SBTネットゼロ認定※1再取得およびFLAG目標※2新設により、Scope3移行計画の実行を加速

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2026年4月30日

キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングス株式会社(社長 COO 南方健志)は、2022年7月に世界の食品企業として初めて取得した、SBTイニシアチブ(以下SBTi)※3による「SBTネットゼロ認定」を、2026年3月に再取得し、あわせて「FLAG目標」を新設しました。これは、キリングループの事業ポートフォリオ変革や、外部環境の変化に伴うSBTiガイドラインの改定を踏まえたものです。

キリングループでは、酒類事業および飲料・ヘルスサイエンス事業を中心に、多くの商品が農産物を原料としています。近年、農業分野におけるGHG(温室効果ガス)排出量が地球全体の排出量に対して一定規模を占めることから、その対策が求められるようになりました。農産物の生産方法は品種によってもさまざまですが、中でも大量生産を前提とした、工業的農業と呼ばれる農法がGHG排出の大きな要因となっています。工業的農業では、収量を最大化するために大量の化学肥料を使用し、耕起※4や単一作物などの大規模栽培を行うことが一般的です。これらの手法は、温室効果の高いN₂O(亜酸化窒素)※5の排出を引き起こし、土壌に蓄積された炭素を大気中へ放出させる原因となります。また、GHG排出だけではなく、土壌や水などの環境にも負の影響を及ぼします。キリングループにとって重要な農産物を持続可能に生産、調達するために、農産物生産活動由来のGHG排出削減にも取り組むことが必要です。

当社は、「世界のCSV先進企業となる」ことを目指し、2020年に「キリングループ環境ビジョン2050」でバリューチェーン全体のGHG排出量のネットゼロを目指すことを宣言しました。そして、目標達成に向けたロードマップを策定して、2022年1月より運用を開始しています。新設したFLAG目標では、GHG排出量を2030年に基準年(2019年)比33%削減を目指します。今回、SBT認定を再取得し、FLAG目標を新設したことで、エネルギー由来の排出であるnon-FLAGへの取り組みを継続しつつ、農作物生産活動由来の排出であるFLAGについても、取り組みを強化していきます。なお、今回新設したFLAG目標は、Scope3に加えScope1も対象としており、Scope1およびScope3の両面から、ネットゼロの実現に向けて取り組んでいきます。

Scope1の排出対策として、当社が保有する圃場においてバイオ炭※6の施用などのGHG排出削減取り組みを試験しています。具体的には、シャトー・メルシャン椀子ヴィンヤードにおいて、農研機構の協力を得て、気候変動の緩和策である炭素貯留効果を評価する共同研究※7を2024年3月から開始しました。この共同研究ではヴィンヤードのブドウの剪定残渣(剪定したブドウの枝)などを活用したバイオ炭による炭素貯留効果の評価を実施しています。なお、当ヴィンヤードでは一般的にGHG排出の削減につながるとされている不耕起栽培※8・カバークロップ※9・化学肥料の適切な管理などを定常運用しています。
また、Scope3排出対策として、アルミ缶、PETボトル、麦芽などのサプライチェーン上流での排出削減にサプライヤーと協働で取り組みます。これらの実行は、コスト増加を伴うものもあり、今まで以上の投資や費用を見込んでいます。財務目標と非財務目標の同時達成を目指すため、施策実行判断の新たな仕組みが必要です。そこで、GHG削減の費用対効果や財務インパクトをシミュレーションし、経営全体で施策の優先順位を明確化するスキームを構築・運用し始めました。現時点で実現可能な施策を試算すると、Scope3移行計画による財務インパクトは、2030年時点で約20億円を見積もっています。さらに、2024年4月より開始した、「キリンサプライチェーン環境プログラム」※10では、進捗をグループCSV委員会や傘下会議体のグループ環境会議で審議・意見交換することで、経営層の関与を強化しています。新規施策の抽出から実行判断までを迅速化する仕組みを構築し、財務インパクトを都度確認するプロセスを組み込むことで、持続可能かつ経済合理性の高い環境経営を推進していきます。

キリングループは、自然の恵みを原材料に、自然の力と知恵を活用して事業活動を行っています。
生物資源・水資源・容器包装・気候変動などが複合的に関連する環境課題に対し、キリングループは統合的な視点から自然と人に「ポジティブインパクト」を与える取り組みを進めます。
そして、豊かな地球の恵みを将来へつなぐという思いを、バリューチェーンに関わるすべての人々と共有します。
※1 パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準に抑え、また 1.5℃以下を目指すもの)が求める水準と整合した温室効果ガス排出削減目標として、2015年にCDP、国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所およびWWFの4団体で設立されたSBTイニシアチブにより認定されたもので、GHG排出量の削減に努め、除去困難な残りの排出量は大気からの吸収量と相殺することで「実質ゼロ」=「ネットゼロ」とする計画
※2 FLAGはForest, Land and Agriculture(森林・土地利用・農業)の略称。科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減目標の設定を認定する国際的なイニシアチブであるSBTiによって求められる農業・林業・その他土地利用からのGHG排出削減目標
※3 CDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)の4団体が2015年に共同で設立した国際イニシアチブ
※4 土壌を反転・攪拌して作物の生育を整える農作業。雑草抑制や水はけ改善などの利点がある一方、土壌に蓄積された炭素が大気中に放出されやすくなるなど、GHG排出増につながる課題も指摘されている
※5 主に化学肥料の使用や土壌中の微生物の働きによって発生する温室効果ガス。CO₂より温室効果が高く、農業由来GHGの主要な排出源の一つとされている
※6 燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350℃超の温度でバイオマスを加熱して作られる固形物で、土壌への炭素貯留効果とともに土壌の透水性を改善する効果が認められている土壌改良資材
※7 「シャトー・メルシャン 椀子ヴィンヤード」にて農研機構との新たな共同研究を開始 | 2024年 | KIRIN - キリンホールディングス株式会社
※8 土壌を耕さずに作物を栽培する農法。土壌中の炭素動態を安定させ、農機作業の削減を通じて、条件によってはGHG排出量の低減につながる可能性があるとされている
※9 主作物の栽培期間外や畑の空いている部分に被覆植物を栽培する農法。土壌表面を植物で覆うことにより、土壌有機物量の維持や土壌侵食の抑制を通じて、条件によってはGHG排出量の低減につながる可能性があるとされている
※10 「キリンサプライチェーン環境プログラム」をスタート | 2024年 | KIRIN - キリンホールディングス株式会社

参考

キリングループ環境ビジョン2050 https://www.kirinholdings.com/jp/impact/env/mission/
キリングループ「環境報告書」 https://www.kirinholdings.com/jp/investors/library/env_report/

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