独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)ゲノムファクトリー研究部門【研究部門長 鎌形 洋一】遺伝子発現工学研究グループ 田村 具博 研究グループ長は、メルシャン株式会社【代表取締役社長 岡部 有治】生物資源研究所【所長 城道 修】と共同で、骨粗鬆症の治療薬などにも用いられる活性型ビタミンDを合成する酵素を放線菌より分離・精製することに成功した。
脂溶性ビタミンであるビタミンDは、動物体内では不活性型として合成された後、活性化の過程を経てはじめて機能する。活性型ビタミンDは、骨粗鬆症をはじめカルシウム代謝異常に対する治療薬として使用されているが、主要製造法である化学合成では、製造工程が複雑でかつ収量も低いため非常に高価である。
活性型ビタミンDの生産に利用されている放線菌を対象に、ビタミンDを不活性型から活性型に変換する酵素(ビタミンD水酸化酵素)を探索し、その分離・精製に成功した。その遺伝子を分離・特定したことによりこの酵素の機能を改変することも可能で、活性型ビタミンDの生産性を飛躍的に高めることができるほか、ビタミンD類をもとにした新規医薬品・医薬中間体の生産も期待される。
本技術の詳細は、第14回国際放線菌学会(14th International Symposium on the Biology of Actinomycates, 8月26~30日に英国で開催)で発表される。 |