2013年3月5日

スリランカの紅茶農園におけるレインフォレスト・アライアンス認証取得支援開始
〜生産地の生物多様性保全に向けて「持続可能な生物資源の調達ガイドライン」を策定〜

 キリングループでは、2010年に「キリングループ生物多様性保全宣言」を策定し、生物多様性に配慮した事業活動を推進してきました。今後、さらに活動を強化していくために、このたび、約100カ国で活動している環境保全団体WWFのWWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン)と協働して、「キリングループ持続可能な生物資源調達ガイドライン」および日本国内における紅茶、紙・印刷物、パーム油の調達に関する行動計画を策定しました。また、生産地の農家とともにさらに持続性を向上させる取り組みとして、スリランカの紅茶農園のレインフォレスト・アライアンス認証※1取得を支援する取り組みを開始します。

 スリランカは世界有数の紅茶葉輸出国であり、日本に輸入される紅茶葉の約60%がスリランカ産です。※22011年では、日本に輸入されたスリランカ産の紅茶葉の約25%が「午後の紅茶」に使用されました。これを受けてキリングループではスリランカの紅茶農園の持続可能性についての調査を行い、調達先の紅茶農園を特定し、その紅茶農園の生態系保全への対応状況を各種農法認証の取得状況より評価しました。

 調査の結果、約4割の農園が生物多様性に寄与する認証を取得していることが判明したのと同時に、資金的な厳しさから認証取得に対応できない農園が多くある実態も把握できました。そこで将来的には地域全体の持続性が向上することを目指して、意欲ある農園に対して、持続可能な農法認証制度である「レインフォレスト・アライアンス認証」取得を支援していきます。今回の支援においては、現在取り組んでいる「キリンビバレッジ・スリランカフレンドシッププロジェクト」※3の支援対象となっている農園より4農園を選定し、認証を取得する際のトレーニングに必要な資金を「レインフォレスト・アライアンス」に今後1年間提供します。

 キリングループでは、「食と健康」の領域で事業を営む企業グループとして、今回の支援をはじめ、豊かな地球の恵みを将来にわたって享受し引き継ぎたいという想いを、バリューチェーンにかかわるすべての人々と共につないでいきます。

  • ※1 農園が環境保護、社会的公正、経済的競争力の全てについて持続可能であることを、農業活動の社会的・環境的持続可能性を促進する独立した非営利環境保護団体の連合体であるサステナブル・アグリカルチャー・ネットワークの基準に照らして独立した立場から監査し保証する国際的な認証制度。
  • ※2 日本紅茶協会 2011年紅茶統計より
  • ※3 スリランカの紅茶農園で育つ子供達の教育を図書の寄贈を通じて支援する活動

【キリングループ持続可能な生物資源調達ガイドライン】

■目的
「キリングループ生物多様性保全宣言」に基づき、「生物資源の持続可能な調達」を続けるために、基本的な考え方を示します。

■適用範囲
キリングループが日本国内で調達する生物資源において、リスク評価により森林の違法伐採や環境破壊等のリスクを伴うと判断した特定のものについて適用します。

■持続可能な生物資源調達ガイドライン
キリングループは、対象とすると決めた生物資源について以下の原則のもとに調達を実施します。
1.違法に森林を伐採して造成されたプランテーション、もしくは植林地に由来する原料ではないこと、また伐採にあたって原木生産地の法令を守り、適切な手続きで生産されたものであることが確認されたもの
2.信頼できる第三者によって認証された農園・森林等に由来するもの
3.環境破壊などを行なっていると判断されている事業者が生産したものではないもの※1

■実施と運用に関して
上記のガイドラインは、生物資源が抱える課題や地域による調達事情がそれぞれ異なることを考慮して、調達する産物の生物多様性上のリスクの評価にもとづいて定期的に見直しを行うとともに、各国または地域の特性を勘案し、別途行動計画を定めて段階的に実施することとします。
取り組みにあたっては、サプライヤーおよび専門家・NGOなどのステークホルダーと協力し、原料生産地で働く人々が生物資源の持続性を考慮した生産へ移行する支援も考慮しながら、長期的視点で取り組みを進めます。

■情報公開と外部コミュニケーション
取り組みの進捗状況は、サステナビリティレポートやWeb等を通じて、透明性を確保しながら公開するとともに、適切な外部コミュニケーションにより持続可能な生物資源の利用に向けたお客様やパートナー・社会の理解を促進します。

  • 注釈
  • ※1 現在のところFSCのPolicy for the Association of Organization with FSC を参照とします。

【キリングループ持続可能な生物資源利用行動計画】

1.紅茶
キリン株式会社にて、以下の3段階のステップで調査を行い、毎年レビューを行いながら、持続可能性のレベルを向上させていきます。
Step.1 購入先の紅茶園を特定します。
Step.2 特定した紅茶園の持続可能性※1を評価します。
Step.3 持続可能性の高い農園のものを使用します。

2.紙・印刷物
基本方針に加えて、
A.古紙を主原料とするもの
B.環境面で保護価値の高い森林を破壊していないもの※2
を優先的に使用することとし、紙の種類によって下記のように対応します。

キリン株式会社(およびキリンビール株式会社、キリンビバレッジ株式会社、メルシャン株式会社)にて、事務用紙:2015年までに、再生紙(100%。100%に満たない場合は、調達先へのアンケート等によって、「持続可能な生物資源調達ガイドライン」に合致するもの)またはFSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)認証紙等を100%とします。※3
容器包装資材:2015年までに、調達先へのアンケート等によって、「持続可能な生物資源調達ガイドライン」に合致するものであることを100%確認します。※4

3.パーム油
パーム油※5が抱える課題を考慮し、RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil、持続可能なパーム油のための円卓会議)によって承認されている認証証明取引プログラム(a certificate trading programme)であるBook and Claim方式を利用して、国内事業会社にて、下記のように対応します。
一次原材料として使用しているパーム油:2013年までに全量を対応します。
二次原材料として使用しているパーム油:2015年までに全量を対応します。
なお、パーム油の生産農園の特定や、充分な量のRSPO認証パーム油が直接購入可能となった場合には、別途レベルアップした行動計画を策定することとします。

  • 注釈
  • ※1 Step.2における紅茶の持続可能性は、レインフォレスト・アライアンス認証、Ethical Tea Partnership、国際フェアトレード基準、GLOBALGAPのいずれかの取得状況で評価する予定です。
  • ※2 High Conservation Value Forest: HCVF と呼ばれるもので、FSCの定義によるものとします。
  • ※3 事務用紙とは、コピー用紙、封筒、名刺、会社案内等とします。
  • ※4 容器包装資材とは、一次容器、二次容器、ラベル等とします。
  • ※5 パーム油とは、アブラヤシ果肉から得られるパーム油およびその種子から得られるパーム核油を含みます。

  • 【お問い合わせ先】キリンホールディングス株式会社 お客様担当 フリーダイヤル:0120-766-560
    お問い合わせフォーム https://www.kirinholdings.co.jp/customer/
  • 【キリンホールディングス ホームページ】http://www.kirinholdings.co.jp