ビール大麦試験圃場へのバイオ炭施用※1による効果を検証する新たな共同研究を開始
~農業でのバイオ炭活用による脱炭素社会実現の可能性を探索~
- CSV
2024年9月19日
キリンホールディングス株式会社
キリンホールディングス株式会社(社長COO 南方 健志)の飲料未来研究所(所長 森木 博之)は、栃木県農業総合研究センター(所長 柴田 和幸)と学校法人早稲田大学(理事長 田中 愛治、以下「早稲田大学」、研究代表者 理工学術院 教授 竹山 春子)と共同で、栃木県農業総合研究センターの大麦試験圃場において、バイオ炭※2施用によるビール大麦の生育状況、土壌改良の効果、土壌の微生物への影響などを測定する研究を2024年10月より新たに開始します。キリングループは、ビールの原材料としてビール大麦を使用しており、当研究を行うことで、環境再生型農業※3の可能性を探索しつつ、ビール大麦試験圃場の土壌における生物多様性評価の一層の高度化、気候変動の緩和とともに、脱炭素社会の実現を目指します。
※1 バイオ炭を土壌に投入すること
※2 燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350℃超の温度で未利用バイオマスを加熱して作られ、土壌への炭素貯留効果とともに土壌の透水性を改善する効果が認められている土壌改良資材
※3 農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用などによる環境負荷の軽減に寄与
当研究では、栃木県農業総合研究センターがビール大麦の生育・収量への影響および土壌の物理性・化学性の改善効果を解析します。早稲田大学が土壌における微生物解析を行い、バイオ炭による土壌の微生物への影響と土壌改良の効果を測定します。当社は、祖業のビール事業を通じた強みである発酵・バイオテクノロジーの先進技術を生かし、試験計画の立案、解析データからのメカニズムの考察、および当研究全体の取りまとめを行います。共同の取り組みでは、農地にバイオ炭を施用することによる効果を検証することに加えて、J-クレジット※4への申請を前提にした炭素貯留量の算定も予定しています。基礎研究の位置づけで取り組みを進めながら、畑へのバイオ炭施用の効果を測定することで技術的知見を蓄積し、将来的にはビール大麦栽培農家におけるバイオ炭施用の普及、そして、GHG※5排出量削減に貢献することも期待しています。
※4 J-クレジット制度とは温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証する制度
※5 温室効果ガス
当社は、これまでも気候変動における「脱炭素社会」を統合的に捉えたアプローチとして、バイオ炭を活用した環境再生型農業の知見蓄積を行ってきました。「シャトー・メルシャン 椀子ヴィンヤード」では2014年から行ってきた生態系調査に加えて、ヴィンヤードの剪定残渣※6などを活用したバイオ炭による炭素貯留効果の評価などを農研機構との共同研究として2024年3月より開始しました。
※6 剪定したブドウの枝
自然の恵みを原材料に、自然の力と知恵を活用して事業活動を行っているキリングループは、複合的に発生し相互に関連する環境課題(生物資源・水資源・容器包装・気候変動)に統合的に取り組み、豊かな地球の恵みを将来にわたって享受し引き継ぎたいという思いをバリューチェーンに関わるすべての人々とともにつなぐべく、自然と人に「ポジティブインパクト」を与えるさまざまな取り組みを積極的に進めていきます。
参考
ニュースリリースに記載されている内容は、報道発表日現在の情報です。お客様がご覧いただいた時点で、情報が変更(生産・販売が終了している場合や、価格、仕様など)されている可能性がありますのであらかじめご了承下さい。