[ここから本文です。]

[食領域]

~社会課題「地域創生」を実現するビジネスモデルを目指して~

キリンと農林中央金庫が農業法人BEER EXPERIENCE社に出資 官民一体で遠野市まちづくりを推進

  • CSV

2018年8月6日

キリン株式会社
農林中央金庫

キリン株式会社(社長 磯崎功典)と農林中央金庫(理事長 奥和登)は、日本産ホップ有数の産地である岩手県遠野市(市長 本田敏秋)が掲げる「ビールの里構想」※1の実現に向けたまちづくりを加速するため、農業法人のBEER EXPERIENCE株式会社(社長 吉田敦史)に出資※2しました。このBEER EXPERIENCE社による官民一体の遠野市のまちづくりは、日本共通の社会課題「地域創生」を実現するビジネスのモデルケースとなることを目指します。

  • ※1 ホップ生産を起点とし、ビール文化の発展や産業の創出を通じて多様な価値を創造し、ビールの里・遠野に関わる全ての人たちがワクワクする未来を目指し、楽しく健やかに生きられるまちを実現する構想。
  • ※2 農林中央金庫はグループ会社「アグリビジネス投資育成株式会社」を活用して出資。

少子高齢化が進む日本において、地方の過疎化や農業の後継者不足は深刻な社会課題となっています。日本産ホップ有数の産地である遠野市においても、生産量はピーク時の約1/4まで減っています。ホップを原料とする日本国内のビール類市場も13年連続で前年割れが続いています。一方で、近年は多様な種類のホップを活用した個性豊かなクラフトビールの人気が若年層を中心に高まり、この5年間でクラフトビール市場は約2倍に拡大しています。キリングループは50年以上、ホップ栽培で契約関係を持つ遠野市と「ホップの里からビールの里へ」を合言葉に、これまでさまざまな取り組みで新規就農者の獲得や市内交流人口の増加などに貢献してきました。
今年新たに設立した農業法人BEER EXPERIENCE社への出資により、キリンが育種した希少ホップ「MURAKAMI SEVEN」※3を中心とした日本産ホップの持続的生産やブランド価値の向上、地域経済の活性化という社会的価値に貢献するとともに、日本産ホップの安定調達、クラフトブルワーへの外販を通したクラフトビールカテゴリーの育成といった経済的価値にもつなげ、CSV(価値の共創)経営を実践していきます。
農林中央金庫グループも、農業を通じた地域活性化に向けてさまざまな取り組みを進めています。今回のBEER EXPERIENCE社の立ち上げやJAいわて花巻、岩手県信用農業協同組合連合会とも連携した事業運営のサポートを通じて、遠野市の農業の発展や魅力的なまちづくりに貢献していきます。

  • ※3 キリン株式会社R&D本部 酒類技術研究所 主幹研究員 村上敦司が育種した希少な日本産ホップ。イチジクやマスカットなどの果実を思わせる香りが特徴。

今後も、キリン、農林中央金庫、BEER EXPERIENCE社がそれぞれの役割を担い、官民一体となって遠野市のまちづくりを実現していくことで、社会課題「地域創生」のモデルケースを示し、日本全国にこのような取り組みが広がっていくことを目指します。

BEER EXPERIENCE社による具体的な遠野市のまちづくり「ビールの里構想」推進計画は以下の通りです。

<BEER EXPERIENCE社のビジネスモデル>

(1)日本産ホップ生産の拡大と高度化

世界のホップ栽培技術を学び、省力化と作業効率化を追求した栽培を実現し高品質な日本産ホップを安定的に生産します。新規就農者を受け入れ、育成するプラットフォームを整えて強い農業形態を確立します。また、ホップがハーブの一種であることを訴求し、加工品開発も進めます。

(2)遠野パドロン生産の拡大と高収益化

おつまみ野菜であるパドロンの栽培および加工品開発も進め、高付加価値ビール関連食材として生産・認知を拡大することで、ホップだけでは成し得ない年間を通したビール農業ビジネスを確立します。

(3)ビアツーリズム事業

ビールを中心とした遠野市の産業資産を見学・体験する一般向けツアー、ホップ栽培・収穫の見学や遠野産ホップを使用したビールの試飲などを体験する飲食店・自治体向けツアーを開催し、第3次産業としてのコンテンツ・情報を発信します。

将来的には、ホップの特徴を生かしたビールの製造・販売や、醸造家を育成するための機能を持つブルワリーラボ事業なども検討し、農業を通じた地域活性化を実現することで、遠野市を日本随一のホップ生産地、かつ、日本のビール文化・産業の魅力を発信するまちへと発展させ、「ビールの里構想」の実現を推進していきます。

農林中央金庫 概要

名称 農林中央金庫
本拠所在地 東京都千代田区有楽町1-13-2 DNタワー21
設立年 1923年12月20日
代表者氏名 奥 和登
資本金 3兆4,804億円(2018年3月31日現在)
従業員数 3,608人(2018年3月31日現在)
事業内容 JA(農協)・JF(漁協)・JForest(森組)などからの出資およびJAバンク・JFマリンバンクの安定的な資金調達基盤を背景に、会員や農林水産業者、農林水産業に関連する企業などへ貸付を行うとともに、最終的な運用の担い手として国内外で多様な投融資を行い会員へ安定的に収益を還元。
連結総資産額 104兆9,277億円(2018年3月31日現在)
関連URL https://www.nochubank.or.jp/

BEER EXPERIENCE社 概要

名称 BEER EXPERIENCE株式会社
本拠所在地 岩手県遠野市青笹町糠前31地割19番地7
設立年 2018年2月
代表者氏名 吉田 敦史
資本金 500万円
従業員数 7名(2018年7月31日現在)
事業内容 「MURAKAMI SEVEN」を中心とした日本産ホップとおつまみ野菜パドロンの栽培およびその加工品の開発・販売、ビアツーリズムによる観光・研修ツアーの実施など。
出資金 キリン 1億5,000万円、アグリビジネス投資育成株式会社 1億円

一覧へ戻る