メルシャン株式会社(本社:東京、社長:岡部
有治)は、ワインと魚介の組み合わせによる生臭み発生のメカニズムを解明しました。この研究成果を、「日本味と匂学会第42回大会」(会期:9月17日(水)~19日(金))で発表します。
▼研究の背景
ワインと料理の組み合わせはワイン用語で「マリアージュ(結婚)」と言われ、ワインを楽しむための重要な要素です。一般的に「白ワインに魚」「赤ワインに肉」といった組み合わせが合うといわれていますが、そのメカニズムのすべては解明されていません。
例えば、ワインと魚介料理をあわせた時に、まれに、口中で瞬時に生臭みを感じることがあります。この瞬時に発生する生臭みは、魚介料理とワインの相性を提案する上での課題のひとつになっています。そこで当社はこの発生メカニズムを解明する研究を始めました。
▼研究の概要
生臭みに影響を与えるワイン中の成分を特定するため、生臭みを発生しやすいホタテの干物と69種類のワインを合わせた時に発生する生臭みの強さの官能評価を実施しました。その結果、生臭みの強さはワイン中の「鉄」含有量と強く相関することを世界で初めて発見し(図参照)、「鉄」が多いほど、生臭みが強くなることを確認しました。
さらに、ワインと魚介から発生する生臭い物質が「(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール」であることを特定しました。
つまり、今回の研究の結果は、ワイン中の「鉄」が、魚介の「脂質」の酸化を促進して、「(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール」を瞬時に発生させ、口中の生臭みとして感じられることを示唆しています。
▼今後の展開
この発見により、一般的に言われている「白ワインに魚」という組み合わせを「鉄」含有量を指標とすることで、科学的に説明できる可能性があり、一方で、国産ぶどうを使った白ワインには「鉄」の含有量が少ないという調査報告があります。今回の発見を踏まえ、お刺身やおすしなど魚介が多く用いられる和食と甲州ワインをはじめとする国産ぶどうを使った白ワインとの相性の良さを解明する研究をさらに進めていきます。
当社はこの発見を科学的根拠に基づいたより明確で具体的な「ワインと料理のマリアージュ」の提案に活用することで「ワインのある豊かな食卓」を提案し、ワイン市場、日本の食文化発展に貢献していきます。
【発表の概要】
◆発表演題名 |
「ワインと魚介の組み合わせによる生臭み発生のメカニズムの解明」 |
◆発表日時 |
2008年9月17日(水)~19日(金) 「日本味と匂学会第42回大会」 |
◆発表場所 |
富山市民プラザ(富山県富山市大手町6番14号) |
◆発表者 |
メルシャン株式会社 商品開発研究所 田村 隆幸、谷口 潔、
鈴木 由美子、大久保 敏幸、高田 良二、金野 知典 |
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