持続可能な調達推進に向けた取り組み

サプライヤーアンケートの実施と改善活動

キリンホールディングスでは、サプライヤーが「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」に基づいた活動を行うことにより「持続可能な調達」を実現することを目指しています。
定期的にサプライヤーアンケートを実施し、「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」の取組状況を確認しています。2020年には、約400社(調達金額として合計で約90%を占める)にアンケートを実施しました。アンケート結果から確認できた内容として、従業員の人権保護、公正な企業活動、品質・安全性や情報セキュリティーの取組みは共通して進んでいるものの、サプライチェーン上流における人権や環境の取り組みへの実践が課題であることが確認されています。調査の結果、リスクが高いと判断したサプライヤーに対しては、取り組み状況を直接ヒアリングし、改善のアドバイスを実施し、一部のサプライヤーにおいては、人権方針の策定などに至っております。今後は、サプライヤーアンケートに加え、Sedexのセルフ・アセスメントツールの活用を行い、サプライチェーン上のリスクマネジメントを強化していきます。
またアンケート結果は、年に1回実施しているサプライヤー評価の項目として反映され、サプライヤーの選定に活用しています。

アンケート結果

各社のアンケート調査の結果は以下の通りです。調査の結果リスクが高いと判断したサプライヤーに関しては、取組み状況を個別にヒアリングし、改善を促して参ります。

国内ビール・スピリッツ事業、国内飲料事業

キリンビール(株)、キリンビバレッジ(株)、メルシャン(株)では、2019年度より従来の自社独自の調査票に代わり、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)が開発した「CSR調達セルフ・アセスメント質問表」を採用し、調査を実施しています。2020年度は依頼数421社中412社から回答を得ました。前年度と比較し、全項目において取組みの進展が見られました。

  • 国内ビール・スピリッツ事業、国内飲料事業の図

Sedex SAQを活用したリスクアセスメント

キリングループは、非営利団体であるサプライヤー・エシカル・データ・エクスチェンジ(Sedex)に加入しました。先行して活用しているオセアニア酒類事業に加え、グループ全体でSedexのセルフ・アセスメントを活用し、サプライチェーン上のリスクアセスメントを強化していきます。

オセアニア酒類事業での活用

ライオンは、キリングループを先行し、責任ある調達プログラムの一環として、優先度の高いサプライヤーにサプライヤー・エシカル・データ・エクスチェンジ(Sedex)セルフ・アセスメントの実施を引き続き求めています。2020年末には、優先度の高いサプライヤーの95%以上がSedexに加入しており、2021年末までには100%を達成しました。

サプライチェーンにおける人権の尊重

新たな中期経営計画のスタートにあたり再評価した「持続的成長のための経営諸課題(グループ・マテリアリティ・マトリックス:GMM)」に基づき、より一層の人権尊重に向けた取り組みを推進するために、サプライチェーンの人権に関する内容を中心に外部有識者と人権に関するダイアログを実施し、これまでの取り組みや今後に対する意見交換を実施しました。

主要農産物調達品における人権リスク評価と活動計画

キリングループは、グローバルスタンダードである国連「ビジネスと人権に関する指導原則」(以下指導原則)*に則し、「キリングループ人権方針」を2018年2月に制定しました。当指導原則およびキリングループ人権方針に沿って、キリングループの事業と関係する人権への負の影響を特定し、予防、軽減する取り組みである人権デューデリジェンスを進めています。2022年の中期計画の中で改訂されたグループマテリアリティ分析では、サプライチェーンの人権課題が最重要課題の一つとして位置づけられました。リスクの高い領域を中心に、グループ全体で今後更なる取り組みを進めていきます。

これまでの取り組みとしては、国別の人権リスク評価によって相対的に高リスクと評価された国を対象とした人権影響評価を2018年から実施しています。2018年には、ラオスのコーヒーサプライチェーンで人権影響評価を実施し、2021年には中国の大豆サプライチェーンで評価を行いました。
ラオスのコーヒーサプライチェーンの評価では、現地の2次サプライヤーおよび主要なコーヒー農家を対象に現地でインタビューを実施しました。ラオスの人権状況とラオスのコーヒーサプライチェーンの状況に関する外部機関の分析結果をふまえて、労働安全衛生、労働時間、強制労働、児童労働、周辺コミュニティへの影響の5分野を中心に評価を行いました。評価によって重要な人権リスクは確認されなかったものの、1次サプライヤーを通じた上流のサプライヤーへの人権の取り組みの啓発を行うとともに、継続的なモニタリングを実施しています。

2021年に実施した中国の大豆サプライチェーンの評価では、新型コロナウイルス感染症の影響により現地調査が難しかったために、3次サプライヤーとなる現地の大豆の加工工場を対象に、質問票への書面回答を通じて評価を行いました。質問票は、グローバルコンパクトネットワーク・ジャパンのCSR調達セルフ・アセスメント質問票を使用し、必要に応じて追加の書面質問も行いました。評価結果として、一般的に人権リスクの高いとされる労働安全衛生の方針と管理体制を整備するなど、「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」で求める内容が遵守されていることを確認しました。今後の取組として、1次サプライヤーを通じた上流のサプライヤーへの人権の取り組みへの啓発の促進と継続したモニタリングを実施していきます。

キリングループで調達している主な農産物および農産物加工品のリスク評価

2021年4月に「キリングループ持続可能な調達方針」および「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」の制定を受け、改めてキリングループで調達している農産物および農産物加工品のリスク評価を実施しました。評価手法として、外部の専門機関であるBSR (Business for Social Responsibility™)の助言も受けながら、人権リスクの高い農産物および農産物加工品を特定し、Sedexの評価ツールを用いて、調達国の人権リスクと事業への影響度という2軸で優先順位付けを行いました。

評価対象とした調達品は、モルト(大麦)、ホップ、紅茶葉、緑茶葉、コーヒー豆、ぶどう、砂糖、とうもろこし、大豆、グレープフルーツ果汁、レモン果汁となります。今後の取組みとして、評価によってリスクが相対的に高いと評価された農産物および農産物加工品から順に人権デューデリジェンスを実施することを計画しています。

英国現代奴隷法・豪州現代奴隷法への対応

オセアニアの酒類事業の他、英国でも事業を展開しているライオンでは、豪州と英国の現代奴隷法遵守への声明書を策定し、サプライチェーンにおける人権課題に対し適切に対応しています。

グリーバンスメカニズム

オセアニア酒類事業のライオンでは、サプライチェーン上の人権課題等に対し、適切かつ実効的にステークホルダーの救済をするために、全世界のライオン社員とサプライチェーン内の社員が利用できる、内部告発専用ホットラインが設置されています。内部告発ホットラインは、第三者であるデロイトが運営しており、現代の奴隷制度やその他の人権に関する懸念事項を内密に報告することができます。
通報の詳細は、リスク・監査ディレクターが委員長を務めるライオンの内部告発委員会に提供され、緊急度判断と調査が行われます。必要であれば、独立した第三者に調査を依頼することもあります。内部告発の事実と処置の概要は、四半期ごとに監査・財務・リスク委員会に報告されます。

サプライヤーとの協働

サプライヤーと協働し、自然災害、政治・地政学リスク、情報セキュリティ、環境問題、人権問題等のリスクに対して迅速に対応できるようサプライチェーンの特定を行っています。今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、製造現場(工場や農園)に遡って、サプライチェーンを可視化し、改善を図っていくことで持続可能性の強化に取り組んでいます。

環境への取り組み

キリングループでは、キリングループ環境ビジョン2050、キリングループ環境方針に従い、気候変動、水資源、生物資源、容器包装への課題に対し、サプライヤーと協働した取り組みを進めています。

気候変動影響への対応

バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量をネットゼロにするため、再生可能エネルギーの調達やバリューチェーン上流のレジリエンス強化、容器の軽量化、門前倉庫による調達物流最適化を推進しています。

水資源への取り組み

水はキリングループにとって基本的な原料であるだけでなく、原料である農作物の生育にも必須の資源です。2014年、2017年の調査では、バリューチェーン上流の原料農産物の水使用量について試算し、水リスクに対して適切な取り組みを推進していきます。

生物資源の取り組み

持続可能な森林管理のための認証として、国内の飲料事業で紙容器に加えて、コピー用紙、封筒、名刺、会社案内等の印刷物などの事務用紙を対象として、2020年11月にFSC®認証紙または古紙を使用した紙100%への切り替えを行いました。
また、持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)が承認する持続可能な認証油の購入方式(Book &Claim方式)を利用し、2013年から一次原料分を、2014年からは二次原料分についても使用量を推計する形で、その全量をRSPO認証油としています。2018年3月にはRSPOに準会員として加盟しました。

  • 図:責任ある森林管理のマーク

容器包装の取り組み

容器包装の3R・資源循環を推進するだけでなく、容器への持続可能な素材の調達を拡大しています。

農園とのパートナーシップ

キリングループでは、原料生産の持続性強化に向けて、紅茶葉、コーヒー豆、ホップおよびブドウといった主力商品の原料を生産する農園・農家が抱える課題の解消やキャパシティビルディングの支援などを行っています。

紅茶葉農園

環境や人権に配慮した農園経営を支援するため、2013年よりNPO(レインフォレスト・アライアンス、The Alliance for Sustainable Landscape Management)と協働で、スリランカの紅茶葉農園に対して「レインフォレスト・アライアンス認証」取得の支援・トレーニングを行っています。2018年からは支援対象を小規模農園に拡大しました。
2020年末現在、スリランカの認証取得済み紅茶大農園の約30%にあたる93農園がキリングループの支援により認証を取得、小規模農園については120農園が既に認証を取得しており、2025年末までに10,000農園の認証取得支援を目指しています。

  • 図:レインフォレスト・アライアンス認証取得の支援の仕組み

コーヒー豆農園

スリランカの紅茶農園に対して行っている認証取得支援の知見を生かし、2020年からベトナムのコーヒー農園がレインフォレスト・アライアンス認証を取得する支援を開始しました。2021年末現在、約700の小農園が認証取得に向けたトレーニングを開始しています。

ホップ生産農家

日本産ホップの96%が東北で栽培されており、その約7割をキリングループにて購入することで、生産者の支援を行っています。遠野市の生産量もピーク時の1/5にまで減少し、放置すれば10年後の調達量は70t/年程度に減少するところ、100t/年を目標に据え調達を行っています。また、高品質なホップの長期且つ安定的な調達を目指して、行政・地域・ホップ生産者と協働して、後継者の就労支援や生産者への負担が少ない品種の開発・技術支援などを行っています。
主要生産地である岩手県遠野市では、2019年にホップ農家の効率性を考慮したドイツ式のホップ畑による初めての収獲を実施しました。2020年にはワーキングチームが発足し、持続可能な生産体制実現に向け議論が進展しています。
秋田県横手市とは連携協定を結び、ホップ生産農家の後継者問題の解決に向け地元の農業⾼校⽣を対象としたホップの栽培技術体験会を定期的に開催しています。

ブドウ生産農家

ワイン用の高品質な国内産ブドウの安定的な確保と収穫量の拡大に向けて、契約栽培農家に対するブドウ栽培技術の共有・支援などを行っています。また、後継者不足を解消するため、各ワイン産地での人財育成プログラムに参画しています。

サプライヤー説明会 / 研修会

キリングループでは、「サプライヤー規範」で遵守をお願いしている人権課題や労働基準などの社会課題に対する理解を深めていただくため、サプライヤーを対象とした説明会/研修会を定期的に実施しています。
説明会/研修会では、「サプライヤー規範」の基盤となるキリングループの方針(コンプライアンス・ガイドライン、人権方針、品質方針など)やその方針に基づいた取り組みの説明に加え、特に理解を深めていただきたい人権および環境課題については具体的な事例の紹介などを通じて重点的に解説を行っています。
また、事業会社毎に実施している「サプライヤーアンケート調査」の結果、リスクが高いと判断したサプライヤーに関しては、取組み状況を個別にヒアリングし、他社事例の共有や具体的な改善策の提案などを通じてサプライヤーのキャパシティビルディングを支援しています。

国内ビール・スピリッツ事業、国内飲料事業

2021年10月~11月にオンラインにてサプライヤー説明会を開催し、計3日間で約400社(調達金額として合計で約90%を占める)に参加いただきました。
説明会では、「サプライチェーンを取り巻く変化とキリングループのCSV取り組み方針」についての勉強会を実施するとともに、2021年4月に制定した「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」の内容を解説し、サプライヤーの皆様に取り組みへのご理解・ご協力をいただくため、サプライヤー規範への承諾書のご提出とGHG 排出量(Scope3)の実態把握へのご協力を依頼しました。

医薬事業

協和キリンでは、CSR購買説明会やサプライチェーン全体の課題やその解決策に関し情報交換などを行うサプライチェーン交流会など、CSR購買活動に対する理解をサプライヤーに深めて頂くための機会を提供しています。

調達部員・購買請求者への教育

持続可能な調達方針に沿った調達活動を実践するために以下の活動を行っています。

コンプライアンス研修

調達部員・購買請求者に対して、ガイドブックを作成し、コンプライアンス等の研修を定期的に行っています。

持続可能なサプライチェーン研修

サプライチェーンの人権や環境課題に関する研修会を年に2回、部員全員実施しています。

調達プロフェッショナル資格(CPP)の取得

日本能率協会が主催する調達プロフェッショナル資格(CPP)の取得を通じて、持続可能な調達を含む調達知識の向上を行っています。