研究開発
科学の力で未来を切り拓く
キリングループは、1907年の祖業であるビール事業から酵母をはじめとする微生物発酵技術を進化させてきました。またもうひとつの主たる源流である協和発酵工業も抗生物質やアミノ酸事業により、微生物発酵技術を磨いてきました。すなわち私たちのオリジンは生物理解であり、“生への畏敬”をフィロソフィーとしています。やがてクラシックな発酵技術は先進的なバイオテクノロジーへと進化し、医薬事業を生みました。さらに、クラシックな発酵技術と先進バイオテクノロジー、両方の理解から第三の柱であるヘルスサイエンス事業が生まれたのです。このように、キリングループは常にサイエンスの発展に裏付けられた必然の進化を遂げ、今日の食領域・医領域・ヘルスサイエンス領域の三つの事業からなる企業となりました。
このようなバラエティに富む事業を作ってきたヒストリーに私たちは誇りを持っていますし、今では「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」というビジョンのもとたくさんの若い才能・卓越した経験を持つ研究者・技術者が集っています。まず私たちが大事にするのは、ハイレベルな基礎研究。オリジナルで差別性ある新しい発見を目指します。そして、それを事業化するための応用技術も得意にするところです。さらに、最終的な事業にするためのあらゆる社内のバリューチェーンや社外のイノベーションとの連動を近年、どんどん進めています。すなわち単に研究・技術開発することが目的化せずに、研究・技術開発成果をもとに広く世界につながって自らが人間的に成長する実感が私たちの励みです。
私たちキリングループの研究者・技術者は企業科学者としてサイエンスを武器に、世界の人々に価値を届けきるのだという不退転の覚悟で、日々切磋琢磨を続けることをお約束したいと思います。

常務執行役員
研究開発部門のビジョン
研究開発領域
わたしたちキリンの研究開発部門は、ビール製造を通じて培われた、原料選定・加工の知見や発酵・バイオテクノロジーを基礎として、食から医にわたる領域で事業の拡大に貢献してきました。

現在、開発する技術を幅広く活用し、より事業に貢献していくため、食およびヘルスサイエンス領域においては、基礎研究から事業化を見据えた応用研究を、キリンホールディングスの研究所が担います。生み出された技術を活用した商品やサービスの開発は、事業会社・事業部門の研究開発組織が行っています。医領域においては、協和キリンが中心となって研究開発を行っています。

わたしたちキリンの研究開発部門は、基礎研究から応用研究、商品・事業開発、生産、さらにはマーケティング・営業まで、シームレスに連携することを目指しています。一貫したプロセスにより、研究開発成果を迅速にお客様・社会に届けることが可能となります。事業、研究開発、知財が一体となって戦略を策定・実行し、お客様や社会への貢献を最大化していきます。各部門が協力し合い、お客様や社会のニーズに応えられるよう取り組んでいます。

食領域の研究開発
1907年の創業より、100年以上にわたって酒類事業と飲料事業を展開し、成長を続けてきました。基礎研究と事業化を見据えた応用研究をキリンホールディングスのR&D本部で行い、各事業会社・事業部の研究所においては生み出された技術を活用した商品の開発など、事業に直結する研究開発を行っています。

ヘルスサイエンス領域の研究開発
ビール事業で培った発酵バイオテクノロジーを発展させ、微生物や直物の研究を長年進めてきました。その結果、健康課題の解決に貢献できる多くの素材を発見、開発することに成功しました。マーケティング戦略と県開発戦略を連動させ、事業と密に連携したヘルスサイエンス研究所と、中長期を見据えたキリン中央研究所が両輪となって継続的に新たな健康機能性商品・サービスを創出し続けていきます。

医領域の研究開発

ビール製造で培った微生物・細胞の研究から発展した技術にバイオテクノロジーを掛け合わせ、1980年代に医薬品の研究開発を開始しました。現在では、2008年にキリンファーマと協和発酵工業が合併して誕生した協和キリンが中心となって研究開発活動を行っています。さらに医薬品にとどまらない価値創出も目指して、キリングループが取り組むヘルスサイエンス領域との接点を活用しています。
知財活動について

食・ヘルスサイエンス・医の各領域で創出された知的財産を重要な経営資産の一つと位置付け、知的財産の獲得、活用を行っています。
キリンの知財活動の特長は、シーズ起点の知財戦略(R&D戦略と連動)と、ニーズ起点の知財戦略(事業戦略と連動)の両面を行うことで、R&Dと事業をつなぐ機能を担っている点です。
これにより、経営に資する知財活動のもと、知財による価値創出の最大化を実現しています。