[ヘルスサイエンス領域]

~キリンとファンケルによる共同研究成果~

白麹菌抽出物をエイジングケア製品の開発応用へ美肌機能に関わる酵素の増加と皮膚老化兆候改善を確認

  • 研究・技術

2021年8月6日

キリンホールディングス株式会社
株式会社ファンケル

キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎功典、以下キリン)は、株式会社ファンケル(社長 島田和幸、以下ファンケル)と2019年の資本業務提携を契機にさまざまな共同研究を進めています。

2020年1月に、キリンが保有する白麹菌※1の抽出物に含まれる成分「14-デヒドロエルゴステロール(以下「14-DHE」)」が、美肌機能に関わる酵素「アルギナーゼ1※2」量を増加することを発表しています※3。さらに今回、「14-DHE」を含有する白麹菌抽出物を配合した美容液(以下、白麹菌抽出物)の連用試験を実施したところ、角層中の「アルギナーゼ1」量が増加するとともに、幅広い肌老化兆候が改善したことを確認しました。
両社は、今回得られた「14-DHE」を含有する白麹菌抽出物がエイジング世代の肌悩みに対して有効であると考え、この知見を製品開発に生かし、今後はエイジング世代に向けたファンケルの化粧品に配合する予定です。

本研究成果は、2021年7月31日(土)から8月1日(日)に実施された第39回日本美容皮膚科学会総会・学術大会にて、両社の共同研究成果として発表しました。

研究方法・結果

健常皮膚を有する50歳以上の女性32名に、白麹菌抽出物と無配合美容液(美容液の基剤:以下無配合)をそれぞれ指定した左右顔半分に、朝晩のスキンケアで使用していただき、使用前と使用4週間後に肌測定を実施しました。その結果、角層中の「アルギナーゼ1」量は白麹菌抽出物側で使用前と比較して4週間後で有意に増加し、無配合側では有意な増加は見られませんでした(図1)。黄ぐすみの指標となる皮膚色b*値※4、およびキメ(皮丘)の大きさも、白麹菌抽出物側の使用4週間後において、有意な低下を示しました(図2、3)。

  • 図1 アルギナーゼ1量の変化

  • 図2 皮膚色b*値の変化

  • 図3 白麹菌抽出物によるキメ(皮丘)の大きさの変化とキメの画像

キリンは、自社が保有する白麹菌Aspergillus kawachiiに含まれるステロール類※5の「14-DHE」に、経口摂取で高い肌質の改善効果があることを確認しています。ファンケルは、皮膚表面に多く存在する 「アルギナーゼ 1」が、角層の保湿機能や肌の酸化、糖化の制御に関わる重要な酵素であることを見出すとともに(図4)、「14-DHE」が皮膚細胞の「アルギナーゼ1」を増加し(図5)、抗糖化機能を有することを発見してきました。これらを踏まえ、「14-DHE」を含む白麹菌抽出物を配合した美容液の連用試験を行い、「アルギナーゼ1」量が増加することや糖化によって起こる黄ぐすみなどの肌老化兆候の改善について確認しました。

  • 図4 白麹菌抽出物に期待される肌の変化

  • 図5 アルギナーゼ1の増加効果
    コントロールのアルギナーゼ1の量を1とした場合の比率

今後の予定

今回、「14-DHE」を含有する白麹菌抽出物を配合した美容液の連用により、角層中「アルギナーゼ1」量の増加に加え、黄ぐすみの指標やキメの改善が確認されたことから、本成分による皮膚老化兆候改善を確認することができました。本成分は「アルギナーゼ1」量を増やし、従来の対処的なエイジングケアではなく、幅広い肌悩みに対する効果が期待できます。本研究成果から、「14-DHE」を含有する白麹菌抽出物がエイジング世代の肌悩みに対して有効であると考え、この知見を製品開発に生かし、今後はエイジング世代に向けたファンケルの化粧品に配合する予定です。

キリングループは、長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」を策定し、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV※6先進企業となる」ことを目指しています。その実現に向けて、既存事業の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、キリングループが長年培ってきた高度な「発酵・バイオ」技術をベースにして、人々の健康に貢献していく「ヘルスサイエンス領域」(ヘルスサイエンス事業)の立ち上げ、育成を進めています。

用語説明

※1 白麹菌
黒麹菌株から突然変異株として分離され、胞子の色が白黄色であることから白麹菌と呼ばれている。黒麹菌と同様に焼酎をつくる際に使用されている。

※2 アルギナーゼ1
たんぱく質の一種で、シミの原因となる活性酸素の発生を抑え、メラニン産生が起こらないようにバランスを調整し、シミを防ぐ力がある酵素。肌表面に多く局在する。身体の炎症時に増加し、正常化させる機能を持つ。ファンケルでは、長年研究を行い、① 紫外線による皮膚の赤み増加を抑制、②メラニン刺激因子やコラーゲン分解酵素を抑制、③酸化によるバリア機能の低下や炎症の拡大を抑制、④糖化物によるダメージや老化抑制、の四つの働きについて解明している。

※3 参照リリース:「白麹菌に含まれる成分が美肌機能に関わることを発見」
https://www.fancl.jp/laboratory/pdf/20200130_sirokouzikinn.pdf https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2020/0130_03.html

※4 皮膚色b*値
知覚的に等色差性を持ったL*、a*、b*表色系のうち、L*は明度、a*、b*は色の方向を示す。+b*は黄方向、−b*は青方向を示し、b*値が低くなると、皮膚の黄味が薄くなる。

※5 ステロール類
ステロール骨格を持つ化学物質の総称で、植物由来はフィトステロール、動物由来はコレステロールと呼ばれる。細胞膜を構成したり、生体内の情報伝達などに関与し、生理機能にとって重要な働きを持つ物質。

※6 CSV
Creating Shared Valueの略。お客様や社会と共有できる価値の創造

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