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キリングループのこれまでと今環境の変化に応じて、事業ポートフォリオを最適化

「食」から「医」にわたるユニークな事業ポートフォリオを構築

キリングループは、社会や市場の変化に柔軟に対応できる事業体制の構築に取り組んできました。日本が高度経済成長期を迎え、ビール需要が急激に拡大していた1950年代半ばから、キリンビールは生産・販売・物流面における能力を大幅に拡充。1972年には全国に12工場を配置してシェア60%を確保しました。その一方で、変化する市場やお客様のニーズに応える「変化対応力」を強みに、1963年に現キリンビバレッジ株式会社を設立し、飲料事業を拡大したのに続き、1972年には現キリンディスティラリー株式会社を設立して洋酒事業にも参入しました。さらに1981年、キリングループは初の「長期経営ビジョン」を策定。経営の多角化をさらに進め、持続的な成長を目指す姿勢を明確化し、中長期的に成長が見込めるライフサイエンス分野へ進出しました。そして、2008年には協和発酵キリン(現協和キリン)が発足。「食」から「医」にわたるユニークな事業ポートフォリオを構築し、社会に新たな価値を提供し続けています。

Column
ビール競争が激化していた1907年、麒麟麦酒株式会社創立

1885年、ビール事業が将来有望であると見込んだ横浜山手の在留外国人たちによってジャパン・ブルワリー・カンパニーが設立されました。ジャパン・ブルワリー・カンパニーは、日本人好みの本格的ドイツ風ビールの醸造を追求。

ドイツ人技師を招聘し、原料から醸造機械にもこだわり、1888年に“聖獣麒麟”をラベルにした「キリンビール」を発売しました。その後1900年代に入ると、日本のビール業界は激しい競争の時代になりました。そうした中、岩崎家、三菱合資、明治屋の関係者たちはジャパン・ブルワリー・カンパニーの経営を操業状態のまま引き継ぎ、1907年、「麒麟麦酒株式会社」が創立しました。

「キリンビール」は発売翌年の1889年にラベルデザインを変更し、麒麟を大きく描いた、現在の「キリンラガービール」のラベルの原型となるデザインに変更

蓄積した技術資産を基盤に医薬・バイオケミカル事業を強化

バイオテクノロジーを活かして医薬事業へ進出

1981年に初めて策定した「長期経営ビジョン」において、キリングループは「嗜好、健康、文化に関連を持つ分野に事業を拡大し、ビールを核として生活の質的向上(豊かでゆとりのある生活)に貢献する企業=ライフスタイルインダストリー」になるという目標を掲げました。多角化経営を積極的に推進することで、ビール事業に依存していたそれまでの事業ポートフォリオをバランスのとれたものに変え、収益力のさらなる向上を図る姿勢を明確に打ち出したのです。
そして、この長期経営ビジョンに沿って、キリングループが発酵や培養を祖として培ってきたバイオテクノロジーを活かした新規事業への参入を加速。その技術力を活かし、中長期的に市場の成長が見込める医薬品開発などライフサイエンス分野へ進出しました。

米国アムジェン社との提携でお互いの強みを活かし、第1号医薬品「エスポー®」を発売

キリングループの医薬事業を大きく飛躍させるきっかけとなったのが、当時はベンチャー企業だった米国の製薬企業アムジェン社との1984年の提携でした。同社の優れた研究開発力と、キリンの生産技術力によって「ヒトエリスロポエチン(EPO)」の大量生産に成功。1990年には腎性(貧血治療)貧血治療などに使用される第1号の医薬品「エスポー®」の発売を開始しました。提携後6年という異例の短期間で商品化が実現できたのは、キリンの起業家精神とパートナーとの協働の成果でもあります。
その後もバイオテクノロジーを駆使した研究開発で創薬を続け、2007年には、医薬事業の営業利益はグループ全体の約10%を占めるまでに成長しました。

医薬事業の飛躍的な成長と「医と食をつなぐ事業」の立ち上げ・育成をめざす

2007年に純粋持株会社制を導入し、キリンホールディングスが発足したことに伴い、キリンファーマを設立。さらに2008年には、協和発酵工業とキリンファーマを統合して協和発酵キリン(現 協和キリン)が誕生しました。両社の抗体医薬やバイオテクノロジーのシナジーにより、新薬を創出。その成果の1つが2018年欧米で承認取得発売を開始したX染色体連鎖性低リン血症(XLH)治療薬Crysvitaです。今後は、長期経営構想「KV2027」のもと、協和キリンは「グローバル・スペシャリティファーマ」への飛躍をめざしていきます。また、新たに「医と食をつなぐ事業」を立ち上げ、ビジネスの育成に挑戦していきます。

積極的なM&Aによってグローバル化を推進

キリングループは、アジア・オセアニア地域を重点市場と位置づけて積極的なM&Aを実施し、グローバル化を推進してきました。オーストラリアで酒類・飲料事業を展開しているライオンをはじめ、ミャンマー・ブルワリーなどのグループ各社は、グループ全体の成長を牽引する企業として成長を続けています。また、協和キリンにおいては、蓄積してきたバイオテクノロジーを活かし、グローバル医薬品の開発に取り組んでいます。

キリングループの海外展開

酒類・飲料事業
①Myanmar Brewery Limited<ミャンマー>
②Kirin Holdings Singapore Pte. Ltd.<シンガポール>
③Interfood Shareholding Company<ベトナム>
④麒麟(中国)投資有限公司<中国>
⑤華潤麒麟飲料(大中華)有限公司<中国>
⑥台湾麒麟啤酒股份有限公司<台湾>
⑦San Miguel Brewery Inc.<フィリピン>
⑧Lion Pty Ltd<オセアニア>
⑨Four Roses Distillery, LLC<アメリカ>
⑩The Coca-Cola Bottling Company of Northern New England, Inc.<アメリカ>
医薬・バイオケミカル事業
①Kyowa Kirin International plc<イギリス>
②Kyowa Hakko Europe GmbH<ドイツ>
③Kyowa Kirin Asia Pacific Pte. Ltd.<シンガポール>
④Kyowa Hakko Bio US Holdings Inc.<アメリカ>
⑤Kyowa Kirin USA Holdings, Inc.<アメリカ>
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