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[食領域]

キリンの日本産ホップに関する取り組み

~BEER EXPERIENCE社の活動進捗~

  • CSV

2019年7月25日

キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎功典)は、CSV※経営を掲げ、お酒を扱う企業としてまずアルコール関連問題の解決に取り組み、その上で、特に事業と関係の深い「健康」「地域社会・コミュニティ」「環境」の3つの社会課題に取り組んでいます。
日本産ホップ生産地の後継者不足解消や地域活性化という社会的価値に貢献するとともに、特長ある日本産ホップを生かした商品の開発や、日本産ホップを通じたクラフトブルワリーとの連携強化などにより、ビールの魅力化と市場の活性化といった経済的価値にもつなげ、CSV経営を実践していきます。

  • CSV:Creating Shared Valueの略。お客様や社会と共有できる価値の創造。

ビールにおけるホップの重要性

ビールの苦みや香りの由来であることから「ビールの魂」と言われています。世界では100品種以上のホップが栽培され、今も尚、新しい品種が生み出され続けています。新しいビールを創造するための「アイデアの源泉」となっているホップは、昨今日本でも根付き始めたクラフトビールの発展にも欠かせません。

日本産ホップの現状

国内のホップ農家の減少が生産量の
減少につながっている

地方の過疎化や農業の後継者不足は深刻な社会課題となっています。日本産ホップにおいても、生産量は全国でも2008年から10年間で446トンから202トンと半減しており、このまま何も手を打たなければ、近い将来日本産ホップを使用したビールが飲めなくなるかもしれません。

岩手県遠野市での取り組み

キリンは100年前から日本産ホップの試験栽培を開始し、日本産ホップの育成の取り組みを進めてきました。現在、日本産ホップの約7割をキリンが購入しています。岩手県遠野市においては、1963年にホップの契約栽培をスタートし、今年で56年を迎えます。

官民連携のまちづくり「ビールの里構想」

遠野市とキリンは、ホップの後継者不足を食い止め、持続可能なホップ生産地の確立を目指し、「ホップの里からビールの里へ」を合言葉に、ホップの魅力を最大限活かしたまちづくりに地域の皆様と連携して取り組んでいます。

農業法人 BEER EXPERIENCE株式会社(BE社)

遠野市が掲げる「ビールの里構想」の実現に向けたまちづくりを加速するため、2018年2月に農業法人「BEER EXPERIENCE株式会社」が設立され、同年8月にキリンは本取り組みを支えるために出資しました。BE社による官民連携の遠野市のまちづくりは、日本共通の社会課題「地域創生」を実現するビジネスのモデルケースとなることを目指し、産地を守ること、持続可能な生産体制を築くことを目的に活動を開始しています。キリンからもBE社へ社員を1名出向して、地域経済の活性化という社会的価値に貢献するとともに、日本産ホップの安定調達、クラフトブルワリーへの日本産ホップの外販を通した、「クラフトビールカテゴリーの育成」といった経済的価値にもつなげ、当社が掲げるCSV経営を実践していきます。

BEER EXPERIENCEの事業内容

①日本産ホップ生産の拡大と高度化
  • 世界の栽培技術を学び、省力化と作業効率化を追求した栽培を実現し、日本産ホップの安定した生産と高品質を確保
  • 新規就農者を育成するプラットフォームを整え、強い農業経営体制を確立
  • 日本産ホップを使用した加工品の開発
■日本初!ドイツ式ホップ棚完成、今夏初の収穫を実施!
  • ホップ生産量世界トップクラスのドイツの栽培方法に習い、6月に第一工区1.77haの圃場に国内では初となるドイツ式のホップ畑を完成させました。これによりホップ農家1戸(もしくは1人)あたりの収穫面積を拡大させ、ホップ栽培の効率化を図り、安定収穫を目指します。今後BE社では8haまで面積を拡大予定。(遠野市1戸当たりの平均面積約:70a)
  • 現在、第一・第二工区計4.87haの圃場の賃貸契約を完了。この畑では、キリンが開発した新品種「MURAKAMI SEVEN」を栽培!

~ドイツ式ホップ畑って?~

  • 機械による作業がしやすい圃場の設計が日本より進んでいる。機械化することで作業効率も格段に上がる。
  • 栽培に関する各工程の作業が機械化できるよう畑を集積・大規模化し、支柱を5mから7mに高め、かつ支柱の間隔を拡大。
  • ドイツで使用されているホップ栽培専用機械を輸入!今夏、ドイツ式機械による栽培と収穫を予定。

~新畑と最新機械の導入による作業効率化~

  • ホップ栽培に欠かせない「株開き」の作業日数の削減(土の中からホップの株を掘り起こし、余分な芽を剪定し切断する)
    遠野市ホップ農家1戸 平均面積 約70aあたり:7.5日(1日5時間作業)→BE社ドイツ式:1日
  • 収穫に要する人数:通常5人程度(作業によっては3~7人)→BE社ドイツ式:1人
■ホップ加工品「ホップシロップ~ハーブコーディアル~」生産・売上拡大へ
  • キリンの全国9工場での販売に加え、首都圏エリアで先行して、営業の商談アイテムとしての提案を検討中
  • BEER EXPERIENCE(株)の新ホップ畑

  • BEER EXPERIENCE(株)導入予定の機械

  • ホップシロップ

②「遠野パドロン」生産の拡大と高収益化

おつまみ野菜である「遠野パドロン」の栽培および加工品開発も進め、高付加価値ビール関連食材として生産・認知を拡大することで、ホップだけでは成し得ない年間を通したビール農業ビジネスを確立します。

■7月下旬サッカーコート1面ほどの国内初高規格パドロンハウスが完成!
  • 年約10か月間「遠野パドロン」の生産が可能に。(これまでは約3か月間)
  • 2026年に「遠野パドロン」の生産100tを目指す。(2018年約4t)
  • キリンシティ全店に今秋から「遠野パドロン」採用予定!
  • パドロンハウス

  • 遠野パドロン

③遠野ビアツーリズム事業

ビールを中心とした遠野市の産業資産を見学・体験する一般向けツアー、ホップ栽培・収穫の見学や日本産ホップを使用したビールの試飲などを体験する飲食店・自治体向けツアーを開催し、第3次産業としてのコンテンツ・情報を発信します。

■ビールの里・遠野を楽しむビアツーリズムが続々登場!
  • 昼版、夜版のビアツーリズムに加え、企業や自治体向けの研修プログラムも好評!
  • 設立時から、累計500名以上の方に参加いただいています!

~ビールの里の今後に向けて~

将来的には、日本産ホップの特長を生かしたビールの製造・販売や、醸造家を育成するための機能を持つブルワリーラボ事業なども検討し、農業を通じた地域活性化を実現することで、遠野市を日本随一のホップ生産地、かつ、日本のビール文化・産業の魅力を発信するまちへと発展させ、「ビールの里構想」の実現を推進していきます。

ニュースリリースに記載されている内容は、報道発表日現在の情報です。お客様がご覧いただいた時点で、情報が変更(生産・販売が終了している場合や、価格、仕様など)されている可能性がありますのであらかじめご了承下さい。

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