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CSVストーリーズ

CSVストーリーズ CASE2 健康(医と食をつなぐ事業)

技術資産を活かした機能素材の提供で健康な生活に貢献する

CSVコミットメント 健康・未病領域におけるセルフケア支援

キリングループは、「食」領域(酒類事業、飲料事業)と「医」領域(医薬事業)それぞれの事業拡大とともに、この2つの領域のシナジーを活かして、その中間に「医と食をつなぐ」事業を立ち上げ、新たな価値創造に取り組んでいます。既存の医薬品や食品では十分に満たされない健康ニーズを捉え、持続的な成長の柱となる新事業の確立を目指しています。
具体的には、グループが蓄積してきた知見・技術資産の活用や国内外のアカデミアとの連携などによって、科学的論拠のある「健康機能性素材」の開発・提案を進めており、2021年までにキリンの健康機能性素材にアクセスできる国・人口を、日本、ベトナムをはじめとする東南アジア、北米の5カ国・6.5億人にまで拡大することを目標に掲げています。ここでは、その一例として「プラズマ乳酸菌」の展開事例を紹介します。

成果指標・2021年目標値

科学的論拠のある素材だけを製品化

人々のクオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を考えるとき、まずは「病気にならない」ことが大切です。その意味で、日常生活で口にする飲料や食品にもできることはたくさんある、私たちヘルスサイエンス事業部ではその可能性を追求してきました。
いわゆる「健康食品」の中には、科学的論拠がはっきりしないものも少なくありません。しかし私たちは、素材の作用機序(機能性成分が生体に効果を及ぼす仕組み)に立脚し、さらにヒトを対象とした試験で統計的有意差(エビデンス)を示したものを商品化しています。一般に、食品は医薬品に比べて効果がマイルドに出るため、エビデンスを示すことは難しいのですが、協和発酵キリンをグループにもつ強みも活かして、医学的に高度な検討を行っています。また、アカデミアとの連携をはじめ、研究成果を事業化に結びつけるための資産や体制も整っています。こうした強みから生まれた成果の1つが「プラズマ乳酸菌」です。

「プラズマ乳酸菌」の普及拡大で人々のQOL向上に貢献

プラズマ乳酸菌の特長は、ウイルス感染から身体を守る免疫の“司令塔”「プラズマサイトイド樹状細胞」を直接活性化する点にあり、私たちはこの作用を世界で初めて発見しました。そして、積み上げてきた研究成果は、世界の医学会からも評価を得ています。すでにプラズマ乳酸菌を配合した複数の製品をキリングループから上市しており、外部企業への導出も開始しています。今後、さらに多くの人々にアクセスしてもらえるように、医師、薬剤師、看護師、栄養士など科学的論拠を理解していただける医療従事者の方々を通じてプラズマ乳酸菌の普及拡大を図っていきます。
グループでは、他にもオルニチンやグルタチオン、シチコリンなど、さまざまな健康機能素材を用いた製品の開発をグローバルで進めています。健康を中心とした社会課題に関する新規事業を開発・実行することが私たちの部門の役割であり、これからも世界の人々のQOL向上に貢献するこうした取り組みに力を注いでいきます。

キリンホールディングス株式会社
ヘルスサイエンス事業部 主査
八木澤 智正 Tomomasa Yagisawa

PROFILE

1997年、協和発酵工業にMRとして入社。米国で戦略論・マネジメントを学んだ後、製品戦略担当、北米市場のプロダクトマネジャーを務めた。協和発酵キリン(株)(現 協和キリン)の発足後は、海外医薬事業と協和発酵キリングループ全体の人材開発を担当。
2013年よりキリンホールディングス(株)に出向し、キリングループ全体の経営戦略担当を経験した後、健康領域の新規事業を検討。2016年にはキリン(株)事業創造部(現キリンホールディングス(株)ヘルスサイエンス事業部)において、ヘルスケアプロフェッショナル事業を立ち上げた。

Thorne Research社との協業

キリングループは2018年10月に米国のThorne Research社の持株会社に、三井物産社と共同で出資しました。Thorne社は成長を続ける米国サプリメント市場において特に大きく成長しているインターネットおよび医療従事者を通じた販売を主なチャネルとしており、豊富な科学的エビデンスを持ち、有効性や体内吸収率の高い原料を採用した高機能サプリメントを開発・製造・販売しています。また、独自の“No”Listに従い加工助剤や人工甘味料を使用しないなど安全・安心にもこだわっています。キリングループとの連携により、新たな製品開発や日本等の他地域への進出などThorne社の価値向上や事業拡大を目指します。
参照: “ No”List https://www.thorne.com/thorne-no-list

米国サプリメント市場予測(チャネル別 2011-21F)

Source: Nutrition Business Journal