国連大学キリンフェローシップ卒業生

ラヒム アブ トラブさん(Abu Torab M A Rahim, Ph.D.)バングラデシュ出身

出身国での所属 ダッカ大学 栄養食品科学研究所 教授
研究テーマ 農産物における抗高脂血症成分の精製・同定・評価
アドバイザー Dr. 八巻 幸二

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バングラデシュのダッカ大学栄養食品科学研究所で教員をしています。

1991年に、熊本大学医学部で栄養生化学の博士号を取得しました。そのため、今回の2014年度国連大学キリンフェローシップが2度目の来日となります。国連大学キリンフェローシップのおかげで、再び日本に来て同じ研究分野に取り組める素晴らしい機会を得られました。

私は選ばれた地元の食品から酵素阻害活性を選別し、分離・特性評価を行い、酵素阻害活性のメカニズムを明らかにしようと考えています。

食品総合研究所(NFRI)は、最先端レベルでの研究ができる素晴らしい研究環境を備えています。津波は怖いですが、日本は生活と研究の両立ができる優れた場所です。私は日本の文化や労働倫理がとても気に入っています。また、栄養食品科学の専門家として、和食を素晴らしくバランスのとれた食事であると評価するとともに、日本での食生活をとても楽しんでいます。食べ物や労働環境、そしてなにより、私たちを温かくもてなしてくれる文化。日本は研究を進めるうえでの理想的な場所です。

最後に、国連大学キリンフェローシッププログラムが今後も継続され、アジアにおける強固な科学技術ネットワークの形成につながることを願っています。

チュラン リッシーさん(Chrun Rithy)カンボジア出身

出身国での所属 カンボジア王立農業大学研究所 農産業学部 食品バイオテクノロジー学科 講師兼研究員
研究テーマ カンボジアで製造された発酵野菜や魚の微生物学的ハザードの同定と制御
研究室 食品衛生ユニット
アドバイザー Dr. 稲津 康弘 ユニット長

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カンボジアでは、発酵した野菜や魚をそのまま生で食べたり、調理してから食べています。しかし、発酵食品は微生物学的ハザードにより汚染されてしまうことがあります。こういった背景から、カンボジアで製造されている発酵野菜や魚の主な微生物学的ハザードを同定することを私の研究目標にしています。ただ、伝統的な発酵食品の場合、細菌を生成するヒスタミンを制御することや食品に既に形成された生体アミンを除去することは困難です。そのため、食品の生体アミンレベルを減少させるために、バクテリオシンまたはアミン酸化活性と一緒に食品グレードの細菌を用いた生体制御もこの研究の目標としています。

2014年4月1日からつくばの食品総合研究所(NFRI)にいます。国連大学キリンフェローシップでは、自分の研究が進むのはもちろん、同時に日本文化を学ぶこともできます。私を受け入れてくれたNFRIと、フェローシップを支えてくれるキリンホールディングス株式会社には心より感謝しています。

NFRIはとても衛生的で、最先端の分析が行えるよう設備が完璧に整えられています。また、私たちの研究のために特別に最新の機器が完備されており、とても幸せに感じています。NFRIは雰囲気がよく、とても落ち着きます。アドバイザーは、温かく私を受け入れてくれて、いつでも相談にのってくれ、とても感謝しています。食品衛生研究室の仲間の懇切丁寧な援助や協力にも感謝しています。日本に来て2ヶ月になりますが、日本はダイナミックな国だなあと思います。日本人はとても優しく、温かく、忍耐強く、丁寧で、いつも笑顔で話を聞いてくれます。

スリヤム スパワディーさん(Sriyam Supawadee, Ph.D.)タイ出身

出身国での所属 ラジャンマンガラ工科大学ランナー・ナーン校 農産業学部 科学・農業技術学科 講師
研究テーマ 枯草菌(納豆)のバクテリオファージ耐性の遺伝学的研究
研究室 発酵細菌ユニット
アドバイザー Dr. 木村 啓太郎 主任研究委員

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2014年度国連大学キリンフェローシッププログラムに参加する機会を与えてくれた国連大学、キリンホールディングス株式会社、そして食品総合研究所(NFRI)には本当に感謝しています。フェローシップは、新しい技術を身につけられる素晴らしいプログラムです。

NFRIで私が研究目標としていることは、発酵食品製造における生体制御のための毒性枯草菌ファージの包括的評価に取り組むことです。この分野はまだタイではあまり大々的に研究されていませんので、私自身も研究をとても楽しみにしています。

国連大学キリンフェローシッププログラムに参加した後は、タイ北部で広く消費されている地元の発酵大豆、トゥア・ナオ(タイ納豆)といった発酵食品の製造基準をタイで拡大し増産できると考えています。私が得た新しい技術を、将来の事業の他の研究に生かしていきたい思います。

日本の文化にもとても感銘を受けています。印象が深いのは、非常に美しい自然の景観です。特にお花見は圧巻でした。ユニークでしかもおいしい日本食にも感激しました。

つくばの人々、特に発酵細菌ユニットのメンバーがとても親切なおかげで、日本での滞在は非常に楽しいです。いつまでも心の中に残る、忘れられない思い出になると思います。

プシュパ S マーシーさん(Pushpa S Murthy, Ph.D.)インド出身

出身国での所属 国立中央食品技術研究所(CFTRI) 大規模農園産物・香辛料・調味料技術部 研究主幹
研究テーマ 食品副産物を用いた食品グレード菌類によるタンパク質分解酵素の過剰生産
研究室 糸状菌ユニット
アドバイザー Dr. 楠本 憲一 ユニット長

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私が研究目標としていることは、最適化後のタンパク質分解酵素生産拡張のため、紫外線突然変異形成と光科学反応により麹菌株を得ることです。研究結果は、タンパク質分解酵素への刺激作用の解明に役立ち、生理活性化合物生成のための光量調節のアイディアを提供してくれるでしょう。

まず、国立中央食品技術研究所(CFTRI)、国連大学、キリンホールディングス株式会社、そして食品総合研究所(NFRI)に、このフェローシップに参加する機会を与えてくれたことを、心より感謝しています。私の研究が成果を出し、ここでの貴重な経験と知識を科学コミュニティーで分かちあえるよう頑張ります。

フェローシップでは、単に研究を行うだけではなく、全く新しい生活スタイル、気候、食べ物、言葉へ対応しなければいけません。でも、私のアドバイザーや研究室仲間に会った瞬間、新生活への不安はあっさりと消え去りました。彼らは私を温かく受け入れてくれ、私の研究や生活がスムーズにいくようしっかりと支えてくれています。研究仲間のフレンドリーさや、仕事に対する勤勉な姿勢はとても素晴らしいです。日本人はみな、環境に優しく、礼儀正しく、真面目で親切です。

お花見への参加や、「まつりつくば」での屋台や御神輿、踊りへの参加など、短い時間でしたがさまざまな日本文化との交流ができました。

2014年度国連大学キリンフェローの仲間たちとは、常に助け合っています。行ったことのない場所へ出向いたり、卓球をしたり、買い物をしたりと、いつも一緒に過ごしています。日本での体験全てを満喫し、大事にしていきたいと思います。

マナオイス ロザリー ヴァジェッホさん(Rosaly Vallejo Manaois)フィリピン出身

出身国での所属 フィリピンライス研究所 米化学・食品科学部 主任研究員
研究テーマ 色素米と数種類の野菜の機能性成分の研究
研究室 機能性成分解析ユニット
アドバイザー 渡辺 純 主任研究員

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研究分野や、学位取得目的の有無を問わず、フィリピンの研究者にとって日本は留学希望先として最も挙げられる国のひとつです。日本に来て食品総合研究所(NFRI)で働ける機会を与えてくれた国連大学とキリンホールディングス株式会社には深く感謝しています。

私の研究では、複数の異なった果皮の色のフィリピン米品種群と日本で日常消費されている複数の野菜から抗酸化特性を持った植物化合物を調査していきます。そして、色素米の抗酸化効果と生体モデルでの有用な微生物群への潜在的調節効果を検証していきます。

家族や友人と離れてから間もなく2ヶ月が過ぎようとしていますが、生活環境や研究環境は素晴らしいですし、現代の通信技術のおかげもあり、今のところさびしい思いをせずに日本での生活を楽しんでいます。つくばに到着した時は、ゲストハウスへつながった道路沿いの桜がちょうど満開で、私を温かく出迎えてくれました。それは息を飲むような美しさでした!つくばは、清潔で、静かで、平和な所です。しかも周りの景色が美しいのでストレスも忘れさせてくれます。NFRIは宿泊施設から徒歩で数分の所にあります。電車やバスなどを利用すれば、教会やその他重要な施設へ行くのも簡単です。日本人、特に私のアドバイザー、研究仲間、フェローシップのコーディネーターは、親切で、寛大で、礼儀正しい方々です。また、他のフェローとも友達になれました。一緒にいろんな場所を訪問したり、日本文化や伝統を体験したり、お互いから刺激を受けることもあります。これからももっともっといろいろなことを体験していくことを楽しみにしています。