容器包装の取り組み

持続可能な容器包装の循環

商品の品質を維持しつつお客様に商品をお届けするためには、容器包装が必要です。一方、容器包装の製造や運搬においてGHGの排出は避けられないほか、容器包装の材料の過剰使用や使用済み容器包装の不適切な廃棄は自然資本の毀損につながりかねません。このような容器包装がもたらすさまざまな課題に対処するため、業界を挙げて3R(Reduce:リデュース、Reuse:リユース、Recycle:リサイクル)を推進し、容器包装の軽量化やリターナブル容器の活用、高いリサイクル率を達成してきました。紙製容器包装の原料となる森林の破壊や人権にかかわる問題を解決するために持続可能な紙利用を推進し、2020年末にはキリンビール・キリンビバレッジ・メルシャンで紙製容器包装のFSC®認証紙の使用比率100%を達成しました。プラスチック問題への対応として、2019年に「キリングループ プラスチックポリシー」を策定し、日本国内のペットボトルのリサイクル樹脂使用割合を2027年までに50%に引き上げることを目標としています。これまで、メカニカルリサイクルによるリサイクルPET樹脂の活用を進めてきましたが、汚れている使用済みペットボトルやその他のPET樹脂製品からも純度の高いリサイクルPET樹脂を再生可能なケミカルリサイクルの活用も強化します。さらに、使用済みペットボトルを効率的に分別収集・回収するためにさまざまな企業や自治体と連携し、ボトルtoボトルの取り組みを推進することで、化石由来原料使用を削減し、サーキュラーエコノミーの形成を推進します。

主な活動

  • 「キリングループ プラスチックポリシー」(2019)を制定し、2027年までに日本国内におけるPET樹脂使用量の50%リサイクル樹脂化を設定
  • リサイクルPET樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」の商品を拡大
  • プラスチック使用量削減に向けてラベルレス商品を上市(2021年)
  • ペットボトルの回収に向けた企業や自治体との連携を強化
  • キリンビール・キリンビバレッジ・メルシャンの紙製容器包装のFSC認証紙使用比率100%を達成(2020年)
  • ペットボトルのケミカルリサイクルに関するPETの分解および分解後のモノマーを精製する技術を開発(2023年)
  • 酒類のペットボトルにおいてケミカルリサイクル樹脂を日本で初めて導入(2023年)
  • プラスチック汚染の根絶を目指す野心的な国際条約策定に向け、日本政府に政策提言活動を行う「国際プラスチック条約企業連合(日本)」に発足時より参加(2023年)
  • PETを高効率で分解するケミカルリサイクル技術を開発、廃繊維中のPETも循環可能に(2024年)
  • 日本で初めての酒類飲料キャップにおける水平リサイクルの実証実験を実施(2024年)
  • 環境負荷の低い缶蓋「EcoEnd™」をビール類に初採用(2024年)
  • 業界を超えた連携でケミカルリサイクルの原料を非食品用途PETへ拡大(2025年)

目標と達成状況

日本国内におけるリサイクルPET樹脂の割合

2050年
100%(環境ビジョン2050)
2027年
50%(プラスチックポリシー)
2019年1.9% 2020年2.5% 2021年4.9% 2022年8.3%2023年28% 2024年36%

容器包装の軽量化の状況

軽量化率

容器包装原料の持続性向上軽量化率大びん -21%605g→475g130g削減 (1992年比)中びん -19%470g→380g90g削減(2013年比) アルミ缶 350ml -33%20.5g→13.8g6.7g削減(1984年比) 水用2L ペットボトル -55%63g→28.3g34.7g削減(2002年比)

容器別使用重量

ESGデータブック2025 P.21をご参照ください。

持続可能なペットボトル

R100ペットボトル

キリングループでは、2019年に制定した「キリングループ プラスチックポリシー」に従ってリサイクルPET樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」の採用を順次拡大しています。「R100ペットボトル」では、リサイクルPET樹脂をペットボトル原料として使用する「メカニカルリサイクル」の技術を採用しています。このリサイクルPET樹脂は、一般的な石油由来PET樹脂に比べて石油由来樹脂使用量を90%、GHG排出量を50~60%削減することができます。2014年2月から「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」のパッケージの一部にリサイクルPET樹脂を使用していました。その後、2019年にリサイクルPET樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」を「キリン 生茶デカフェ」に採用しました。

2025年6月時点で「R100ペットボトル」を使用している商品は以下のとおりです。

キリン 生茶:600mL(写真左から1番目)
キリン 生茶 ほうじ煎茶:600mL(写真左から2番目)
キリン 生茶 からだ晴れ茶:525mL(写真右から2番目)
キリン 生茶 おいしいカフェインゼロ:430mL(写真右から1番目)
商品写真は2025年6月末時点のものです。

ケミカルリサイクル

キリングループはケミカルリサイクルによるペットボトルの再資源化に向けた技術検討と実用化を進めています。

現在行っているメカニカルリサイクルではリサイクル樹脂から取り除くことの難しい混在成分があり、繰り返し再生することで樹脂の品質が低下するといわれています。ケミカルリサイクルでは、使用済みペットボトルを選別、粉砕、洗浄して汚れや異物を取り除いた上で、解重合(化学分解処理)を行い、PETの中間原料まで分解、精製したものを再びPETに重合(合成)します。分子レベルまで分解する方法で何度でも新品の素材同様に再生することができ、使用済みペットボトル以外のPET製品もペットボトルとして再生が可能となります。2023年12月には、キリン中央研究所にて、PETを分解する工程を、短時間・低エネルギーで実現する「アルカリ分解法」を開発しました。また早稲田大学理工学術院との共同研究で、PET分解後のモノマーを精製する工程において、環境負荷軽減とコスト削減を両立した「電気透析」による精製法を開発しました。この精製法では精製工程中にアルカリ成分を再生でき、これを分解工程で再利用できるため、この2つの技術を組み合わせて使用することで、資源循環型のリサイクルプロセスを実現できます。この2つの技術は特許出願中です。開発した2つのPETケミカルリサイクル技術の実用化に向けてパートナーを探索し、容器包装に関するビジョンの達成と、環境に配慮しながら資源が循環し続ける社会を目指します。また、2023年から、キリンビールが飲食店で展開する「Tap Marché(タップ・マルシェ)」および「TAPPY(タッピー)」のビールサーバー用容器として使用している3Lのペットボトルにおいて、ケミカルリサイクル樹脂を導入しました。酒類のペットボトルにおいてケミカルリサイクル樹脂を導入するのは、日本初です。

一方で、リサイクルの原料となるPET樹脂の拡大にも取り組んでいます。パッケージイノベーション研究所では、工業用フィルムや化粧品ボトルなどの非食品用途PET素材を飲料用ペットボトルとして再生する取り組みを推進し、2025年4月から試験的な運用を開始しました。異業種の企業が連携するスキームの中で、研究所は、非食品用途PETを回収材料としたケミカルリサイクル樹脂の食品容器への利用に関して安全性評価を主導しました。またこの評価結果を「日本食品衛生学会 第120回学術講演会」で発表し、若手優秀発表賞を受賞しました。

本取り組みにおける各社の役割を説明しています。TDK・村田製作所が工業用フィルム、花王・ファンケルが化粧品ボトル、キリンビバレッジが自動販売機用商品サンプルを原料供給しています。ケミカルリサイクル樹脂を使用した飲料用ペットボトルをアサヒ飲料・キリンビバレッジが使用、化粧品ボトルを花王が使用、ファンケルが採用を検討しています。

使用済みペットボトルの分別収集・回収の効率化

使用済みペットボトルを効率的に分別収集・回収するためにさまざまな企業と連携し、ボトルtoボトルの取り組みを実施しています。連携先は2022年(ウエルシア、東武鉄道、千葉薬品)、2023年(スギ薬局、東京建物)、2024年(よみうりランド)と徐々に拡大しています。また、地方自治体とも協定締結の形で連携を強化しています。その1つとして、2023年にはアサヒ飲料株式会社および4市(常総市、取手市、守谷市、つくばみらい市)で構成する常総地方広域市町村圏事務組合とペットボトルの水平リサイクルに関する連携協定を締結しました。4市内で市民が分別した使用済みのペットボトル全量をメカニカルリサイクルやケミカルリサイクルによりペットボトル原料に再生し、ペットボトル製品に再利用しています。
また、回収された使用済みペットボトルにゴミなどの異物が混在していることは「ボトルtoボトル」の推進を阻害する要因になります。リサイクルに適した良質な使用済みペットボトルを安定的に確保することが喫緊の課題です。自動販売機付近には、各所へ啓発ステッカー付きの新機能リサイクルボックスを設置し、消費者にご協力いただきつつペットボトルを回収することで、社会全体で水平リサイクルを推進しています。

新機能リサイクルボックスと啓発ステッカー

持続可能な紙容器

キリングループは、2020年11月末にキリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンの紙製容器包装でFSC認証紙使用比率100%を達成しました。「6缶パック」「中元・歳暮用ギフト箱」「紙パック」「製品用段ボール箱」を網羅した宣言および達成は、日本のメーカーでは初です。2022年には、「持続可能な生物資源利用行動計画」を改訂し、対象グループ会社を協和キリン、協和発酵バイオ、ライオン、小岩井乳業に拡大しました。これらの会社では2030年までにFSC認証紙や古紙といった持続可能な紙に切り替えることを宣言し、取り組みを開始しています。

商品写真は事象が発生した時点のものが含まれ、最新の商品写真ではない場合があります。

リデュース

コーナーカットカートン

パッケージイノベーション研究所が開発し2004年から導入した「コーナーカットカートン」は、四隅を切り落とすことと、側面が8面構造となって強度が向上にすることによる薄肉化により、従来から10.9%の軽量化を達成しています。

角をとったぶん紙使用量 -2%段ボールの芯を薄くしたぶん紙使用 -8.9%同じ厚みのものでも角が多いと荷重に対して強くなります。

スマートカットカートン

2015年から導入した「スマートカットカートン」は、「コーナーカットカートン」の技術を基に、軽量化に加え、蓋の口径を小さくした204径缶の肩にできる空間に合わせカートン長側面上部の角を切り落とした形状にしたものです。これにより、それまでのコーナーカットカートンより16%軽量化できています。

パッケージイノベーション研究所が容器包装メーカーと共同開発を行い、共同意匠権を取得しています。

ビール6缶パック

ビール6缶パックでは、持ちやすさ、取り出しやすさに加え、軽量化の工夫を随所に施しています。たとえば、パックの側面部に缶の縁に合わせた切り抜き部を新たに設け(キリン特許)、紙で缶の底を安定させる「缶底ロック機構」を使うことで、500ml用6缶パック包装資材で1枚当たり4g、従来よりも8%削減しながら、缶のホールド性も向上させています。

ワイン用紙容器の軽量化

2022年3月からメルシャンが発売したワインの容器も軽量化しています。「フランジア」(赤、白、ダークレッド)のバッグ・イン・ボックスと、「フロンテラ」(カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ)のワインフレッシュサーバーの計5種は、外箱に内袋が入ったバッグ・イン・ボックスを採用しています。外箱を190gから143gと約25%の軽量化することで年間約31tの紙資源の削減が可能になります。

ワイン用ペットボトル軽量化

2022年、パッケージイノベーション研究所は、メルシャン史上最軽量となるワイン用の720mlペットボトルを開発しました。従来の34gから29gに5g軽量化しています。この軽量ペットボトルは、「第46回木下賞 包装技術賞」を受賞しました※1。「ボルドー肩形状」と「胴部のすっきりとした形状」を両立させながら従来から樹脂量を約15%削減していることや、キリングループが保有するDLC※2膜によるガスバリアコーティング技術などを使用することで、ワインでも長期間フレッシュな状態を保てることなどが受賞理由です。これに加え、2024年7月には、同研究所が開発したメルシャン史上最軽量となる1500mlワイン用ペットボトルの展開を開始しました。従来の58gから53.5gへと4.5g軽量化しています。これらの軽量化の取り組みによって、PET樹脂使用量の削減と、GHG排出量の削減を実現しています。

耐圧底形状を新規に考案。変形を抑制可能。

ロールラベルの採用

キリンビバレッジは、2020年9月からペットボトル商品の一部に「ロールラベル」を採用しています。清涼飲料のペットボトル商品のラベルには、主にシュリンクラベルとロールラベルの2種類が採用されています。シュリンクラベルは充填工場内のラベラーでラベルをボトルの上から被せ、熱収縮によって装填するので、ラベルの折れ曲がりを防ぐために一定の厚みが必要です。加熱収縮を行わないロールラベルはペットボトルに巻くようにして貼り付けるため、ラベルを薄くできる点が特長です。ラベルの端をひっぱるだけで簡単にはがすことができ、分別の際もお客様の負担を軽くし、リサイクルの促進にもつながると考えています。ロールラベルは、「キリン 生茶」「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」「キリン ラブズ スポーツ」「キリン アミノサプリC」「キリン 天然水」などで、主に自動販売機専用商品(シュリンクラベルと併用)で導入しています。

2023年2月以降、キリンビバレッジ湘南工場とキリンビバレッジ滋賀工場にロールラベラーを追加導入し、ロールラベルのペットボトル飲料の製造体制を強化しています。

ラベルレス

2021年3月より、全国の量販店で「キリン 生茶 ラベルレス6本パック」と「キリン 生茶 ほうじ煎茶 ラベルレス6本パック」を、電子商取引限定で「キリン 生茶 ラベルレス」と「キリン 生茶 ほうじ煎茶 ラベルレス」を販売しています。2022年5月より電子商取引限定で、「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖 ラベルレス」と「キリン ファイア ワンデイ ブラックラベルレス」を発売し、2023年4月25日には、「キリン 自然が磨いた天然水 ラベルレス」を電子商取引限定で発売しています。

2022年6月からは、「キリン 生茶 紙シール付ラベルレス」を首都圏エリアの一部の量販店でテスト販売を開始しています。必要な表示内容が記載された小面積の紙製のタックシールを貼付することで、従来のラベルがなくても店頭で商品を1本ずつ販売することが可能となります。2023年8月に、ペットボトルに直接印刷できるリサイクル対応ペットボトル ダイレクト印刷技術を対外発表しました。

アルミ缶の軽量化

ビール用アルミ缶では、缶蓋の口径を小さくし、胴部の上下部分を絞ることで胴部の重量を削減するとともに胴部の薄肉化を進めることで、「204径缶」は2011年には「209径缶」当時と比べ350mlアルミ缶で約29%の軽量化を実現しました。2016年には資材メーカーと共同で、缶蓋、缶胴の両方を薄肉化したアルミ缶を開発しました。缶全体の重さを14.6gから13.8gとし、約5%(0.8g)軽量化を実現しています。これにより、209径缶と比べて33%(6.7g)の軽量化を果たしました。缶の素材としては、スチールとアルミがあり、どちらも軽量化が必要ですが、特にアルミの場合は製錬に大量の電気が必要なため、GHGのScope3削減に大きく貢献しています。

国産最軽量リターナブルびん

ビール用リターナブルびんでは、大・中・小全てのサイズで国産最軽量を達成しています。リターナブルびんには、軽量化とともに「耐久性を求められるリターナブル性能」と「お客様の安全・安心確保のための強度」が必要です。

パッケージイノベーション研究所では、外表面に薄い皮膜を作る「セラミックスコーティング」、衝撃に強くするための形状設計、「開栓しやすさ」と「密閉性」という相反する条件と「口欠けしない強度」を持った口部の設計などを駆使して最軽量を達成しています。

大びん605g→475g130g軽量化 -21%。中びん470g→380g90g軽量化 -19%。小びん390g→351g39g軽量化 -10%
軽量中びんのGHG排出量削減効果約930t 削減※年間1千万本製造と仮定

リユース

びんのリユース

日本では、ビールびんは「3R」という言葉がなかった明治時代から回収され、何度も使われてきました。ビール工場へ戻ってきたリターナブルびんは内と外を徹底的に洗い、新品同様にきれいにします。キズやヒビがないかを空びん検査機で厳しくチェックした後、再びビールが詰められ、製品化されます。丁寧に扱われたリターナブルびんなら、平均寿命は約8年、回数にすると約24回再使用されます。キリンビールにおけるリターナブルびんの販売・回収量および回収率の推移は、ESGデータブック2025 P.21をご参照ください。

リサイクル

キリングループでは、2019年に制定した「キリングループ プラスチックポリシー」に従って、2030年までにペットボトルへのリサイクル樹脂使用比率50%、および2050年の100%持続可能な容器利用を目指して、順次再生樹脂使用比率を向上させています。
また、ライオンは、オーストラリアやニュージーランドでのリサイクルを推進するために「Sustainable Packaging Strategy(持続可能な包装戦略)」を策定しています。APCO(Australian Packaging Covenant Organisation)と連携し、2025年までに包装材におけるリサイクル素材の割合を50%以上とすること、包装材のうち、再使用可能、リサイクル可能、または堆肥化可能なものの割合を100%とすることを目標として設定し、達成に向けた活動を進めています。2023年にはAPCOより優良事例として評価されるなど、順調に進捗しています。

ペットボトルのリサイクル

キリングループは、PETボトルリサイクル推進協議会の一員として、ペットボトルのリサイクルを推進しています。PETボトルリサイクル推進協議会の第4次自主行動計画(2021~2025年度)では、リサイクル率85%以上の目標に向けて取り組んでいます。2022年のリサイクル率は86.9%で、目標を達成しました。キリンビバレッジでは、自動販売機横に清涼飲料業界統一仕様の異物混入を削減する新機能リサイクルボックスを2022年10月より導入開始し、2022年末には1,000個を設置しました。今後も業界とともにボトルtoボトルの取り組みを推進していきます。

酒類飲料ペットボトル用キャップのリサイクル

2024年に、日本山村硝子株式会社と共同で、酒類飲料のペットボトルに使用するキャップから同一キャップへの水平リサイクル実用化に向けた、日本初の実証実験を実施しました。この取り組みはキャップの外装部(食品非接触)にリサイクル樹脂を10%混合した2ピースキャップを使用することで、同一キャップへの水平リサイクルを可能とする取り組みです。当実証実験では約4万個のキャップを使用し、GHG排出量を1個あたり約1.7g削減できる見込みです。

びんのリサイクル

日本では、古くなってリターナブルびんとして再使用できなくなったビールびんや、一度だけ使用されるワンウェイびんは、カレットになって再び主にびんの原料となります。ガラスびんに再利用しづらい色びんのカレットの活用も推進し、タイル、ブロックなどの建築材料や道路舗装材などの「その他の用途」にも再利用先を広げています。

オーストラリアのライオンでは、材料投入量に占める割合はガラスが最も高いため、サプライヤーと緊密に連携してボトルのリサイクル率を高めていくことに重点的に取り組んでいます。オーストラリアは、8つの州と地域のうち7つで容器デポジット制度を導入しています。ビクトリア州においてライオンは容器デポジットスキームのコーディネーターとなっているVicReturnの創設メンバーとして継続的に活動しています。この取り組みは2023年11月に開始され、5億個(2024年6月時点)を回収しました。

缶のリサイクル

キリングループは、再生地金の比率の高いアルミ缶の採用を進めています。日本においてはアルミ缶リサイクル協会に加入するとともに、飲み終わったアルミ缶の回収支援も行い、空き缶のリサイクルを推進しています。ビール工場で廃棄処理となった空きアルミ缶は、缶メーカーで再生され、100%ビール用アルミ缶として活用されています。
アルミ新地金は製造時に大量の電力を使用するため、リサイクル材と比較して多くのGHGを排出し、環境負荷が高いことが課題となっています。この課題に対応し、キリンビールは、国内ビール3社と共同で缶蓋の製造時に発生するGHG排出量が約4割※1少ない飲料缶蓋「EcoEnd™」を本格採用しました。2025年2月以降順次、各社が販売するビール類の一部製品に採用します。「EcoEnd™」は、GHG排出量削減の有効手段の1つとして東洋製罐株式会社と株式会社UACJが共同開発したもので、缶蓋に求められる強度などの特性を満たしながら、リサイクル原料の循環利用を促進することが可能です。Scope3排出削減に繋がる施策として、今後、ビール類以外の製品への採用も検討していきます。

ライオン傘下のStone&Wood Breweryは、Visy、Novelis、Rio Tintoといったサプライヤーともに、オーストラリアにおける持続可能な容器包装を目指す「Re-InCan-Ation」プロジェクトを立ち上げました。この取り組みは、リサイクルアルミニウム83%と低炭素の一次アルミニウムを使用した缶を採用することで、従来の缶と比較して59%のCO2排出量削減を目指します。18ヶ月間のトライアルでは、1,500万缶を販売し、1,235tのCO2削減を見込んでいます。
APCO(Australian Packaging Covenant Organization)も、アルミニウム飲料缶の64パーセントしかリサイクルされていない現在のオーストラリアにおけるリサイクル課題に取り組む上で、このイニシアチブの重要性を認識しています。ライオンは本プロジェクトを通じて消費者に対してサステナブルな選択肢を提供することでエシカル消費を促すことを目指しています。すでに同社のSNSで消費者とのコミュニケーションを開始しており、消費者が貢献できる実践 的な取り組みという観点で関心や評価の声が届いています。

ストーン&ウッド パシフィックエール缶

容器包装のグラフ

ペットボトルの軽量化の推移(「キリン アルカリイオンの水」2L ペットボトル)
缶の軽量化の推移
カートンと6缶パックの軽量化の推移
リターナブルビールびんの軽量化の推移