経営体制
ガバナンス体制
- キリングループは、食・医・ヘルスサイエンスの3領域を中核とした多様かつグローバルな事業展開を統括する体制として純粋持株会社制を採用しています。純粋持株会社であるキリンホールディングスは、グループ全体戦略の策定と推進、各事業のモニタリング、グループ連携によるシナジー創出の推進、加えてサステナビリティを巡る課題への対応等の役割を担っています。
- グループ各社は、お客様をはじめとしたステークホルダーにより近い場所で自律的かつスピーディな経営を行います。キリンホールディングスは、グループ各社の戦略ステージに合わせて適切な権限付与を行うとともに、グループ各社へ取締役を派遣することで各社の取締役または取締役会を通したガバナンスの向上を図っています。主要グループ会社については、キリンホールディングスの取締役または執行役員が各社の取締役を兼務しています。
- キリンホールディングスは、監査役会設置会社を採用し、ステークホルダーにとって透明性の高いガバナンス体制を維持、向上するため、複数の社外取締役を含む取締役会が、複数の社外監査役を含む監査役会と緊密に連携し、監査役の機能を有効に活用しながら重要案件の最終意思決定を行うとともに、経営に対する監督機能の強化を図っています。また、機動的に各事業・各機能戦略を実行し、執行責任を明確にするため、執行役員制度を導入しています。取締役会は、それぞれの分野に関する経験、実績、専門性等を踏まえ、執行役員への委任範囲を定めています。
社外取締役対談
社内外の力を融合し、ヘルスサイエンス事業の規模拡大を実現
取締役会
- 取締役会は、当社グループの重要な業務執行及び法定事項について決定するとともに、取締役の職務執行を監督する責務、内部監査部門との連携によりグループ全体の適切な内部統制システムを構築し、その運用状況を監督する責務等を負います。加えて、当社グループ全体及び主要グループ会社の長期経営構想、中期経営計画及び年度事業計画を決定・承認し、事業環境の変化等を踏まえたモニタリングを定期的に行うことにより、グループ企業価値の最大化を図っています。
- 取締役会は、2027年目指す姿の実現のための知識、経験、能力、見識等を考慮し、ジェンダーや国際性等の多様性を確保しながら全体としてバランスよく適正な人数で構成しています。また、透明性の高いガバナンス体制を構築して客観的な経営の監督の実効性を確保するため、独立社外取締役を過半数選任しています。独立社外取締役のうち1名以上は、他社での経営経験を有する者としています。
- キリンビール(株)、キリンビバレッジ(株)、メルシャン(株)、ライオン社、コーク・ノースイースト社、協和キリン(株)、協和発酵バイオ(株)、サンミゲルビール社、ソーンヘルステック社及び(株)ファンケルの10社については、グループ全体のガバナンス強化のため、当社の取締役又は執行役員が各社の取締役(社外取締役を含む)に就任し、職務執行状況の監督を行っています。なお、協和キリン(株)については上場子会社であるため、コーポレートガバナンス・コードの実践によって適切な実効性確保に努めると同時に、同社が自主性・機動性を発揮した自律的な企業活動を行うとともに上場会社としての経営の独立性を確保し、株主全体の利益最大化及び企業価値の持続的拡大を図るようにしています。
- 当社の取締役は12名、うち独立社外取締役は7名であり、議長は独立社外取締役が務めています。
取締役会は毎月1回定期開催するほか、必要に応じて開催しています。
取締役会の開催・出席状況
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
開催回数 | 15回 | 15回 | 14回 | 15回 | 13回 |
社外取締役の出席率 | 95% | 91% | 98% | 98% | 97% |
社外監査役の出席率 | 100% | 98% | 100% | 100% | 97% |
2022年度における取締役および監査役の個人別出席率
氏名 | 出席率 | |
---|---|---|
取締役 | 磯崎 功典 | 100% |
西村 慶介 | 100% | |
三好 敏也 | 100% | |
横田 乃里也 | 100% | |
南方 健志※ | 100% | |
社外取締役 | 森 正勝 | 100% |
柳 弘之 | 92% | |
松田 千恵子 | 100% | |
塩野 紀子 | 100% | |
ロッド・エディントン | 92% | |
ジョージ・オルコット | 100% | |
加藤 薰 | 92% | |
常勤監査役 | 桑田 啓二 | 100% |
西谷 尚武 | 100% | |
社外監査役 | 安藤 よし子 | 100% |
鹿島 かおる | 92% | |
藤縄 憲一※ | 100% |
- 2022年度就任の役員については、就任後に開催された取締役会の出席率です。
取締役会の実効性評価
- キリンホールディグスは、2016年度に実施した実効性評価において、取締役会の果たすべき機能を「重要な意思決定」機能と「監督」機能と定義しました。その後も定期的に取締役会の運営や議論内容などに対する評価を実施し、その機能の担保に努めるとともに、次年度に強化すべき議論のポイントを明確化することにより、継続的な実効性の向上につなげています。
2022年度の議論のポイント
- 「事業ポートフォリオ」に関する議論
- 事業戦略と機能戦略を掛け合わせた「戦略策定・実行とモニタリング」に関する議論
- 「CSV経営を推進するキリングループ企業理念の浸透」に関する議論
- 「健全な企業倫理の周知徹底」に関する議論
- 「リスクマネジメント」に関する議論
2022年度の評価
第三者であるアドバイザーの調査に基づく評価の視点を盛り込んだアンケートを実施し、現状の取り組み・改善状況を踏まえつつ、取締役会で議論しています。
評価の視点および評価結果は、以下のとおりです。
評価の視点
- 取締役会の構成及び運営
- 戦略の策定とその実行及びモニタリング
- リスク管理と危機管理の監督
- 事業買収・撤退等の意思決定の監督
- 役員報酬及び後継者育成計画等の監督
- 健全な企業倫理の周知徹底とその監督
- ステークホルダーに対する開示全般の監督
- 実効性向上に向けての強化ポイント
評価の結果
取締役会全体として適切に機能しており、実効性が確保されている
評価された内容
- 「重要な意思決定」「執行の監督」において適切な意思決定ができており、ガバナンスの効いた取締役会である
- 多様な構成メンバーが様々な観点から意見を述べ、多面的な評価ができている
- 重要案件については複数回の議論の場を経て、最終の意思決定を行っている
- 取締役会として議論すべき戦略的側面の強いものに重心が移り、経営の重要事項について議論できている
- 取締役会として適切な議題設定がなされ、ディスカッションの質も高まっている
- アジェンダの絞りが効き、取締役会として議論すべき案件が計画的に組み込まれ、議論が充実している
- 質疑や意見交換が社内外役員間で充分になされ、触れにくいことも俎上に乗せた上で議論ができている
- 取締役会の実効性向上に繋がる改善や工夫が継続的に行われており、概ね適切に運営されている
- COVID-19の状況を踏まえ、コミュニケーションの機会は大幅に改善され、また現地視察等の機会により事業理解が深まった
- 資料の配信タイミングが早くなり、事前動画配信を導入したことで論点が明確になった
2023年度の強化ポイント
2022年度における評価の視点ごとに提起された意見および改善点、そして将来の経営環境変化に対する見立てに基づき、2023年度の強化ポイントを以下の5点に集約しました。引き続き、独立社外取締役である森議長のもとでのアジェンダ設定に加え、情報共有やフリーディスカッション機会の一層の充実などにより、実効性維持・向上に努めていきます。
- 戦略実行に関するモニタリングの強化
- 専門性や組織知を活かした「インオーガニック成長」に関する議論
- 経営環境の変化に合わせた「ステークホルダーとの対話」に関する議論
- 戦略とリスク一体での「リスクマネジメント」に関する議論
- 指名・報酬諮問委員会からの情報共有の拡充
監査役会
- 監査役会は、株主に対する受託者責任を踏まえ、グループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上に向けて経営の健全性を確保し、株主共同の利益のために行動します。
- 監査役会は、常勤監査役によるグループ内における情報収集力および社外監査役による独立性を活かしながら、各監査役による監査の実効性を確保するための体制を整備し、また社外取締役への情報提供を強化するため、社外取締役との意見交換を行い、監査活動を通じて得られた情報の提供を行っています。
- 2023年4月現在の監査役は5名、うち社外監査役は3名です。
監査役会の開催・出席状況
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
開催回数 | 16回 | 16回 | 16回 | 15回 | 15回 |
---|---|---|---|---|---|
社外監査役の出席率 | 100% | 98% | 100% | 100% | 100% |
2022年度における監査役の個人別出席率
|
氏名 |
出席率 |
---|---|---|
常勤監査役 |
桑田 啓二 |
100% |
西谷 尚武 |
100% |
|
社外監査役 |
安藤 よし子 |
100% |
鹿島 かおる |
100% |
|
藤縄 憲一※ |
100% |
- 2022年度就任の役員については、就任後に開催された監査役会の出席率です。
監査役監査
キリンホールディングスは、監査役制度を採用しており、監査役は常勤監査役2名、社外監査役3名で構成されています。各監査役は、監査役会が決定した監査方針及び監査計画に基づき、取締役会をはじめとする重要な会議に出席しています。また、当社各部門の監査、国内外グループ会社への往査を実施する等、取締役の職務執行状況を十分に監査できる体制となっています。グループ主要各社においては、会社の規模に応じ、常勤監査役又は非常勤監査役を設置しています。当社監査役はこれらグループ各社監査役と緊密に連携し、監査の実効性を高めています。
内部監査
- 監査役監査とは別に、キリンホールディングス経営監査部がグループの重要リスクおよび内部統制に関して1年に1度、定期的な監査を実施しています。グループ内部監査にあたっては、主要グループ各社の内部監査部門との連携に加え、監査役との監査計画策定・実施における連携、主要グループ会社の常勤監査役との連携、グループ会社の非常勤監査役の兼務等を通じて内部監査と監査役監査の監査結果を共有し、相互補完することにより、グループ全体に対して実効的かつ効率的な監査を行っています。
- 経営監査部、監査役及び会計監査人は、情報・意見交換や協議を適宜行う等、相互連携を図っています。経営監査部と監査役は定期的に内部統制関連部門と情報・意見交換を行っており、会計監査人も必要に応じて内部統制関連部門に対してヒアリングを行い、それぞれ実効性のある監査を実施しています。
会計監査人および内部監査部門との関係
- 監査役会は、会計監査人および内部監査部門と連携し、十分かつ適正な監査を行うことができる体制を整備しています。
- 監査役会は、会計監査人の評価基準を策定し、独立性と専門性について確認しています。また、監査役会は、会計監査人との面談を定期的に実施し、会計監査人が会計監査を適正に行うために必要な品質管理の基準を遵守しているかについて会計監査人に説明を求めています。
内部統制システム
キリンホールディングスは、取締役会にて、グループの業務の適正性を確保するための体制として、内部統制システムに関する基本方針を定め、グループのコンプライアンス、リスクマネジメント、財務報告の適正性確保等について適切な体制を構築するとともに、その運用状況を監督しています。
グループ会社のガバナンスと業績評価
- キリンホールディングスは、グループ戦略の策定と推進、各事業のモニタリング、グループ連携によるシナジー効果の創出などの役割を担っています。キリングループ各社は、お客様をはじめとしたステークホルダーにより近い場所で自律的かつスピーディな経営を行っています。当社は、グループ各社の戦略ステージに合わせて適切な業務執行権限付与を行うとともに、グループ各社へ取締役を派遣することで各社の取締役会を通したガバナンスの向上を図っています。
- 事業会社の業績評価指標について、2022年からはROICと事業利益を統一指標として用いています。
指名・報酬諮問委員会
- キリンホールディングスでは、取締役、執行役員および監査役の指名および報酬に関する委員会として、指名・報酬諮問委員会を設置しています。
- 取締役会の諮問機関として客観的かつ公正な視点から、取締役、執行役員および監査役の選解任方針、各候補者案、報酬制度・水準、報酬額、代表取締役社長の後継者の計画(サクセッションプラン)等について審議し、取締役会へ答申しています。
- 指名・報酬諮問委員会は、取締役会の委任に基づき、当社取締役(社外取締役を除く)及び当社執行役員の賞与について、個人業績評価の評価指標及び目標、並びにそれらの達成度等に応じた評価結果及び個人業績評価に係る個人別支給率の決定を行います。
- 指名・報酬諮問委員会は、社内取締役2名および社外取締役3名からなる5名の取締役で構成し、その委員長は社外取締役から選定しています。任期は1年です。
- 2023年度の委員は以下のとおりです。
- 社外取締役:松田 千恵子(委員長)、柳 弘之、塩野 紀子
社内取締役:磯崎 功典、三好 敏也
指名・報酬諮問委員会の開催・出席状況
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
開催回数 | 11回 | 12回 | 13回 | 16回 | 13回 |
委員の出席率 | 97% | 93% | 100% | 99% | 100% |
2022年度における取締役の個人別出席率
|
氏名 |
出席率 |
---|---|---|
取締役 |
磯崎 功典 |
100% |
三好 敏也 |
100% |
|
社外取締役 |
松田 千恵子 |
100% |
柳 弘之 |
100% |
|
塩野 紀子 |
100% |
社長の諮問機関
社長の諮問機関として、以下4つを設置しています。
1.グループ経営戦略会議
社長の意思決定を補佐支援する諮問機関として、グループ経営に関する意思決定のうち、影響の大きい戦略及び投資に関し、取締役社長、副社長執行役員、常務執行役員、社内監査役、ストラテジック・アドバイザーで構成される同会議を機動的に開催することにより、意思決定の質の向上を図っています。
2.グループCSV委員会
グループCSV方針・戦略および計画策定のための討議を行うとともに、CSV計画の実行状況のモニタリングを行っています。決定した内容は、必要に応じグループ経営戦略会議や取締役会に付議・報告し、グループ全体戦略へ反映させています。
3.グループリスク・コンプライアンス委員会
リスクマネジメントを推進・統括しています。コンプライアンスもその一環として位置づけて確実な実行を図るとともに、クライシスが発生した場合には、国内外のグループ各社と情報を共有し対応を支援するなど、適切に対応するための体制を整備しています。同委員会はキリンホールディングスの社内取締役と執行役員で構成され、リスク管理統括役員が委員長を務めています。
4.情報開示委員会
株主・投資家への有益な情報提供の観点から、適時開示情報をはじめとする情報の重要性と開示の必要性を審議・決定することで、適時・公正・公平なディスクロージャーの推進による経営の透明性向上に取り組んでいます。同委員会は担当部門長および委員長である財務担当役員から構成され、社内監査役および経営監査部長がオブザーバーを務めています。