2007年12月6日

〜アジアの一員として、途上国の食糧問題の自主解決を目的に食品科学研究員を支援
15年におよぶ長期支援を今後も継続し、「食と健康」領域でのネットワーク構築へ〜

2008年度「国連大学キリンフェローシップ」プログラムを支援

 キリンホールディングス株式会社(社長 加藤壹康)は、創設から本年で15年目を迎える「国連大学キリンフェローシップ」プログラムの契約終了に伴い、2010年までの3カ年契約を国際連合大学と新たに締結しました。本日、国際連合大学本部(東京都渋谷区)にて当社社長出席のもと契約締結の調印式を実施し、2008年度以降も引き続き途上国の食品科学研究員を支援していきます。
 「国連大学キリンフェローシップ」プログラムは、当社が「食と健康」に関わる企業として、途上国の食糧問題の自主解決を目的に、食品科学分野に関わる研究開発を1993年から継続的に支援しているものです。15年におよぶ支援の中で、これまで9カ国計78名の研究員を受け入れてきました。現在は、2007年度のフェローが研修活動を行っており、2008年4月には、その研究成果の発表と修了式を行うとともに、2008年度の新フェローの研修を開始します。
 当社では、これまでの支援を通して培ったアジアの研究開発人材のネットワークを活かし、アジア地域の「食と健康」領域での価値提案につなげていきたいと考えています。

 近年、アジア諸国は大きな経済発展を遂げていますが、同時に途上国における慢性的な食糧不足や、人口増加、食生活の変化にともなう需給バランスの崩れなど、多くの食糧問題を抱えています。このプログラムでは、フェローたちが食品科学分野における基礎研究・応用技術の研究を行い、習得した知識と技術をそれぞれの国で普及させ、社会に貢献することを目的としています。
 「国連大学キリンフェローシップ」に参加する研究者は、アジアの各大学や研究機関の推薦を受けた優秀な代表者の中から、国際連合大学とその提携機関の一つである独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所(茨城県つくば市)により選出します。フェローたちは、その研究所で1年間の研修活動を行うほか、学会・国際シンポジウムなどへの参加を通じて見聞を広め、ネットワークを構築します。また、当社の研究所・工場ならびに国内の大学研究室などへの訪問を通じて、日本の文化や社会についての理解も深めていきます。1年間の研修活動を終えた後も、帰国後2年間にわたって研究開発に要するフォローアップ支援費を支給することで、日本とアジア諸国との学問領域を超えた長期にわたる交流に貢献している点が特長です。

 これまで支援を受けたフェローたちは現在各国で活躍しており、彼らの研究成果は国家プロジェクトにつながったものや栄誉ある賞を受賞するなど、高い評価を受けています。
 当社では今後、これまで培った研究者・識者のネットワークを活用し、各国研究機関との「アジアR&Dネットワーク」を構築し、知見を一層高めることで、「食と健康」領域での価値提案につなげていきたいと考えます。

 当社は、アジア・オセアニアの「食と健康」を事業領域とするグループとして、これまで培った技術力をもとにお客様の生活価値の向上に貢献することを目指しています。キリングループは、「おいしさを笑顔に」をグループスローガンに掲げ、いつもお客様の近くで様々な「絆」を育み、「食と健康」のよろこびを提案していきます。

「国連大学キリンフェローシップ」概要

1. 対象者 将来、出身国の学術社会で指導的役割を果たしていくであろう、食品科学・技術分野の若手研究員を毎年5名支援
2. 研修先 独立行政法人 農業・食品産業技術研究機構 食品総合研究所(茨城県つくば市)にて。
研究員の専門分野に応じた担当アドバイザーのもとで指導を受ける。
3. 選定方法 各人所属の研究機関による推薦のもと、国際連合大学と上記研究所で構成する選考委員会にて決定。
4. 支援内容 日本での1年間の研修経費および帰国後2年間にわたるフォローアップ研究に関わる資金援助。
5. 契約期間 2007年12月18日〜2010年12月17日(3年間)
6. 支援金額 1億2百万円(3,400万円×3年)

「2007年度(2008年修了式参加)フェロー」

  • ・ラーマラクシュミ クラトゥラーン <インド>
    国立中央食品技術研究所 技術担当官
    研究テーマ:低品質コーヒー豆の有効成分抽出
  • ・ディン チャンフ <中国>
    河南工業大学 副教授
    研究テーマ:バイオエタノール製造に用いる酵母の特性解明
  • ・チメッドレグゼン ナランゲレル <モンゴル>
    モンゴル科学技術大学 研究員
    研究テーマ:乳製品の製造工程の高度化に関する研究
  • ・ファム ノゥック ジュエ <ベトナム>
    ポストハーベスト技術センター 研究員
    研究テーマ:高品質健康食品の製造に関する研究
  • ・ニーパット リムサングァン <タイ>
    カセサート大学 食品開発研究所 研究員
    研究テーマ:エクストルージョン工程による高機能性米製品の開発