[ここから本文です。]

KIRIN News Release

2009年1月9日

2009年 キリンビール事業方針

■2009年 キリンビール基本方針

 2007−2009年グループ中期経営計画の最終年度として、また、次期中計のゼロ年度として、総合酒類提案力の向上や、グループ連携強化による綜合飲料戦略の推進により、お客様から最も支持される企業を目指します。これまで進めてきた価格から価値への転換をより強固なものとし、厳しい事業環境の中でも安定した利益を生み出すことのできる強い企業体質を構築します。

■重点課題

  • ・成長分野である新ジャンルでさらに高い支持を獲得するとともに、発泡酒での圧倒的な地位を強化する。ビールでは、基幹ブランドを中心に活性化に向けた施策を展開する。
  • ・RTDでは、飲用シーンを踏まえた商品ポートフォリオ拡大を行うことで総需要拡大を図るとともにそのトップポジションを強化する。焼酎では、乙類と甲乙混和市場でのプレゼンス拡大を目指す。
  • ・地域に根ざした営業活動の強化、原材料および生産現場における品質向上と安全安心の確保、効率的なSCM戦略の推進により、お客様にとって価値ある商品を各部門がつくり分け、運び分け、売り分けていく。
  • ・キリンビバレッジ社やメルシャン社などのグループ会社と、開発から営業までのあらゆるバリューチェーンにおけるシナジーを創出する。
  • ・「環境」、「商品開発」、「食の安全・安心」をテーマに、キリングループの技術力を生かした独自の社会貢献活動を展開する。

■2008年の振り返り

 少子高齢化や嗜好の多様化、原材料価格の高騰を背景にした価格改定実施などの影響により、ビール・発泡酒・新ジャンルの総市場が減少する中で、当社の実績は1億8,020万箱となりました。
 当社は、「定番商品の強化」「糖質オフ商品の強化」「総需要拡大」の3つの課題を中心に取り組みました。大きく市場が拡大した新ジャンルでは、引き続き圧倒的な支持を獲得する「キリン のどごし〈生〉」に加え、生活防衛意識の高まりや嗜好の多様化を捉えた「キリン ストロングセブン」などが高い支持をいただきました。発泡酒では、定番の「淡麗」シリーズがそのトップポジションをさらに強化したほか、「麒麟ZERO」が2度にわたって販売目標の上方修正を行うなど好調に推移しました。ビールでは、「キリン一番搾り生ビール」を中心に取り組みました。RTDでは、「キリンチューハイ氷結」から「ストロング」や「ZERO」といった新機軸を提案し、いずれも好評をいただきました。

■2009年の取り組み

 ビール・発泡酒・新ジャンル計では、業界全体が引き続きマイナス傾向と予想される中、当社は上記重点課題を中心に取り組むことでお客様支持率のさらなる向上を図るとともに、グループ連携を進めることで総合酒類事業を強化し、激しい環境変化が続く国内酒類業界で収益性の向上に努めていきます。
 また、グループ全体の成長に貢献するマザービジネスとしての役割を果たすべく、綜合飲料グループとしての基盤強化を推進します。

■2009年キリンビール販売目標 単位:大びん20本換算(RTDは250ml×24本換算)

ビ・発・新 計 ビール 発泡酒 新ジャンル RTD
1億7,930万箱
(▲0.5%)
6,320万箱
(▲7.3%)
6,240万箱
(▲2.7%)
5,370万箱
(+12.1%)
3,690万箱
(+9.5%)

1.商品戦略

(1)ビール・発泡酒・新ジャンル

 健康志向のさらなる拡大を踏まえて、08年に成果を挙げた3つの課題を進化・発展させ、「定番商品強化」「健康志向への対応強化」「総需要拡大」として展開します。また、分かりやすい商品に対するニーズへの高まりを受け、グループの技術力を生かした「エビデンスマーケティング※1」の考え方に基づき、商品を通じて明確な価値提案を行うことで、多様化するお客様ニーズへの対応に積極的に取り組みます。また、海外ビールブランドでは、「バドワイザー」「ハイネケン」に加えて、09年6月から新たに「ギネス」の取り扱いを開始して、特にプレミアムカテゴリーの取り組みを強化します。

  • ※1 商品を通じて、分かりやすい根拠・裏づけのある価値をお客様に提案していくマーケティング手法。
【定番商品強化】

 09年に発売20年目を迎える「キリン一番搾り生ビール」をリニューアルします。一番搾りの特長をさらに進化させるために麦芽100%とし、さらに澄みきったうまさを実現します。高い支持率を誇る発泡酒市場では、「麒麟淡麗〈生〉」のブランド力をさらに強化するため、味覚のブラッシュアップを中心に、新広告の展開やキャンペーンを通じて、「本格的なうまさと爽快なキレ味」という価値を訴求していきます。各社からの新商品投入が続く新ジャンル市場では、「のどごし〈生〉」を中心に、技術力に裏づけされた商品力の高さを、好評なCMや店頭での展開を通じて改めて訴求していきます。

【健康志向への対応強化】

 健康志向は09年も引き続き高まっていくと予想されます。当社では、糖質70%オフの「淡麗グリーンラベル」を中心に、「麒麟ZERO」、プリン体99%カット※2とワインポリフェノールを用いたうまさを両立させた新商品「淡麗W(ダブル)」など、市場の広がりにあわせた幅広いラインアップを揃えることで、さらなる支持拡大を図ります。※2当社発泡酒比

【総需要拡大】

 様々な環境変化が進む中、総需要拡大に向けた取り組みはますます重要度を増しています。当社では、「キリン ストロングセブン」や「スパークリングホップ」を中心に、RTDや焼酎、清涼飲料などとの業際を強化することで、お客様への新たな価値提案を行っていきます。

 ■「キリン フリー」発売

 車の運転前やスポーツの前後など、これまで飲めなかったシーンで安心して楽しめるノンアルコール・ビールテイスト飲料「キリン フリー」を発売します。アルコールを生成しない新製法を開発し、アルコール0.00%を世界ではじめて※3実現しました。※3ビールテイスト飲料カテゴリーにおける。当社調べ

(2)RTDカテゴリー

 08年は「氷結」シリーズから生まれた「ストロング」や「ZERO」、「ツードッグス カクテル」などの新たな提案が、RTD市場の再成長に大きく貢献しました。09年は20代に加え、30〜40代への提案強化によるさらなる市場拡大を図ります。「ツードッグスカクテル」から「グレープフルーツ スプモーニ」を、「ギュギュッと搾った」からは「マンゴーオレンジ」を発売します。また、6月には世界No.1RTD「スミノフ アイス」をラインアップに加え、スタイリッシュな飲み方を提案していきます。

 ■「氷結アペリティフ」発売

 食事をおいしくする食前酒として、「氷結アペリティフ」を発売します。ワインと食の相性に知見を持つメルシャン社と共同で開発したもので、「氷結」ブランドからの新たな提案として展開します。

(3)和洋酒カテゴリー

 焼酎では、「白水」ブランドを中心とした商品ラインアップを中心に、成長カテゴリーである乙類および甲乙混和市場での存在感を高めていきます。洋酒では、「シーバスリーガル」「富士山麓」「フォアローゼズ」を中心に、さらなる成長を目指します。

 ■「麒麟焼酎 淡麗ストレート」発売

 嗜好のライト化を踏まえて新たな飲用スタイルを提案する「麒麟焼酎 淡麗ストレート」を関東、甲信越、静岡限定で発売します。冷やしてそのまま、水で割らずに飲むというこれまでにない提案で、新たな需要を獲得します。

2.営業力の強化

 お客様にとって当社商品が最も身近で選びやすい商品であるために、08年9月に変更した市場完結型組織を生かすことで、真に地域に密着した顧客関係力を構築するとともに、活動量を飛躍的に向上することで、量販店や飲食店での活動を強化します。販促面では、食品メーカーとのコラボ企画やインターネットを活用した新たな食連動の取り組み、サッカー日本代表応援企画などを展開します。また、当社独自のナレッジ循環システムであるキリノロジーを活用し、成功事例や失敗事例、お客様の声などを営業活動に生かすことで提案力の向上を図ります。

3.技術力のさらなる向上と、コスト削減の取り組み

 技術面では、お客様の健康志向を踏まえた総合酒類各カテゴリーでの新たな商品開発や、地球環境保全をテーマにした容器の軽量化などに取り組みます。また、食の安全・安心への関心が高まる中、品質保証体制の一層の充実を図っていきます。
 コスト削減の取り組みも継続します。工場では、ビールだけでなくRTDや清涼飲料などもあわせたトータルの視点で生産体制の見直しに取り組みます。また、生産・SCM・営業の各部門が連携して、倉庫の効率化や増トントラックの活用などに取り組むTCR活動※4を推進します。POPセンターによる店頭ツール一括管理の拡大により、ムダの削減も継続的に進めていきます。さらに、「競争と協調」の視点で取り組む他社との共同調達や共同配送の拡大など、業界全体の効率化にも貢献していきます。

  • ※4 Total Cost Reform の略。生産・SCM・営業の各部門間にまたがってコストアップ要因となっている課題を、各部門が横断的に協力して課題解決することでコスト削減を実現していく取り組み。

4.グループシナジーの拡大

 総合酒類化を推進し、綜合飲料グループ戦略の基盤強化を実施するため、あらゆるバリューチェーンでの連携を強化し、各分野での具体的シナジーを創出します。開発面では、ワイン醸造技術を持つメルシャン社と協働して開発した「淡麗W」や「氷結アペリティフ」を上市するほか、物流面では、キリンビバレッジ社やキリン物流社と連携したグループロジスティクス戦略を一層推進します。営業面では、キリンビバレッジ社やメルシャン社と相互に連携し、各社の強みを生かした営業シナジーを創出します。また、キリンビバレッジ社が開発し当社が営業活動を担う「キリン 烏龍茶」の展開に加え、各エリアではナガノトマト社やキリンフードテック社など食領域で事業展開しているグループ企業との連携も進めます。
 また、CO削減および省エネ技術を有する当社生産技術部や、高い容器開発技術を持つパッケージング研究所、市場リサーチ室を「センター・オブ・エクセレンス※5」として位置づけ、資源を傾斜配分することで、技術力や開発力、分析力をグループ全体で活用していきます。さらに、08年秋に実施したキリンビバレッジ社との人事交流も継続し、両事業の有機的な融合を促進します。

  • ※5 グループ全体の技術力・顧客関係力の卓越性に寄与する部署。該当部署にはより厚めの人材資源を配分し、グループシナジーの
    土壌形成などを図る。

5.技術力を生かした社会貢献

 環境面では、地球温暖化防止に向けたCOの削減や包装容器の3Rなど、「エコファーストの約束※6」で掲げた4つの取り組みを重点項目に、環境先進企業としての社会貢献活動を進めます。08年は、年初目標である90年比39%のCO削減(原単位)を達成し、今後は2012年までの目標として掲げている同50%削減(総排出量)、同45%削減(原単位)の達成に向けて取り組みます。
 また、健康志向や社会的要請への対応などお客様にとって価値の高いテーマに対して、技術力を生かした商品開発で積極的に応えていきます。食の安全・安心への取り組みについては、キリンホールディングス社の食品安全科学センターと連携することで、品質保証技術のさらなるレベルアップを図るとともに、安全保証の体制とその運用を強化していきます。

  • ※6 業界トップランナー企業による環境保全活動をさらに推進していくために環境省が創設した制度で、当社は製造業第1号として、環境大臣に対して2008年6月に「エコ・ファースト」の約束を宣言。容器包装3Rや再資源化、地球温暖化防止や全国の工場の水源地を守る取り組みを具体的目標として掲げている。

 キリングループは、「おいしさを笑顔に」のグループスローガンを掲げ、いつもお客様の近くで様々な「絆」を育み、「食と健康」のよろこびを提案していきます。

【お問い合わせ先】
キリンビール お客様相談室 フリーダイヤル:0120-111-560
【キリンホームページ】
https://www.kirin.co.jp/