[食領域]
<参考資料>「ASEV 日本ブドウ・ワイン学会 2013年大会」にて「大会発表賞」を受賞!
~「国産シラーに含まれる胡椒様アロマrotundoneのSBSE法と2次元GC/MSを用いた定量」において~
- 研究・技術
2013年12月16日
メルシャン株式会社
メルシャン株式会社(社長 横山清)は、11月9日(土)に山梨大学甲府キャンパス(甲府市武田)において開催された「ASEV 日本ブドウ・ワイン学会 2013年大会」にて発表した研究「国産シラーに含まれる胡椒様アロマrotundone※1のSBSE(stir bar sorptive extraction)法※2と2次元GC/MS※3を用いた定量」において「大会発表賞」を受賞しました。
- ※1 シラーに含まれる、スパイス・胡椒様の香りを呈する化合物。
- ※2 無極性の液相であるポリジメチルシロキサン(PDMS)がコーティングされた攪拌子を用いて、試料中の分析対象物質を効率よく抽出・濃縮・精製する方法。
- ※3 ガスクロマトグラフ質量分析装置。有機化合物(特に低分子量成分)の定性・定量を行う分析装置であり、ガスクロマトグラフ(GC)と質量分析装置(MS)を結合した複合装置。GCで分離した単一成分についてMSスペクトルを測定することにより成分の定性を行い、MSにより検出されたイオンの強度により定量を行う。
- 研究について
- 同研究は、シラーワインの香りに含まれるスパイス・胡椒様の香り成分と言われている「rotundone(C15H22O)」を高感度でより簡便に定量化するため、SBSE法と2次元GC/MSを組み合わせた方法を開発したものです。
- この定量法を用いて長野県上田市および山梨県甲州市で栽培されたシラー果実を分析した結果、日本の中でも標高が高く、より気温が低い栽培環境で「rotundone」の含有量が高くなることが分かりました。また、同じ栽培環境においても収穫時期によってその含有量が異なることが分かりました。
- さらに、両地域で栽培したシラーを使用して醸造したワインを分析した結果、「rotundone」の含有量は海外で生産されているシラーワインと比較しても高い数値であることが分かりました。
- これらの結果より、日本の中でも産地の選定、収穫時期のコントロールによって多様なスタイルのシラーワインが醸造できること、さらに、日本は「rotundone」を多く含み、スパイシーなスタイルのシラーワインを醸造するのに優位な栽培環境であることが示唆されました。
- 今後、さらに研究を重ねることで、当社の「シャトー・メルシャン マリコ・ヴィンヤード シラー」のさらなる品質向上への活用や、日本産ワインの多様化など、シラーを使ったワイン醸造の様々な可能性が期待されます。
- ASEV日本ブドウ・ワイン学会 (ASEV JAPAN)と大会発表賞について
- ブドウやワインに関する研究と技術の発展を目指し1984 年に創設されました。研究発表会シンポジウム、学会誌の発行、諸外国との国際交流などの活動に加え、アメリカ合衆国デイビス市に本部のあるアメリカブドウ・ワイン学会 (ASEV) の日本支部として活動しています。
- 大会発表賞は、研究者・技術者の育成を目的に、若手が発表する全ての口頭発表を大会当日に大会座長が審査し、授与される賞です。
学会の概要
- 名称
- ASEV 日本ブドウ・ワイン学会 2013年大会
- 開催日
- 2013年11月9日(土)
- 開催場所
- 山梨大学甲府キャンパス(〒400-0016 山梨県甲府市4-4-37)
受賞の概要
- 受賞名
- 大会発表賞
- 受賞講演
- 「国産シラーに含まれる胡椒様アロマrotundoneのSBSE法と2次元GC/MSを用いた定量」
- 受賞者
- 高瀬秀樹1,3、佐々木佳菜子1、小林弘憲2、松山周平1、齋藤浩2、安井孝1、鈴木俊二3、高田良二1
(1メルシャン商品開発研究所、2シャトー・メルシャン、3山梨大学ワイン科学研究センター)