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KIRIN News Release

2012年1月11日

2012年 キリンビール事業方針
〜誰よりもお客様の近くに。そして、もっと豊かなひとときを。〜

 キリンビール株式会社(社長 松沢幸一)は、持続的な成長を実現するために、国内事業を売上減少から反転、海外事業を拡大させるとともに、中長期を見据えて新たな取り組みに着手する「将来に繋げる1年」として、2012年のスタートを切りました。今年も、キリングループの成長を支える中核会社として、お客様にとって価値ある商品の提供を通じてキリンブランドの価値を高め、将来にわたってお客様から最も支持される企業を目指します。

■2012年キリンビール事業計画基本方針

  • 1.選択と集中による基盤ブランドの強化、お客様にとっての新しい価値創造
  • 2.キリンビールマーケティング社設立による営業力の強化
  • 3.海外におけるキリンビールブランドの販売強化
  • 4.キリンビールならではのCSRの実現
  • 5.自由闊達な組織風土醸成、企業の成長を牽引する人材育成

■2011年の振り返り

 少子高齢化や生活防衛意識の高まり、嗜好の多様化により、ビール・発泡酒・新ジャンルの総市場が減少する中で、東日本大震災の影響もあり、当社の販売数量は1億6,030万箱となりました。
 3月11日の東日本大震災により、仙台工場、取手工場、首都圏・東北の物流拠点などが被災しました。また、缶資材の逼迫が重なり、大規模な需給調整を余儀なくされ、5月上旬まで広告、キャンペーン、新商品の発売、店頭プロモーションなどのマーケティング活動が制約を受けました。製造については、大きな被害を受けた仙台工場以外の8工場で最盛期を乗り切り、電力削減要請に対しては設備稼働時間の調整や、自家発電の活用により対応しました。被災した仙台工場も復旧し、9月26日より仕込みを再開、11月2日には出荷を再開しました。
 復興支援の取り組みにおいては、「復興応援 キリン絆プロジェクト」を立ち上げ、9月から11月末まで実施した「今こそ!選ぼうニッポンのうまい!2011」プレゼントキャンペーンの対象商品および、東北産原料を使用した「一番搾りとれたてホップ生ビール」「キリンチューハイ 氷結アップルヌーヴォー<期間限定>」について、売上1本につき1円を東北の復興支援に活用しました。
 当社の商品戦略は、「選択と集中によるブランド力強化」「新しい価値創造による総需要拡大」に取り組みました。震災以降、徐々に市場が回復する中、またお客様の定番回帰もあり、主力ブランドの強化につながりました。大きく市場が拡大した新ジャンルでは、引き続き圧倒的な存在を誇る「キリン のどごし〈生〉」が高い支持をいただきました。発泡酒では、定番の「淡麗」シリーズがトップポジションをさらに強化し、中でも「淡麗グリーンラベル」は対前年プラスと好調に推移しました。ビールでは、「キリン一番搾り生ビール」が堅調に推移したほか、RTDの「氷結」も支持を拡大しました。また、氷を入れて飲む新スタイルビールとして「キリン アイスプラスビール」を夏季限定発売し、市場を活性化しました。
 海外においては、「一番搾り」が、ヨーロッパ、台湾、シンガポールなどでの販売を拡大しました。「キリン フリー」は、10月よりロサンゼルスなどのアメリカ西海岸でのテスト販売を開始し、業務用を中心に展開しました。

■2012年の取り組み

2012年キリンビール販売目標 単位:大びん20本換算(RTDは250ml×24本換算)
ビ・発・新 計※1 ビール 発泡酒 新ジャンル ビールテイスト飲料 RTD
1億6,350万箱
(+2.0%)

5,510万箱
(−2.3%)

4,530万箱
(−3.8%)
6,320万箱
(+11.3%)
550万箱
(+25.0%)
3,670万箱
(+14.0%)
  • ※1 ビ・発・新計の販売目標と、ビール、発泡酒、新ジャンルそれぞれの販売目標を足し合わせた数値が合致しないのは四捨五入の関係。

1.選択と集中による基盤ブランドの強化、お客様にとっての新しい価値創造

 ビール・発泡酒・新ジャンルでは、引き続き「一番搾り」「淡麗グリーンラベル」「のどごし〈生〉」を基盤ブランドとして資源を集中し、ブランドを強化していきます。また、成長カテゴリーであるRTDへの資源配分強化により「氷結」ブランドを活性化します。さらに、ノンアルコール・ビールテイスト飲料では、「キリン フリー」をリニューアルすることで再成長を図ります。
 ウイスキーでは、「富士山麓」「フォアローゼズ」「I.W.ハーパー」「ホワイトホース」「ジョニーウォーカー」の5ブランドに注力し、総合酒類での提案を強化していきます。

 新しい技術をお客様の生活スタイル、飲用シーンと組み合わせることによって新しい価値を創造していきます。今、日本全体で人と人との絆が見直されることにより、食卓を囲む時間を大切にしたいという人が増えています。伸張している新ジャンル市場において、コク・麦のうまみがありながら、酸味や雑味が少なく、飲みやすい“やわらかいうまさ”を実現した「キリン 麦のごちそう」を2月22日に発売し、日常生活をより心地よく、幸せに過ごしたいというニーズにお応えしていきます。
 「キリン フリー」は、取り扱い飲食店が10万店を突破したほか、アメリカでのテスト販売開始など好調を継続していますが、“ビール代替飲料”としてだけでなく、“ライフスタイルに適合した日常的に楽しめる飲料”として味覚・パッケージともに1月中旬製造品よりリニューアルを行います。人工甘味料、合成香料、酸化防止剤を用いず、従来通り麦芽100%麦汁※2を使用することで、麦芽とホップの素材の恵みが生きた爽快なおいしさに進化させます。

  • ※2 麦芽とホップと水で麦汁を仕込む際、米やスターチなどの副原料を用いずに麦芽100%の麦汁を使用。

 RTD市場では、ワイン気分を気軽に味わえる爽快な飲み心地のお酒として、白ワインを炭酸水で割った「キリンワインカクテル ワインスプリッツァ 白」※3を2月8日より発売し、お酒の新しい飲み方や楽しみ方を提案していきます。また、同市場では、低アルコールカテゴリーが拡大していることから、昨年発売した「氷結やさしい果実の3%」シリーズを味覚・パッケージともにリニューアルし、3月14日に発売します。甘味料による後味の甘さを解消することで、果汁のみずみずしさを引き立て、「氷結」らしい果汁感と爽快感を実現します。さらに現在のラインアップに「白桃」を加え、4フレーバーで展開します。

  • ※3 「スプリッツァ」とは、ドイツ語の“シュプリッツェン(はじける)”が語源の白ワインを炭酸水で割ったライト感覚のカクテル。ヨーロッパではワインを気軽に楽しむ飲み方として定着している。

 また、「一番搾り」から今までにない新たな飲み方を提案するなど、酒類市場を活性化していきます。

2.キリンビールマーケティング社設立による営業力の強化

 これまで取り組んできた、ブランドの価値、魅力を実感いただく機会をつくり出す価値提案営業をさらに進化させるため、当社の営業部門とキリンマーチャンダイジング社を統合した新会社キリンビールマーケティング株式会社(社長 植木宏)を1月1日に設立しました。キリンビールマーケティング社は、エリアプランの立案から実行まで、一つの組織で一体となって進め、得意先へのスピーディーな対応を実践します。また、地域に根ざした働き方を実現し、多様な人材の登用を積極的に進めることでより地域に密着した営業体制を築きます。さらに、地域や得意先ごとに、営業担当者とマーチャンダイザーがチームを組む「ユニット営業」を実践し、本部商談から店頭、飲食店の活動まで一貫したマネジメントを展開することで、課題解決型の価値提案営業を強化します。
 また、「富士山麓」「フォアローゼズ」に加え、「ジョニーウォーカー」をはじめとしたディアジオ社の洋酒、メルシャン社のワインのラインアップを活かした総合酒類提案力の向上を図ります。

3.海外におけるキリンビールブランドの販売強化

 グローバルブランディングの仕組みを構築し、「一番搾り」を中心としたキリンビールブランドの拡大を目指します。
 「一番搾り」は、現地法人のあるヨーロッパ、アメリカ、台湾でのプラス成長の継続、またシンガポール、韓国、香港への輸出大幅増、さらにはタイへの進出を検討し、アメリカ、ヨーロッパ、アジア地域における販売の拡大を目指します。
 「キリン フリー」は、昨年10月より開始したアメリカでのテスト販売の知見を生かし、他の地域についてもお客様の需要を調査し、輸出を検討していきます。
 「フォアローゼズ」は、アメリカでの拡大と、新たな市場の開拓により、対前年プラスを目指します。

4.キリンビールならではのCSRの実現

 「社会と共有できる価値」を明確にし、「環境」「健康・アルコール関連問題」「復興支援」をテーマに、当社ならではのCSR活動を展開していきます。
 「環境」では、10年中計で掲げた「12年末までに国内における製造・物流・オフィスのCO排出量を90年比で60%削減(総排出量)」を11年に前倒しで達成しました。今年は、さらに65%削減まで上方修正して取り組みます。限りある資源を大切にする取り組みや、地球温暖化防止に向けたCOの削減の取り組みとして、国内最軽量缶の導入など、人にも環境にも優しいパッケージの開発、容器包装の3R、工場でのさらなる省エネ・用水削減、自家発電設備の拡大、他社との共同配送や、一部のサプライヤーと協力した双方の車両効率運用、モーダルシフトの推進など、環境保全取り組みの業界トップランナーである「エコ・ファースト認定企業」※4として活動を強化します。

  • ※4 企業の環境保全取り組みに関する業界のトップランナーとして認定され、環境大臣に環境保全に関する取り組みを約束している企業。

 「健康・アルコール関連問題」では、“アルコール0.00%”の「キリン フリー」を通じて、全日本交通安全協会が提唱、日本フードサービス協会、日本自動車連盟(JAF)が推進する「ハンドルキーパー運動」を引き続き支援し、飲酒運転根絶に向けた取り組みを強化します。また、関係団体と連携し、適正飲酒、未成年者飲酒根絶に向けた取り組みを一層推進していきます。
 「復興支援」では、「復興応援 キリン絆プロジェクト」として、お客様にも参画いただき、対象商品の売上1本につき1円を岩手県、宮城県、福島県の農業、水産業の復興支援などに活用します。支援金として年間で約15億円を予定しています。農業においては、JAグループと連携し、東日本大震災により被害を受けた岩手県、宮城県、福島県の農家に対して、全国の農家から集められた農業機械を活用した営農再開を支援します。水産業においては、養殖業の復興に取り組み、漁業協同組合を通じて岩手県はわかめ、宮城県は牡蠣、福島県は青のりを中心に養殖再開に向けて、養殖設備の復旧を支援します。今後も変化する被災地ニーズに合わせた取り組みを継続していきます。

5.自由闊達な組織風土醸成、企業の成長を牽引する人材育成

 06年から取り組んでいる組織風土改革を目的としたV10活動では、全従業員の意識や行動の主体的な変革を推進することにより、ビジョンである「酒類事業の誓い」を実現することを目指します。具体的には、現場の意見が経営に迅速に活かせる仕組みづくりを目的としたトップとの対話集会、企業理念のさらなる浸透のためのフォーラムを開催します。また、社内コーチを400人まで拡大することでコーチングコミュニケーションの拡充を図るなど、自由闊達な組織風土を醸成していきます。
 人材面については、国内・海外事業会社間の人材交流を拡大し、企業の成長を牽引する人材育成をさらに強化します。

 キリングループは、「おいしさを笑顔に」のグループスローガンを掲げ、いつもお客様の近くで様々な「絆」を育み、「食と健康」のよろこびを提案していきます。

【お問い合わせ先】
キリンビール お客様相談室 フリーダイヤル:0120-111-560
【キリンホームページ】
https://www.kirin.co.jp/