シナリオ分析(TCFD)

TCFD提言のもとづく開示のPDF版

TCFD提言にもとづく開示

キリングループでは、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が2017年に公表した提言に対応し、気候変動問題が社会と企業に与えるリスクと機会や戦略のレジリエンスを評価し、概ね5年で提言に準拠した開示ができるように取り組みを進めてきました。2018年にいち早くシナリオ分析とその開示を開始し、2018年12月には日本の食品会社として初めてTCFD提言への賛同を表明しています。2020年からは、気候変動がもたらす事業の成長機会についても分析して開示しています。

ガバナンス
キリングループでは、気候変動問題を含めた環境全体の基本方針などの重要事項は取締役会で審議・決議し、SBT1.5へのアップグレード、RE100への加盟などの目標設定は、経営戦略会議で審議・決議します。環境目標は非財務KPIの1つであるCSVコミットメントに設定して各事業会社の経営計画に組み込むとともに、達成状況はキリンホールディングス執行役員の業績評価に反映されます。
グループ横断的な環境問題への対応はキリンホールディングスの社長を委員長、主要事業会社の社長を委員とする「グループCSV委員会」でも議論し、決定事項は取締役会に上程されます。環境経営の進捗状況や環境課題に関わる事業のリスクと成長機会は、毎年取締役会に報告し、レビューします。

戦略
2015年のパリ協定締結、2018年のIPCC「1.5℃特別報告書」やシナリオ分析の結果を受けて、キリングループでは長期戦略である環境ビジョンを改定してストレッチした目標を定め、経営戦略に組み込みました。緩和策としては、2050年までのバリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロ実現に向けてSBTを「SBT1.5℃」目標へと上方修正し、再生可能エネルギーの拡大や省エネルギーにより移行リスクに対応します。適応策としては、大麦に依存しない代替糖の活用技術や植物大量増殖技術、用水削減技術、持続可能な農園認証の取得支援などで物理リスクに対応します。熱中症や感染症の拡大など気候変動がもたらす社会課題に対しては、ソリューションとなる商品の提供を通じて社会課題の解決に貢献します。

リスク管理
キリングループでは、キリンホールディングスの中にグループリスク・コンプライアンス委員会を設置し、四半期ごとにリスクモニタリングを行うなどして、気候変動関連のリスクも含めてリスクマネジメントを統括しています。一方で、影響度と発生確率でリスクの重要度を判断する従来型のリスク管理手法だけでは気候変動リスクの把握には十分ではない場合もあると判断し、起こる可能性はわからないものの起きた場合に事業に極めて大きな影響を与えるリスクについては、シナリオを設定して分析・評価することで重要リスクを抽出・検討する新しいアプローチも取り入れています。

指標と目標
キリングループでは、2050年までのバリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロを目標として設定しました。中期目標としては、GHG削減目標を2030年までに2019年比でScope1+2で50%削減、Scope3で30%削減に上方修正(「SBT1.5℃」目標承認取得済み)し、使用電力の再生可能エネルギーを2040年に100%(RE100加盟)として設定(いずれも2020年に実施)しました。
持続可能な農園認証の取得支援や熱中症や感染症への対策商品の供給といった適応策は、各事業会社がCSVコミットメントとして目標に落とし込み、ロードマップを定めて取り組んでいます。

目標

Scope1とScope2合計排出量の目標

Scope3排出量の目標

  • 2020年12月に従来の「SBT2℃」目標から上方修正し、「SBT1.5℃」目標として認定されました。

達成状況

GHG排出量中期削減目標に対する進捗
Scope1とScope2合計排出量

Scope3排出量

  • 上記は、2019年比2030年までに、Scope1+Scope2で50%減、Scope3で30%減の「SBT1.5℃」目標に対する進捗のグラフです。

再生可能エネルギー使用拡大目標に対する進捗
使用電力の再生可能エネルギー比率

2020年までのシナリオ分析結果と戦略への反映

キリングループでは、2017年6月末にTCFD最終提言が公表される以前より、自然資本で成り立っている企業として生物資源・水資源に関する課題を認識し、さまざまなリスク調査を行ってきました。このようにバリューチェーン上のリスク評価に対する長年の知見が蓄積できていたことで、2017年にTCFDの最終提言が発表された後すぐにシナリオ分析を開始し、2018年6月末にいち早く「キリングループ環境報告書2018」でTCFD提言に沿った開示を行うことができました。
2018年は、IPCCの代表的濃度経路をメインに、共通社会経済経路を補助的に利用して、温度シナリオと社会経済シナリオを組み合わせた3つのシナリオにおいて、農産物収量へのインパクトを調査・評価しました。
2019年には、社内で設定した2℃シナリオと4℃シナリオにおいて、主な調達先国別に2050年と2100年時点の気候変動の原料農産物への影響を分析し、農産物生産地や製造拠点、物流拠点での水リスク・水ストレス調査、およびカーボンプライシングの財務影響評価も行いました。
2020年には、農産物の収量減が調達コストに与える財務インパクトや水リスク・水ストレスが製造拠点に与える財務インパクトを試算するとともに、気候変動が引き起こす熱中症や感染症に関連する事業機会についても試算して開示しています。

シナリオ分析の有効性

シナリオ分析は、起こる可能性に関わらず起きた場合に事業に極めて大きな影響を与えるリスクを把握し低減するマネジメント手法として、大変に有効であると考えています。
初めてシナリオ分析の結果を環境報告書2018年版で開示した2018年7月に、西日本豪雨(平成30年7月豪雨)が発生し、西日本の広い地域が大きな被害を受け、道路や鉄道網も寸断されました。
キリンビバレッジはトラック運転手不足対応を兼ねて積極的にモーダルシフトを推進し大幅なGHG排出量削減を実現してきましたが、最盛期に配送が止まり大きな影響が生じました。自然災害による輸送への影響は従来のリスクマネジメントでも影響度の大きいリスクとしてリストアップされ、一部でリスク低減に取り組んでいたものの、発生確率は低いと判断してきたため、細かな対応策までは検討されていませんでした。
これをきっかけとして、同年秋には、すぐに同様の災害が発生した場合のマニュアルを整備して運用を開始し、2019年10月の台風15号(令和元年房総半島台風)、19号(令和元年東日本台風)では大きな影響を避けることができています。現在は気候変動以外のリスクマネジメントでもシナリオ分析の手法が適用されています。

戦略への反映

2019年6月に開催されたグループCSV委員会において、パリ協定以降急速に変化する環境を取り巻く状況について報告され、議論を行った結果、経営層はプロジェクトを発足させて対応に取り組むことを指示しました。その結果取締役会で決議・改訂された「環境ビジョン2050」「GHG排出量削減目標」には、重要なインプット情報としてシナリオ分析結果が反映されています。
緩和策であるRE100への加盟やSBT1.5℃対応などの具体的な目標の改訂、キリンビール名古屋工場の使用電力を100%再生可能エネルギー由来とすることや4工場でのPPAによる大規模な太陽光発電の導入、オーストラリア事業での使用電力を2025年までに100%再生可能エネルギー由来にすること、適応策であるスリランカの紅茶農園での持続可能な農園認証取得支援のベトナムのコーヒー農園への展開、森林保全のための日本飲料事業の紙容器のFSC認証紙使用比率100%達成などでも、シナリオ分析の結果が反映されています。
今後は、気候変動をはじめとしたさまざまな環境課題を各事業会社の経営戦略に落とし込むべくCSVコミットメントを改定するとともに、2022年度からの中期経営計画に反映していく予定です。

シナリオ分析

生物資源

主要原料農産物への影響評価

2021年には、国内飲料事業、オーストラリア・ニュージーランドおよびミャンマーのビール事業を対象に、原料農産物収量減が与える財務インパクトについて試算し、2℃シナリオの75パーセンタイルでは、4℃シナリオより財務インパクトを約90億円縮小できる可能性があることがわかりました。2020年に国内飲料事業を対象に原料農産物の収量減による財務インパクト試算し開示しましたが、対象をグローバルに拡大するとともに、発生した場合のリスクの規模感を把握するために、価格変動率の予測データの分布のうち中央の50%が含まれる範囲で評価しました(グラフ2)。
気候変動がもたらす原料農産物への影響調査・分析は、2018年、2019年と2回にわたって実施しており、ほとんどの農産物で大幅に収量が減少することがわかっています(表1)。原料農産物生産地の水リスク・水ストレス調査でも、深刻な渇水リスクや洪水リスクが把握できています(表5)。

グラフ2:2050年の収量減による農産物調達コストインパクト

表1:気候変動による主要農産物収量へのインパクト(表記のない場合は2050年)

  • 表:気候変動による主要農産物収量へのインパクト

対応戦略

大麦に依存しない醸造技術

キリンビールは、日本市場の約4割強を占めてきた麦芽比率の低い発泡酒や麦芽を使わない新ジャンルで、過去10年間それぞれ70%、90%のシェアでマーケットリーダーシップを発揮してきました(グラフ3)。この知見の蓄積は、気候変動で大麦の調達コストが上昇した場合においても、大麦を使用しないか使用量を制限した製品でお客様の支持を獲得しつづけ収益を維持できる強みです。
今回、発泡酒・新ジャンルの製造に必要な異性化糖(トウモロコシ)およびタンパク源(大豆)についても、新たに気候変動に対する収量への影響調査を実施しています(表1)。トウモロコシは、現在の気温では4大輸出国で同時に収量減となる可能性は低いものの、2℃および4℃シナリオでは同時に収量減となる可能性が極めて高くなることがわかりました(表4)。
トウモロコシは高温耐性種育成についてほかの穀物と比べると研究が遅れていると言われていますが、アメリカでは持続可能な農業プラットフォームが農家に対する支援を開始していますので、これらの動きを注視していきます。大豆の気候変動による影響は表1の通りであり、現時点で大きな収量減の予想にはなっていません。NPOが開示している大豆のカントリー調査結果でも、リスクが低い国から調達できていると考えています。大豆は環境面で大きな懸念が示されている生産国も存在するため、今年から新たに「持続可能な生物資源利用行動計画」の中に組み込み、持続可能性の高い調達を維持していくことにしています。

グラフ3:発泡酒・新ジャンル(麦芽不使用)のキリンビールの国内シェア推移

表4:トウモロコシの4大輸出国で気候変動により現在と比較して10%または20%の平均収量減が同時に発生する確率

植物大量増殖技術

キリン中央研究所が所有する独自の植物大量増殖技術は、温暖化に対応した農産物が開発された際の育種に大きな力を発揮すると期待されています。完全に大麦やホップに依存しないビジネスモデルは考えにくいため、今後も高温耐性農産物が開発された場合に利用できるよう適用対象を拡大する取り組みを継続します。植物大量増殖のために独自開発した樹脂フィルム製の袋型培養槽は、土壌栽培よりも水を有効利用できるため、水ストレスの高い地域での栽培にも対応可能ですので、これについても適用拡大を検討していきます。

持続可能な農園認証取得支援

2013年から継続しているスリランカ紅茶農園へのレインフォレスト・アライアンス認証取得支援では、気候変動による集中豪雨や渇水などの影響を低減し、気候変動にレジリエントな農業を継続して推進していきます。毎年スリランカに赴き農園マネージャーたちと意見交換し現地を確認することで、気候変動が農園に与える影響を把握して適切な対応につなげていきます。グループのニュー・ベルジャン・ブルーイング(アメリカ)では、モンタナ州立大学に資金を提供して気候変動の緩和と適応に焦点を当てた大麦育種プログラムを支援しています。

水資源

水リスク・水ストレスによる影響評価

2021年に、2014年、2017年に続いて製造拠点の水リスクと水ストレス調査を実施した結果、洪水などの水リスクが高いのはミャンマーと中国(珠海)であり、渇水など水ストレスが高いのはライオンのオーストラリア3工場とタイ協和バイオテクノロジーズの工場だとわかりました。将来予測では、ライオンのオーストラリア6工場の水ストレスが高くなることがわかりました。原料生産地については2017年に詳細な水リスク調査を行っており、多くの生産地で水ストレスが高くなることを把握しています(表5)。
洪水および渇水による製造に対する財務インパクトの試算結果は、表7の通りです。
水リスクについては、Aqueduct3.0および自治体が作成しているハザードマップを参照して評価しました。洪水による製造事業所の財務インパクトについては、自然災害リスクを定量評価できる全球シミュレーションシステムによって試算しましたが、財務インパクト試算結果が過去実績とかい離していたため、今回は過去の工場浸水での被害額を洪水による財務インパクトとして把握・管理することとしています。水ストレスについては、Aqueduct3.0およびインターネット調査、事業所へのヒアリングから評価し、財務インパクトは水ストレス「高」の事業所で試算しました。国別の水ストレス別水使用量のグラフ(グラフ6)を見ると、オーストラリアとタイでは水使用量は日本より少ないものの、ほぼすべての事業所の水ストレスが高いことがわかります。一方日本では水使用量は多いものの、水ストレスの高い事業所はありませんでした。
ライオンは、2019年に独自に自社の水リスク調査を行っています。結果は、表8、図9の通りです。

グラフ6:国別・水ストレス別総取水量

表7:水リスク・水ストレス損害額試算結果

表8:ライオンのリスク調査(期間2018年1月~12月)

図9:ライオンの原料農産物ごとのウォーターフットプリント(期間2018年1月~12月)

対応戦略

洪水対応マニュアル整備と高度な用水削減技術

事業所での水リスクについては、洪水への適応マニュアルなどを整備して対応します。2011年にライオンのCastlemaine Perkins Brewery が浸水した際には、工場内の電源を予め遮断することでショートによる工場の電装設備損傷を防ぎ、損害額の低減と早期の稼働再開を実現しています。同様の対策は、2000年に発生したキリンビール名古屋工場での一部浸水でも有効でした。2018年に発生した西日本豪雨の経験を受けて、広域で物流が遮断されることが想定される場合の対応マニュアルの整備を行ったことで、その後の台風15号、19号で大きな影響を避けることができています。事業所での水ストレス対応としては、ライオンでは先進的な原単位目標達成に向け継続して節水に取り組みます。2020年に渇水による取水制限があったタイ協和バイオテクノロジーズでは、在庫を多く持ち、一時的に水使用量が少なくて済む製造品種に切り替えることで取水量を制限し被害を避けることができています。このような知見をグループで共有することで、対応力を強化しています。

表5:主要農産物生産地の水ストレス(2050年前後)

  • 表:主要農産物生産地の水ストレス(2050年前後)

原料農産物生産地の集中豪雨対策・水源地保全

農産物原料生産地の水リスク対応としては、スリランカ紅茶農園への持続可能な農園認証取得支援の中で、根の深い下草を植えることで集中豪雨での土砂流出の防止を進めていきます。水ストレス対応としては、2018年からスリランカ紅茶農園で水源地保全活動を開始しており、今後も拡大していきます。ベトナムのコーヒー農園でも、認証取得支援に加えて畑の保水能力向上施策を試行します。現状では大きな水ストレスが予想されている欧州や豪州の主要農産物に対して具体的な対策は取れていませんが、スリランカなどでの取り組みの知見を蓄積することで将来的な対応に活かしていきたいと考えています。独自開発した少ない水で農産物を栽培することのできる樹脂フィルム製の袋型植物大量培養槽についても、適応対象を広げて知見を蓄積していく予定です。

気候変動

カーボンプライシングの影響評価

2021年は、2019年に実施したカーボンプライシング試算をさらに精緻化した結果、「SBT1.5℃」目標を達成した場合はGHG排出量を削減しなかった場合に比べて、2030年では4℃シナリオで約6億円、2℃シナリオで約39億円、1.5℃シナリオでは最低でも約53億円の節税となると試算されました。試算では、電力排出係数および炭素税についてIEAシナリオを2℃シナリオ、4℃シナリオに適用し、IPCC1.5℃特別報告書を1.5℃シナリオとして新たに設定して炭素価格予想の根拠としました(表11)。試算結果からは、GHG排出量削減で大きな節税効果があることがわかりましたが、1.5℃シナリオでの炭素税額による財務インパクトもかなり大きくなることがわかります。カーボンプライシングが導入された場合の日本、オーストラリア・ニュージーランド、ミャンマーの農産物への調達コストへの財務インパクトについても試算しています(図10)。ただし、試算のために使用した論文における社会経済システムの設定がキリングループのシナリオとは異なるため、現時点では参考値として取り扱っており、今後詳しく評価していく予定です。

表11:カーボンプライシングの影響評価

  • カーボンプライシングの影響評価(2019年開示内容抜粋)

図10:2050年のカーボンプライシングよる農産物調達コストインパクト(売上収益に占める比率)

対応戦略

中長期的な収益中立でのGHG排出量削減

キリングループでは、気候変動対応の投資については中長期的な収益中立を目指して取り組みを進めていきます。具体的には、コスト削減効果の高い省エネルギー施策を早期に実施し、そのエネルギーコスト低減部分を原資として再生可能エネルギーを導入していきます。成功の鍵は経済合理性の高い設備投資を実現するための生産技術・エンジニアリング技術であると考えています。気候変動対策に取り組みノウハウを蓄積してきたキリンビールのエンジニアリング部門がグループ各社と連携し、グループ全体を俯瞰して最も効果の高い施策を立案し、スピーディに成果を生み出していきます。

温暖化による健康への影響評価

WHOによる気候変動と健康影響に関するシナリオ※1をベースに、デングウイルス感染症の影響について分析を行った結果は表12の通りです。このシナリオでは、感染症に晒されるリスク人口が東アジアと東南アジアで合計約10億人になり、経済成長を考慮した場合にはアジア・太平洋高所得国と東アジアではリスク人口が2050年で約25%減少しています。国立環境研究所の気候変動の観測・予測データ※2から、RCP8.5シナリオ(グループシナリオ3の4℃シナリオと同等)では、日本における熱関連超過死亡数は2080~2100年には1981~2000年の4倍弱~10倍以上とされています。気温との関連性が高いと考えられる日本での熱中症救急搬送者数で試算すると、2050年のRCP8.5シナリオでは1981~2000年のおよそ2~4倍になると見込まれています。

表12:4℃シナリオでデング熱リスクに晒される人口予測(上:万人、下:GDPなしからの増減率)

図13:感染症市場調査(Persistence Market Research)より

対応戦略

免疫を維持する商品での貢献

温暖化が進んでも経済成長した国や地域では感染症に晒されるリスク人口が増えずに減少するというWHO報告書の予想は、経済成長により免疫関連市場が拡大する可能性を示唆していると考えられます。別の調査では、4℃シナリオにおける2030年のアジアの免疫関連市場全体は2020年比で約1.8倍の7,500億円になると予想されています(図13)。感染症の拡大という社会課題に対して、キリングループのヘルスサイエンス事業では「免疫」領域を育成して対応していきます。ファンケル、協和発酵バイオを加えた垂直統合型のバリューチェーンを整え、キリンビバレッジや小岩井などでも商品化を進めます。

熱中症対応商品での貢献

キリングループシナリオ3(4℃シナリオ)では、熱中症対策飲料市場が温暖化と連動すると仮定し、940億円~1,880億円程度の国内市場規模の拡大が見込まれると試算しました。日本政府は、2018年以降の熱中症による年間死者数が連続して1,000人を超えることを深刻に受け止め、各省庁の行動計画を初めて1つにまとめて熱中症死者年1,000人以下を目標とする行動計画を決定しています。これらの動きに対応し、ソルティライチなどの熱中症対策飲料の販売を拡大していきます。

※1:World Health Organization (2014) Quantitative risk assessment of the effects of climate change on selected causes of death, 2030s and 2050s.
https://apps.who.int/iris/handle/10665/134014
※2:S-8温暖化影響・適応研究プロジェクトチーム 2014 報告書
https://www.nies.go.jp/s8_project/scenariodata2.html#no3