~キリン独自の「植物大量増殖技術」を活用~

ビールの原料「ホップ」の腋芽形成を促進する世界初のアプローチで、ホップの大量増殖技術の開発に成功!

~品種改良との掛け算で、ホップ産業への貢献と持続的な原材料調達体制を目指す~

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2022年6月30日

キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎功典)のキリン中央研究所(所長 矢島宏昭)は、独自の「植物大量増殖技術」を活用し、ホップの腋芽形成を促す世界初のアプローチで、ホップの苗を50倍以上に大量増殖させることに成功しました。また、植物の成長を制御している「ジベレリン」と「サイトカイニン」を組み合わせて付与することで、増殖効率を2倍以上増やす新技術も確立しました。
この研究成果は、『Plants』の4月号に論文掲載されました。

研究背景

ホップ産業は、ビールの原材料となる毬花の収穫が夏季のみであること、加えて気候や栽培条件に左右されやすく、栽培が難しい植物であることから、生産農家の減少が問題になっています。ホップ生産を持続的に行うためには、栽培の容易さや、収量の多さ、個性的な香味などの特徴を持ち、高品質で収益性の高いホップを育てる必要があります。その一方で、新品種の特性評価にも多くの試験用苗を必要とすることから、効率のよいホップ苗の増殖技術が期待されていました。

研究概要

当社は、長年の植物研究の知見から、じゃがいもなどを大量増殖させる「植物大量増殖技術」を開発してきました。今回は、この技術を応用してホップの腋芽形成を50倍以上に促進させ、新たな苗を大量増殖させる技術を確立しました。腋芽は植物の茎と葉の間に作られる芽であり、成長すると新たな苗のもととなるため、植物の大量増殖において腋芽形成は重要なステップとなります。この腋芽形成を活用したホップの増殖技術の開発は世界初となります。さらに、植物の成長を制御する「ジベレリン」と「サイトカイニン」を付与することで、増殖効率をさらに2倍以上高める新技術も確立しました。

ホップ増殖研究は、これまで様々な研究機関でも試みられてきましたが、特定品種での増殖に留まっています。今回当社が発見した増殖技術は、汎用性高く、さまざまなホップへの応用が期待されるものです。現在当社では、本技術を利用して作製したホップ苗の実証栽培に向けた準備を開始しています。

今後の展望

今後、栽培のしやすさ・毬花収量増・地球環境・気候変動などに適応した品種改良が進めば、当社の大量増殖技術を組み合わせることで、ホップ農家の安定的な経営に加え、持続的な原材料の供給体制の創出にも繋がります。当社は、この技術を世界中に展開することで、世界のホップ産業、ビール産業に貢献していきます。

キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します。

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