研究員と研究テーマ

フォン ミン グエンさん(Huong Minh Nguyen)ベトナム出身

出身国での所属 ベトナム科学技術院(VAST)バイオテクノロジー研究所(IBT)研究員
研究テーマ
  1. 細菌二次代謝に関する研究
  2. リアルタイムPCRによる芽胞形成細菌の検知
研究室 食品生物機能開発研究領域 微生物機能ユニット
アドバイザー 稲岡 隆史 上級研究員

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長年にわたり、JICA-KIRINフェローシッププログラムはベトナムを含む多くの国の研究者に日本で研究スキルを高め、協力関係を築く機会を提供してきました。今年度、私が同プログラムの研究員に選出され来日し、農研機構食品生物機能開発研究領域 微生物機能ユニットで稲岡隆史先生の指導を受ける機会をいただいたことは幸運なことでした。稲岡先生の近年の研究に基づき、細菌の中心代謝経路の制御におけるネオトレハロサジアミン(3,3’-ジアミノ-ジデオキシ-α,β-トレハロース; NTD)の機能について調査を行うこととしました。また、もう一つのプロジェクトとして、PCR法を用いた芽胞形成細菌の検知についても取り組むこととしました。

初来日の際、今年は桜の開花を見ることができて運が良い、と周りの方に言われましたが、私を導き、様々な形でインスピレーションを与えてくれるチームの一員として、微生物機能ユニットで研究に打ち込むことができる毎日こそが幸運と感じながら過ごしています。集中力と柔軟性をもって最も効率的な方法で研究に取り組む術や、自分の行動に一貫性を持つことが信頼に値する仲間となるために必要であると学びました。「日本に来た人は皆、ポジティブな変化を持ち帰る」と人々は言います。私もこれまで既に、より良い研究員、そして人となるための変化を経験し、またこれからも多くのそうした経験が待っていると確信しています。このような非常に貴重な機会を与えてくれたJICA、キリンホールディングス、そして農研機構に感謝いたします。特に、アドバイザーである稲岡先生とユニットメンバー、ヘンミさんとマホさん、農研機構食品研究部門の全事務局スタッフ、そして3名の同期研修生には、温かく迎え入れてくれたこと、日々のサポートと激励、友情に対して心からお礼を申し上げます。こうした日本での経験を、ベトナムにも持ち帰りたいと考えています。

アブドゥラー イクバルさん(Abdullah Iqbal)バングラデシュ出身

出身国での所属 バングラデシュ農業大学 食品技術・農村工業学部 教授
研究テーマ 蜂蜜の非破壊認証
研究室 食品分析研究領域 非破壊計測ユニット
アドバイザー 蔦 瑞樹 上級研究員

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発展途上国の研究者は誰しも日本で研究を行う機会を得ることを望んでおり、今回私がその機会をいただいたことを大変嬉しく思っています。JICA、キリン、農研機構のおかげで、JICA-KIRINフェローシッププログラムを通じて農研機構食品研究部門で研究が行えることを感謝しています。

私の農研機構食品研究部門における研究は分光法による蜂蜜の認証です。世界的に、食品の認証は消費者と生産者にとって重要な課題となっています。蜂蜜の信頼性には、地理的条件や蜜源となる花の特定、混入物の検知が関与しています。この研究では、蜂蜜の包括的な非破壊品質予測法と不純物検知技術を開発し、蜂蜜の総合的な品質指標を得ることを目的としています。

農研機構食品研究部門の研究設備は素晴らしく、非破壊計測ユニットのメンバーはとても誠実で私の研究や日本での生活のことを気にかけてくださいます。研究アドバイザーの蔦 瑞樹先生の気さくな人柄にも感銘を受けました。蔦先生からは、研究活動に留まらず、同僚への接し方、その姿勢等、あらゆる点で学びを得ています。 こうした重要な学びは、これからの私個人の在り方にも影響を与えるでしょう。以前から、日本の文化、人々、食べ物等について書籍や周囲の人々から見聞きし、良い印象を持っていましたが、実際は想像以上でした。日本の人々はとても礼儀正しく友好的で、尊敬に値します。農研機構周辺、そして日本の景観は素晴らしく、まるで神様が創り出したもののようです。2020年以後この美しい景観を見られなくなることは残念ですが、思い出として心の中に永遠に残るでしょう。

ピュー レイ ミィントさん(Phyu Lay Myint)ミャンマー出身

出身国での所属 ミャンマー農業畜産灌漑省 農業局 農業普及部 技術官
研究テーマ 市販レディトゥイート(RTE)食品のリスクに基づく食品安全政策決定におけるリスク管理の初期活動
研究室 食品安全研究領域 食品衛生ユニット
アドバイザー 稲津康弘 ユニット長

コメント

まず初めに、ミャンマーから私をフェローとして招待いただき、日本で学ぶ素晴らしいチャンスをいただいたことについて、JICAとキリンホールディングスに感謝申し上げます。今回が私にとって初めての来日であり、日本文化を知る機会となりました。

次に、受け入れ機関である農研機構、そして農研機構食品研究部門が、快適な生活環境と豊富な設備を含む研究環境を整備くださったことに対して心よりお礼を申し上げます。

最後に、ほんの少しのバックグラウンドしかもたない私に対し、確実で包括的な指導をくださるアドバイザーの農研機構食品研究部門食品衛生ユニット長の稲津康弘先生、また研究活動以外の面でも常に私を支えてくれる魅力的な研究室の全同僚に対して、最大の謝意を表します。

さらに、微生物学を学ぶチャンスを与えてくれたミャンマー農業畜産灌漑省農業局に対しても、感謝しています。 ミャンマーでは、農業畜産灌漑省が2018年6月14日に「農業開発戦略(ADS)」に正式に着手し、現在も活動を実施しようとしているところです。農業開発戦略の目的は、関係セクターを全て包含する形での持続可能な農業を実現することにより、食の安全と密接に関わるテーマである国家の食料安全保障を確立することです。この研究は食の安全に重点を置く我が国にとってとても有益で効果的であり、農研機構、キリン、ミャンマー農業畜産灌漑省農業局に良い研究成果を報告できると期待しています。JICA-KIRINフェローとなれたことを本当に感謝します。

スヴェーナ ジャンタピラックさん(Suveena Jantapirak)タイ出身

出身国での所属 カセサート大学食品開発研究所 食品加工・保存部門 研究員
研究テーマ 食肉加工品におけるミニマムヒーティングプロセス
研究室 食品加工流通研究領域 先端食品加工技術ユニット
アドバイザー 植村 邦彦 ユニット長

コメント

まず初めに、JICA、キリンホールディングス、カセサート大学食品開発研究所に対して、農研機構での研究の機会を与えてくれたことへ心より感謝いたします。私はJICA-KIRINフェローシッププログラムに参加できたことを大変嬉しく思います。

以前に3回の来日経験があり、4度目となる今回の来日で、農研機構食品研究部門で有益な研究の機会を得ました。日本は世界的に先進技術の国、そして食品科学におけるリーダー的存在として知られており、農研機構食品研究部は最先端の研究施設を有しています。私の研究は食肉加工品におけるミニマムヒーティングプロセスについてであり、私にとって最先端かつ高度な技術に実際に触れる好機となっています。タイは農業国であり、加工食品における保存期間を引き延ばしながら、高品質の栄養摂取を可能にするミニマムヒーティングプロセス技術を学ぶことは国家利益につながります。

また、アドバイザーである植村 邦彦先生のご支援、また研究に関する貴重なご指導についても感謝申し上げます。先端食品加工技術ユニットのメンバーは皆とても親切で、私の日本での日々を実に忘れがたい経験にしてくださっています。人々は思慮深く、街はとても清潔で安全で、日本食は美味しく、常に美しく盛り付けられています。

本プログラムから得た研究の知識は、農研機構食品研究部門とカセサート大学食品開発研究所の双方にとって有益で、さらなる協力と、場合によっては日本とタイのジョイントベンチャーにも発展すると考えています。帰国後は、食品産業を学ぶ学生や私の所属機関であるカセサート大学食品開発研究所と、日本で得た技術・経験を共有する所存です。