キリンの次世代を担い、免疫領域で人々と地球の未来に貢献する~「プラズマ乳酸菌」~

  • 健康

2021年10月12日

  • キリンの次世代を担い、免疫領域で人々と地球の未来に貢献する~「プラズマ乳酸菌」~

キリングループが2010年に発見した「プラズマ乳酸菌」は、免疫に関する商品として日本で初めて機能性表示食品の届出が受理されました。そして2021年10月には「プラズマ乳酸菌」を用いた機能性表示食品『キリン 午後の紅茶 ミルクティープラス』『キリン 生茶 ライフプラス 免疫アシスト』の2商品が発売になります。

「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ことを宣言しているキリングループ。ヘルスサイエンス事業のさらなる拡大を目指す私たちにとって、お客様の健康維持をサポートする「プラズマ乳酸菌」は、目指す企業の姿を体現する重要な素材です。

キリンの次世代を担う「プラズマ乳酸菌」がどのように発見され、どんな価値を創造していくのか。キリングループがヘルスサイエンス事業を次の成長領域とする背景と歴史を振り返るとともに、私たちが目指す未来についてお届けします。

  • Creating Shared Value:共有価値の創造

生き物に謙虚に学ぶ、「生への畏敬」という醸造哲学

キリングループがヘルスサイエンス領域の取り組みを強化していることについて、多くの方は意外に思われるかもしれません。しかし、私たちにとっては不思議なことは一つもありません。ビール事業を祖業に歩んできたキリングループは、ほかでもない、発酵工業を生業とする企業だからです。

祖業であるビール事業には、綿々と受け継がれてきた哲学があります。ビールの技術者たちが入社後、最初に学ぶのが、私たちの醸造哲学である「生への畏敬」です。麦芽もホップも水も、ビールの原料はすべてが自然の恵み。そして、麦汁に含まれる糖をアルコールと炭酸に分解し、ビールの香味を決める酵母は微生物。微生物は、“生”そのものです。酵母によってビールの香味が大きく左右されるわけですから、おいしいビールを製造するには、酵母の発酵メカニズムを突き詰めて学ぶ必要があります。

私たちはビールの醸造技能を究めるのと同時に、さらに一歩深掘り、発酵の主役である微生物を生化学的に研究し続けてきました。“生”と向き合い続けてきた私たちにとって、サイエンスの追究はビール製造と不可分なのです。

「生への畏敬」を信念に、キリンビールの研究者はさまざまな研究成果を挙げてきました。例えば、酵母の発酵過程に生じる不快臭「ダイアセチル」を制御する「ダイアセチルレスト」という方法。ダイアセチルの生成メカニズムを解明し、世界のビールすべての品質向上を願って知見を開示したキリンの研究が応用されたものです。また、バイオサイエンスには欠かせない細胞壁を溶解する酵素「ザイモリエース」を生成する菌を、ビール工場の排水中から探し当てたのもまた、キリンビールの研究者です。

キリンビールの研究者がダイアセチルの前駆体を特定して生成メカニズムを解明したのが1968-1969年、ザイモリエースを発売したのが1973年のこと。いずれも発酵メカニズムや微生物を研究し続けたことの成果であり、私たちは「生への畏敬」を実践し、医薬事業に参入するずっと前からサイエンスの土壌を耕し続けてきたのです。

世界的なバイオ製薬企業も認めたキリンのR&D

R&Dという強みを生かし、私たちが医薬品事業に参入したのは今から40年前のことです。1984年には、後に世界的なバイオ製薬企業に成長する米アムジェン社とのジョイントベンチャー、キリン・アムジェンを設立し、医薬品事業を加速化させましたが、このとき、当時のアムジェンCEO ゴードン・バインダー氏が語った言葉が、私たちの姿を浮き彫りにします。

「アムジェンとキリンには共通点が多かった。キリンには優れた発酵技術があり、R&Dの重要性も理解していた。ほとんどのビールメーカーにとって醸造は芸術だが、キリンだけは科学を取り入れていた」。(アムジェン元CEO ゴードン・バインダー氏)

ゴードン・バインダー氏が評価したのは、まさにサイエンスを土壌としたR&Dでした。キリンとアムジェンは科学技術という強固な共通基盤の上に成果を積み上げ、ジョイントベンチャーの発足からわずか6年後の1990年4月、赤血球の元となる細胞に作用し、貧血治療に用いられる『エスポーR』の発売に至ります。製品化に至るまでの6年という期間は、医薬品業界では驚異的なスピードです。以降もキリン・アムジェンは、医薬の血液領域において成果を挙げ続けます。

キリンが医薬開発で成功を収められた理由の一つとして挙げられるのが、注力する分野の差別化です。キリンがバイオ医薬に参入した1980年代は、癌研究の隆盛期。インターフェロンに抗癌作用があることが発見され、多くの企業が癌の治療薬研究に集中したのです。

そうした状況下に、私たちがフォーカスしたのが血液と免疫でした。血液についてはキリン・アムジェンで研究開発を進め、免疫については1988年に発足した米国ラホヤ免疫研究所の設立を支援しました。以後30年以上にわたり、私たちはラホヤ免疫研究所への研究助成を続けています。そして今、免疫領域の大きな成果として花開こうとしているのが、アトピー性皮膚炎の治療薬「KHK4083」です。

「KHK4083」のリード抗体は、ラホヤ免疫研究所と協和キリンの米国研究チームの共同研究により見出されました。協和キリンは、2007年にキリングループと協和発酵グループの戦略的な事業・資本提携により発足した、医薬事業を担う企業です。旧・協和発酵工業の祖業はアルコールの発酵を応用したバイオケミカル事業であり、発酵技術を基盤とする点でキリンと共通していました。「KHK4083」は第2相臨床試験で優れた結果を出し、現在は治験の最終ステップである第3相臨床試験を控えています。

アトピー性皮膚炎のファースト・イン・クラスになり得る治療薬として大きな期待が寄せられる「KHK4083」は、私たちの盟友であり、世界的なバイオ製薬企業であるアムジェンが共同開発・販売に関する締結に今、名乗りを上げたこともその証左といえるでしょう。

  • 画期的医薬品。特に新規性・有用性が高く、化学構造も従来の医薬品と基本骨格から異なり、従来の治療体系を大幅に変えるような独創的医薬品をいう。

発酵・バイオ技術に基づいた、免疫で日本初の機能性表示食品

キリングループが注力してきた免疫研究を、食の領域にも展開できないか。この試みを切り拓いたのが、2001年にキリンビールの社長に就任した荒蒔康一郎です。研究者としてキリンビールに入社した荒蒔は1970年代に米国留学で乳酸菌を研究し、帰国後、小岩井乳業に出向して『生乳100%ヨーグルト』(現在特保)を開発しました。

後日、免疫分野であるサイトカインをテーマとした論文で博士号を取得。医薬品事業の本部長、医薬カンパニーの社長を歴任した元研究者の荒蒔がキリンビールの社長に就任したのは、ビール会社として見れば異例ですが、自らを発酵産業と捉えるキリンにとっては自然なことでした。

健康志向の高まりとともに免疫細胞に働きかける乳酸菌の存在が広く一般にも知られ始め、乳酸菌関連商品の市場規模は拡大していました。キリンでも免疫研究を食品分野に拡大する試みが始まります。ただ、乳酸菌はビールづくりの天敵。混濁や異臭を引き起こす原因となるため、醸造の過程では厳密な乳酸菌対策が必要です。そんな乳酸菌の研究を本格的に始めることは、私たちにとって大転換でした。

免疫研究の応用が進む最中、まず発見に至ったのが、現在は目の疲労感を軽減する機能表示で展開している「KW乳酸菌」です。元来、ビール工場に乳酸菌を持ち込むことは御法度。しかし、乳酸菌の可能性を確信する荒蒔は、この型破りを後押ししたのです。そしてサプリメントやヨーグルトのみならず、2004年には「KW乳酸菌」入りの発泡酒『やわらか』の発売に至ります。

荒蒔のチャレンジに後押しされ、2010年、かつては存在しないとされていた、免疫の司令塔に働きかける乳酸菌を発見します。それまでも免疫細胞の一つであるNK細胞に働きかけ、活性化させる乳酸菌の存在は知られていましたが、免疫の司令塔である「pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)」に働きかけ、免疫細胞全体を活性化させる乳酸菌の存在が明らかになったのです。これが『iMUSE』ブランドの根幹を担う「プラズマ乳酸菌」です。

この「プラズマ乳酸菌」を発見したのは、ヘルスサイエンス事業部部長を務める藤原大介。藤原は発見の2年後となる2012年に論文を発表し、キリングループは2017年に「プラズマ乳酸菌」を主軸に人々の免疫ケアをサポートする『iMUSE』ブランドをスタート。そして2020年8月7日、ついに「プラズマ乳酸菌」を用いた6商品が、機能性表示食品として消費者庁に届出が受理されるに至ったのです。

機能性表示が認められた免疫関連商品は、2021年9月現在、『iMUSE』ブランドの商品のみ。免疫の構造は複雑ゆえに解明されていない点も多く、免疫機能の維持を実証することは、けっして容易ではありません。キリングループがそれを可能にできたのは、ヒト試験12を含む全27もの膨大な免疫に関する論文とともに、長く積み重ねてきたサイエンスの実績があったからにほかなりません。効果をどう科学的に実証すべきなのか、私たちは医薬事業の知見と経験を活用することができたのです。

人々の健康維持にも、CO2や食品ロス削減にも貢献

長年の積み重ねのみならず、私たちがヘルスサイエンスを推し進める理由は、昨今の世界潮流とも無関係ではありません。2010年5月のWHO総会では「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」が提言され、SDGsにおいては「目標3:すべての人に健康と福祉を」の下に連なるターゲットの一つに「薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する」ことが挙げられています。

キリングループが酒類メーカーとしての責任を果たす上で、今後も酒類の量的拡大だけを指向していくことは許されません。社会と寄り添って歩むことで、持続的に成長を続けていく必要があります。これまで育んできたサイエンスの土壌やR&Dという確かな強みを活かすことで、自らの社会的な存在意義(パーパス)を追究していきます。

2021年10月、キリンビバレッジから「プラズマ乳酸菌」を用いた免疫機能の機能性表示食品『キリン 午後の紅茶 ミルクティープラス』『キリン 生茶 ライフプラス 免疫アシスト』を発売するのも、お客様の健康をサポートするためです。認知度が高く、日常的に愛飲いただいている2ブランドの商品を接点に、免疫ケアの習慣を広く浸透させていきたいと考えています。

そして、紅茶にも緑茶にも使用できることこそ、「プラズマ乳酸菌」の大きな強みです。これまでに発見され、飲料や食品に展開されてきた乳酸菌の多くは、菌が生きた状態でのみ効果が認められるものでした。それが「プラズマ乳酸菌」はパラプロバイオティクス、つまりは非活菌の状態であっても効果を発揮するため、あらゆる食品への導入が可能となります。

パラプロバイオティクスの利点は、応用性の高さだけでなく、保管にも輸送にも温度管理の必要がないためグローバル展開が容易なことや、保管時や輸送時のCO2削減に貢献できることなどがあります。さらには活菌の場合には短く限られていた消費期限が大幅に延び、食品ロスを抑えることにも寄与できるのです。

キリンブランドのシルバーブレットとなる「プラズマ乳酸菌」

医薬事業と食品事業の双方から免疫分野に貢献する。これは「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ことを宣言したキリングループの姿を体現しています。

「プラズマ乳酸菌」を通じた私たちのCSV活動が、社会にどのような価値を創り出すのか。キリンホールディングス常務執行役員を務める溝内良輔は、こう話します。
「新型コロナウイルスの蔓延は世界に大きな打撃を与えましたが、『プラズマ乳酸菌』は健康な人の免疫機能の維持をサポートすることで、広く社会に役立てるはずです。
ビール製造から医薬事業、ヘルスサイエンスへと発酵技術を展開していくことで、世界の人々の心と体の健康に貢献する。『プラズマ乳酸菌』が、キリンをビールブランドからヘルスサイエンスブランドへと転換するシルバーブレットになることを願っています」。

プロフィール

溝内良輔

1982年キリンビール入社。市場リサーチ室長などを経て、2012年にキリンホールディングス株式会社経営企画部長。2015年常務執行役員ブラジルキリン担当。2017年からグループのCSV戦略を担当。

※所属(内容)は掲載当時のものになります。

価値創造モデル

私たちキリングループは、新しい価値の創造を通じて社会課題を解決し、
「よろこびがつなぐ世界」を目指しています。

価値創造モデルは、キリングループの社会と価値を共創し持続的に成長するための仕組みであり、
持続的に循環することで事業成長と社会への価値提供が増幅していく構造を示しています。
この循環をより発展させ続けることで、お客様の幸せに貢献したいと考えています。