アルコールの有害摂取の根絶にむけて

  • 酒類メーカーとしての責任

2022年07月19日

  • アルコールの有害摂取の根絶にむけて

  • CSVコミットメント アルコール関連問題への対応 代表的な成果指標と目標値: 適正飲酒啓発プログラムへの参加数、飲酒マナー・スロードリンク動画などのホームページ啓発コンテンツの訪問数=99.22万人(2022-24年累計)(※) ※ 対象となる会社別の目標値を合算  SDGsターゲット 3.5

  • CSVコミットメント アルコール関連問題への対応 代表的な成果指標と目標値: 適正飲酒啓発プログラムへの参加数、飲酒マナー・スロードリンク動画などのホームページ啓発コンテンツの訪問数=99.22万人(2022-24年累計)(※) ※ 対象となる会社別の目標値を合算  SDGsターゲット 3.5

お酒は人と人とのつながりを生み、私たちの人生を豊かで潤いのあるものにしてくれる存在として生活に寄り添ってきました。一方で、適切な量や頻度を超えた飲酒は生活習慣病などの健康障害を引き起こすリスクがあります。また、飲酒運転、20歳未満飲酒、妊産婦・授乳期の飲酒なども大きな社会問題です。キリングループは「酒類メーカーとしての責任」として、「全ての事業展開国で、アルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを着実に進展させる」ことを目指しています。

世界や日本を取り巻く現状

世界では、2010年にWHO(世界保健機関)で「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」が採択され、SDGs (持続可能な開発目標)の健康分野でもアルコールの有害摂取の防止、治療がターゲットの1つとして明記されるなど、アルコールの有害摂取の低減は社会全体で取り組むべきグローバルな課題となっています。日本国内でも2021年3月にアルコール健康障害対策推進基本計画(第2期)が閣議決定されました。さらには昨今の社会状況もあり、公共の場での飲酒や飲酒マナーに対する社会の認識にも変化が見られています。そのような社会の変化も捉えながら、キリングループはアルコール関連問題に真摯かつ適切に対応することが、アルコール飲料を製造・販売する企業としての社会的責任と考え、アルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを進めています。

ほどよく飲んで心地よく過ごす「スロードリンク」を提案

お酒を「酔い」や「止渇」などといった直接的なものとしてではなく、一人一人の飲み方や楽しみ方に応じて、お酒の時間をゆっくりと楽しむことが広がってきています。キリングループでは、誰かと語り合いながら、食事のおいしさによろこび、ほどよく飲んで、スマートに心地よく過ごす、飲む「量」ではなく、流れる「時」に心が満たされる、そんなこれからの時代の適量で節度をもったお酒の楽しみ方として「スロードリンク」を提案しています。人とのつながりの希薄化が社会課題として挙げられている中、私たちが提案するお酒の楽しみ方は、人々の生活に彩りを与えることにつながると考えています。

「適正飲酒」の浸透に向けた情報提供

お客様に飲酒に関する正しい知識を深めていただくための取り組みとして、「適正飲酒啓発セミナー」を実施したり、飲酒習慣がまだ定まっていない若い世代に対して、不適切な飲酒が与える影響や体質にあった飲み方をSNSで伝えるといった適正飲酒啓発活動を展開しています。

また、お客様がアルコール摂取量を把握・コントロールできるよう、2021年5月より、国内で販売する主要なアルコール商品に含まれる純アルコール量(g)を、ホームページに表示しています。キリンビールにおいては、2022年5月から国内で製造する主なビール類(ビール・発泡酒・新ジャンル)およびRTD(Ready to Drink)の350ml缶、500m缶のパッケージへの、純アルコール量と当社の適正飲酒に関するWebサイトへつながる短縮URLの表示を順次開始し、2023年末までの完了を目指します。オセアニアで酒類事業を展開しているライオンでは、アルコール含有量をシンボル化して商品ラベルに表示しています。

ノンアルコール・低アルコール商品の開発・認知拡大

お客様の目的に応じた選択肢を広げることを目的に、ノンアルコール・低アルコール商品の開発や認知向上に取り組んでいます。2021年のノンアルコール飲料市場は前年比約110%(出典:インテージSRI+(ノンアルビールテイスト+RTD+ワインの推計販売規模(容量ベース)))となる中、キリンビールの「キリン グリーンズフリー」は前年比約117%、「キリン カラダFREE(キリン カラダフリー)」は前年比約114%と、市場を上回る伸び率を記録しました。さらにキリンビールとファンケルは機能性表示食品「キリン×ファンケル ノンアルコールチューハイ 氷零 カロリミット®」を共同開発するなど、グループ全体で商品ラインアップを拡充しています。また、メルシャンではノンアルコール商品の「MOCK Bar(モクバル)」や、低アルコール商品の「おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル」などの販売に取り組んでいます。キリングループは今後もノンアルコール・低アルコール市場を拡大することで、お客様の選択肢を広げていきます。

  • 日本初(※)のノンアルコール・ビールテイスト飲料の製法を採用し、麦やホップの香りを引き出した「キリン グリーンズフリー」
    ※麦やホップの香りの良さを引き出した、ノンアルコール・ビールテイスト飲料の製法として日本で初めて採用(特許6786699号)

  • 史上初となる「熟成ホップ由来苦味酸」を使用し、お腹まわりの脂肪を減らす効果が期待されている機能性表示食品「キリン カラダFREE」

これらCSVコミットメントにも設定している取り組みに加え、広告宣伝など事業活動にあたっては、酒類メーカーとして責任ある事業を展開することを社会に約束し、社会やお客様からの信頼と共感をいただくため、「責任ある飲酒に関するグローバルマーケティング指針」を公開しています。また、法令、業界自主基準の順守はもちろん、より厳しいキリン独自の広告倫理規定を設け、社会情勢に合わせて見直しを加え、強化・改定をしています。広告担当者には定期的な研修を実施し、知識や理解を深めるよう取り組んでいます。社内では、健康経営の観点からも、従業員各人の適正飲酒の理解浸透を目指した取り組みを進めています。

また、世界の主要酒類メーカーが参画する国際NPO組織IARD(International Alliance for Responsible Drinking)に加盟し、適正飲酒の推進と有害摂取の根絶に取り組んでいます。

世の中からアルコールの有害摂取がなくなり、一人一人の体質や体調などに配慮して、自分に合ったお酒や飲み方を楽しみ、お酒が人生を豊かにしてくれるパートナーとなることを願っています。

プロフィール

栗原 良也

キリンホールディングス株式会社 
CSV戦略部 主査
2020年よりキリングループ全体のグローバルおよび国内酒類事業のアルコール関連問題に関わる戦略策定、推進を担当。

※所属(内容)は掲載当時のものになります。

価値創造モデル

私たちキリングループは、新しい価値の創造を通じて社会課題を解決し、
「よろこびがつなぐ世界」を目指しています。

価値創造モデルは、キリングループの社会と価値を共創し持続的に成長するための仕組みであり、
持続的に循環することで事業成長と社会への価値提供が増幅していく構造を示しています。
この循環をより発展させ続けることで、お客様の幸せに貢献したいと考えています。