消費者志向自主宣言・フォローアップ

理念

  1. 食と健康の領域で、情熱をもって真摯にお客様に寄りそい、一緒になって幸せな未来をめざします。そして、技術に立脚した品質本位のものづくりを通じて、人々の健康で心豊かな生活に貢献します。
  2. 安全で安心いただける商品・サービスを提供し、お客様の声を大切にして満足度の向上を図り、信頼される企業をめざします。
  3. 社会と共有できる価値の創造(CSV)という経営方針のもと、「健康」「地域社会」「環境」という3つの社会課題の解決に主体的に取り組むことで、お客様の幸せに貢献します。
  • CSV=Creating Shared Value

取組方針

1.常にお客様の立場に立って考えるという企業風土の醸成

  1. お客様本位、お客様満足が第一であるという経営トップの考え方を、従業員との直接対話等を通じて社内への浸透を図ります。
  2. お客様が価値を認めご満足いただける商品・サービスを提供できるための社内研修を実施します。

2020年 主な取組・成果

(1)「お客様本位」の浸透と実践に向けて
  • 創業以来の姿勢である「お客様本位」の考え方、お客様や社会の課題を解決していくことの重要性を“社長メッセージ”として、キリングループ全体への社内報や社内イントラネットを通じて発信しています。また、経営陣がグループ各社の全国事業所の従業員と直接対話を33回(Online含む)実施し、浸透を図りました。
  • コロナ禍で対面による直接対話は昨年と比較して減少しましたが、創業以来の姿勢である「お客様本位」の考え方、お客様や社会の課題を解決していくことの重要性を“トップメッセージ”として、キリングループ全体への社内報・動画や社内イントラネットを通じて発信し、従業員が自ら考える機会を創出しています。
(2)社内研修の実施
  • お客様からのお申出に対する営業担当者の応対品質の向上を図るため、オンライン研修を実施しました。
  • お客様相談室では人財育成を目的として、お客様対応専門員資格の取得(一般財団法人日本産業協会主催)を推進しています。消費者関連の幅広い知識を学び、お客様との直接の接点で、お客様に寄り添い、真意を汲み取ることで、適切な対応を可能にするための知識を習得しています。

2.お客様の安心につながる情報の適切な開示

  1. 適正飲酒の啓発活動を継続的に行っていきます。
  2. 商品・サービスにかかわる品質情報のコミュニケーションを充実させることで、安心感や信頼感の向上につなげていきます。

2020年 主な取組・成果

(1)適正飲酒啓発への取組
  • 新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食店での飲酒を伴う食事を控え、自宅で飲酒する機会が増えてきたことを踏まえ、オンライン飲み会での危険な飲み方に注意し、適正な飲酒を促すマナー広告※1をYouTubeとGyao!で配信したほか、タイアップ記事広告を展開しました。
  • アルコールの有害摂取の根絶に向け、キリングループが提唱する「スロードリンク」※2を解説するアニメーション動画※3を制作し、YouTubeやTwitterを通じて好評価をいただきました。
  • コロナ禍で対面による適正飲酒啓発セミナーの開催が昨年に比べ激減したものの、オンラインで実施するなど工夫を凝らし啓発活動を継続しました。キリンオリジナルアルコールパッチテスト付き啓発リーフレットをリニューアルし、自身のアルコール体質を知り、正しい飲み方等の知識を伝えるツールとして提供しました。
  • キリン本社および全国のキリンビールおよびメルシャンの工場所在地にて、成人式での適正飲酒啓発活動を実施し、啓発リーフレットの配布、啓発ビデオの放映、ポスター掲示等を通じて、新成人に対しお酒のリスクと正しい飲み方を伝えました。
(2)Webでの開示情報の拡充
  • キリンWebサイト内にある商品情報提供ページをリニューアルいたしました。ブランドごとに、「ブランドサイト」と「商品・品質情報」の入り口を設け、お客様が見たい情報にアクセスしやすい構成としました。
  • 「商品・品質情報」では、原材料、アレルゲン、原料原産地、栄養成分、機能性表示食品の消費者庁届出情報などを提供しています。一部の商品では、原料の産地情報に加え、原料の品質や安全に関する取り組みなどの掲載を始めました。また、商品特徴やアレルゲンなど、お客様の関心やニーズで商品を検索できる機能をつけています。
  1. 社外への適正飲酒啓発(適正飲酒マナー広告)
  2. 「スロードリンク」=お酒の時間をゆっくり楽しむこと、誰かと語らいながら食事のおいしさをよろこび、ほどよく飲んで、スマートに心地よく過ごす。
    飲む「量」ではなく、流れる「時」に心が満たされる。これからの時代のお酒の楽しみ方。
  3. 「スロードリンク」の解説動画

3.お客様の声を活かす仕組みづくり

お客様からいただいた貴重な声を全従業員に共有し、より良い商品・サービスの提供に活かしていきます。

2020年 主な取組・成果

(1)お客様の声への対応と共有
  • お客様相談室では、ご連絡を受けた時点で、その内容を情報管理システムに入力し、社内の各関連部門と連携しながら、迅速かつ丁寧に対応しています。2020年は、電話、メール、お手紙で年間約45,000件のお問い合わせやご意見、ご指摘※4をいただきました。また、全国の工場においても、工場見学時にいただくご意見やご指摘も同様に、情報管理システムに入力し、より良い商品・サービスの提供に活かしています。
  • 寄せられたお声は、翌日までに「日報」として社内共有する他、「月報」、「四半期報」、「トピックス」等のレポートを発信するとともに、お客様相談室の社内ポータルサイトで常時掲載し、全従業員に共有する取組みを継続しています。
  • また、お客様相談室に電話やメールをいただかなくとも、お客様ご自身で解決していただけるようお客様相談室ホームページの「よくあるご質問」の更新頻度を上げて対応した結果、閲覧数が前年と比べ大幅に増えた他、AIチャットボットも多くのお客様にご利用いただきました。
  • KIRIN公式ツイッターに寄せられたお声のうち、「商品が見つからない」などのようなお困りのお客様には、お客様相談室をご案内することで販売店をご紹介しています。
  1. ご指摘=商品やサービスに対するお客様のご不満が形となって現れたもののこと。
(2)お客様の声を改善につなぐ仕組み
  • お客様から寄せられたご意見やご要望を取り入れ、商品やサービスの開発、改善、充実を図るために、お客様相談室と研究開発、製造、販売、企画などの関連部門が集まる“改善ミーティング”を毎月実施し、改善につなげました。改善につながった代表的な事例はホームページでご紹介しています。

4.社会課題の解決に資する商品・サービスの開発・提供(CSVの推進)

  1. お客様の健康増進につながる商品・サービス・事業を創造します。
  2. 事業活動を通じた地域活性化や、サプライチェーンの持続可能性強化により、地域社会へ貢献します。
  3. 事業活動における環境負荷軽減の取り組みを進めていきます。

2020年 主な取組・成果

(1)お客様の健康増進につながる商品、サービス、事業の創造
  • キリンホールディングスの独自素材「Lactococcus lactis strain Plasma(以下、プラズマ乳酸菌)」を使用した商品が、機能性表示食品制度の「健康な人の免疫機能の維持をサポート」に関する表示で、免疫機能で初めて消費者庁に届出受理され、8月に公表されました。「プラズマ乳酸菌」は、「免疫の司令塔」である「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)」を活性化し、活性化された司令塔の指示・命令により、免疫細胞全体が活性化され、外敵に対する防御システムが機能します。
  • キリンホールディングスからは、サプリメントの「キリン iMUSE professional プラズマ乳酸菌サプリメント」、「キリン iMUSE プラズマ乳酸菌サプリメント」(15日分)、「キリン iMUSE プラズマ乳酸菌サプリメント」(7日分)を11月に発売しました。
  • キリンビバレッジからは、清涼飲料「キリン iMUSE ヨーグルトテイスト」、「キリン iMUSE レモン」、「キリン iMUSE 水」を11月に発売しました。
  • また、2019年に業務資本提携したファンケル社と当社がお互いの強みを生かして共同開発したフレーバーウォーター「キリン×ファンケル BASE ピーチ&ザクロ」と、ノンアルコールチューハイ「キリン×ファンケル ノンアルコールチューハイ 氷零 カロリミット®レモン/グレープフルーツ」を10月に発売しました。
(2)事業活動を通じた地域活性化、サプライチェーンの持続可能性強化による地域社会への貢献
  1.  日本産ホップへの取り組み
    • 年々減少する“ビールの魂”と言われる原材料「ホップ」の国内での生産を継続するため、自社商品での積極使用と商品を通じた原料の認知やブランド向上の取り組みのみならず、行政、生産者、地域の皆様と共に、生産地の活性化に向けた取り組みを継続して行っています。
    • 全国のクラフトブルワーに日本産ホップを提供し、その特徴を活かしたビールを各々持ちよって楽しむイベント“Fresh Hop Fest”を開催。全国多数のクラフトブルワーが参画し、ビール市場の活性化に向けた取り組みが全国で加速し、ビールを通じて人と人のつながりを増やしています。
  1. 日本産ワインへの取り組み
    • ワイン観光に取り組む世界最高のワイナリーを選ぶ「ワールド・ベスト・ヴィンヤード2020」で、 「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー」が日本から初選出され、世界第30位、アジア第1位を獲得しました。キリングループのメルシャンは、“シャトー・メルシャン”事業を通して、世界に認められる日本ワインの発展を牽引するとともに、ワインづくり、ぶどうづくりを支える産地の活性化に貢献することを目的に、ワイン産業を支える人材育成、遊休農地の活用、草原・絶滅危惧種再生や地元人材雇用機会の創出などに取り組んできました。シャトー・メルシャンは、日本ワインの黎明期から、新しい栽培方法の導入や醸造技術へのチャレンジを続け、日本ワイン全体の発展のため、新技術の公開をはじめ、人材育成や遊休地活用、雇用の創出などを実践。地域、自然、未来との共生を目指しています。
  1. 事業活動における環境負荷軽減の取り組み
    • 2013年に地球環境の課題認識を発展させ、2050年を見据えた長期戦略「キリングループ 長期環境ビジョン」を策定し、その実現に向けて事業を展開してきました。しかし、パリ協定を起点に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」などの国際的なイニシアチブが数多く立ち上がり、また、プラスチックによる海洋汚染が世界的な問題として議論されるなど、環境に対する世界の動向は大きく変わってきています。さらに、企業が行う環境に対する取り組みについても、自社で完結するものから、社会全体へポジティブな影響を与えられるものへと変化してきています。こうした中、社会と企業のレジリエンス強化へ向けた新たなビジョン「キリングループ環境ビジョン2050」を2020年2月に策定しました。わたしたちはこの新しいビジョンの下、これからの世代を担う若者をはじめとする社会とともに、こころ豊かな地球を次世代につなげていきます。
    • この「キリングループ環境ビジョン2050」では「生物資源」「水資源」「容器包装」「気候変動」の4つの柱を重要なテーマとして掲げており、商品をお届けするために必要な「容器包装」では、2020年11月末時点で国内の飲料グループ会社の紙製容器包装に使用する全ての紙をFSC®認証紙へ100%切り替えることができました。また、「気候変動」では、2020年11月に、電力の再生可能エネルギー比率100%を目指す企業で構成される国際的な環境イニアシアチブ「RE100」に加盟しました。さらに2020年12月にはグループ全体の温室効果ガス中期削減目標が、国際的なイニシアチブであるSBTイニシアチブ(SBTi)の新基準「1.5℃目標」の認定を取得しました。バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量ネットゼロを目指し、脱炭素社会構築に向けてリードしていくよう取り組んでいきます。

以上

2021年3月22日
キリンホールディングス株式会社 代表取締役社長

磯崎 功典