2012年3月22日

<参考資料>
ウイルス感染防御に関与する乳酸菌を「プラズマ乳酸菌」と命名

 キリンホールディングス株式会社(社長 三宅占二)のフロンティア技術研究所(横浜市金沢区、所長 水谷悟)は、小岩井乳業株式会社(社長 布施孝之)と共同で乳酸菌Lactococcus lactis の一種が、動物でウイルス感染防御における免疫賦活効果を示すことを確認していますが※1、この度その効果がヒトにおいてもあらわれることを見いだし、この研究の成果を日本農芸化学会2012年度大会にて3月23日に発表します。また、この乳酸菌を「プラズマ乳酸菌(Lactococcus lactis JCM5805株)※2と名づけました。

 プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)※3は、ウイルス感染時に活性化しサイトカイン※4の一つであるIFN※5−αを産生するウイルス排除反応をつかさどる細胞です。これまでマウスを用いた動物試験ではプラズマ乳酸菌(JCM5805株)によるpDC活性化効果が確認されていましたが、今回、ヒトpDCを用いてプラズマ乳酸菌(JCM5805株)を作用させたところ、IFN−α産生誘導能が確認されました。

 さらに、健康な成人男女38名を対象にプラズマ乳酸菌(JCM5805株)入りヨーグルト飲料またはプラセボ飲料を4週間摂取した際のIFN−α産生誘導能および風邪症状の主観的評価を確認しました。その結果、ヨーグルト飲料摂取者はプラセボ飲料摂取者に対してIFN−α産生誘導能が有意に高まることが確認されるとともに、摂取期間中の風邪の諸症状(頭痛・鼻づまり・のどの痛みなど)が現れた日数も少ないことがわかりました。

  • ※3 1997年に血液中から発見された新しい免疫細胞。体内でウイルス感染防御を専門的に担っている。
  • ※4 免疫細胞から分泌されるタンパク質で、特定の細胞に情報伝達し活性化を促進し、免疫、炎症に関与するものが多い。
  • ※5 インターフェロン。3つのタイプに分類され、このうちタイプ1に属するIFN-αは抗ウイルス作用の中心的役割を果たす。

 これらのことから、動物だけでなくヒトにおいても、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)の摂取によりpDCが活性化され、IFN−α産生能が上昇することでウイルス感染を防ぐ可能性が示唆されました。さらに、プラズマ乳酸菌は加熱死菌体のみならず生菌においても同程度のIFN−α産生誘導能が認められるため、今後はヨーグルトをはじめとする幅広い食品への応用が期待されます。

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