発者の思考パターンを基にした専用ツール「アセスメントAI」の開発に成功し、2022年4月から試験運用を始めています。「アセスメントAI」は、データベース化した過去の開発レシピとノウハウから、熟練した開発者の思考バターンをAIとして構築したもので、過去に開発したレシビを体系的・効率的に検索できる「類似レシピ探索機能」と、法令などのルールや品質リスクの可能性を検討する「品質リスク探索機能」を備えています。この導入によってこれまで開発者の経験次第で膨大な時間を要していた業務の効率化を図り、開発者が五感を生かしたレシピ開発に向き合う時間を確保することで、より高品質な新商品開発も加速していきます。

DX事例2:オーダーメードでお客様一人一人にお勧めのサプリメントを提供

ヘルスサイエンス領域における新たなビジネスとして、トレーニングユーザーに向けた個別化サプリメント事業「GOLD EXPERIENCE(ゴールドエクスペリエンス)」のサービス検証を2021年より開始しています。お客様一人一人にパーソナルな栄養摂取体験を提供するサービスで、個人別の生体情報やトレーニング内容に合わせ学術的な情報に基づき、最適なサプリメントの組み合わせを提案します。提案されたサプリメントをスマートフォンで注文すると、ジムに設置された専用サーバーで即時に受け取ることができ、お客様はこの情報を活用することでより良い栄養摂取体験が可能になります。

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