サプライチェーンの人権問題の予防と低減に取り組み、原料生産地の「コミュニティ」に貢献

  • コミュニティ

2022年07月19日

  • サプライチェーンの人権問題の予防と低減に取り組み、原料生産地の「コミュニティ」に貢献

  • CSVコミットメント 人権の尊重 代表的な成果指標と目標値: 人権リスクが高い農産物のサプライチェーンに対する継続的な人権デューデリジェンスの実施(開始)件数=3件(2022-2024年累計)  SDGsターゲット 8.7、8.8 12.6

  • CSVコミットメント 人権の尊重 代表的な成果指標と目標値: 人権リスクが高い農産物のサプライチェーンに対する継続的な人権デューデリジェンスの実施(開始)件数=3件(2022-2024年累計)  SDGsターゲット 8.7、8.8 12.6

近年、事業活動における人権課題への社会的関心が高まっています。その範囲は自社の従業員のみならず、製品に使用する原材料などに携わる人々に広がっており、企業はバリューチェーン全体で強制労働や児童労働などの人権課題に取り組み、リスクを低減していくことが求められています。
そうした中、キリングループでは、主要原材料のサプライチェーンにおける人権リスクを特定し、人権問題の予防と低減に取り組むことで、持続可能なサプライチェーンを構築し、原材料生産地の「コミュニティ」への貢献を目指しています。

グローバルな社会的要請に基づいたサプライヤー規範の策定

2017年に当社グループでは、サプライチェーンにおける社会的責任を果たすべく、グローバルスタンダードである国連「ビジネスと人権に関する指導原則」(以下、指導原則)に則して「キリングループ持続可能な調達方針」を制定しました。この方針に基づいて国内外で人権を尊重する経営を推進することで、サステナブルな社会の実現に取り組んでいます。

2020年にはキリンホールディングスの代表取締役を委員長とするグループCSV委員会にて「サプライチェーンにおける人権への対応」の意見交換を行い、取り組みを強化していくことを確認しました。これを機に、人権を専門とするNGOなど社外専門家の協力も得て、2021年に「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」を制定しました。ビジネスパートナーであるサプライヤーに対して同規範への理解・協力を求め、サプライヤーと協働しながら持続可能なサプライチェーンの構築に取り組んでいます。

キリングループ持続可能なサプライヤー規範「5つの柱」概要

  1. 安全・安心
    国際標準の考え方を取り入れた品質マネジメントの仕組みを構築し、原材料の安定調達を確保するとともに、調達から製品の研究・開発・製造・販売後に至るまで各国法令およびキリングループ各社の基準を満たすことを保証する。
  2. 人権
    ILO中核的労働基準に基づき、強制労働、児童労働の禁止、公平かつ平等な待遇、結社の自由および団体交渉権を尊重する。さらに、非人道的な扱いおよびハラスメントの禁止、公正な労働時間および賃金、地域コミュニティへの事前の十分な情報に基づく同意を得る。
  3. 安全衛生・健康
    従業員に対して、安全な労働環境の提供、住宅状況とプライバシー尊重を行う。また、従業員の生命・身体の安全を守るための防災管理を行う。
  4. 環境
    環境に関する認可の取得ならびに国際基準の考え方を取り入れた環境マネジメントの仕組みを構築し、持続可能な生物資源・水質資源・容器包装資源の利用を行う。さらに、キリングループと連携した気候変動への対応や、汚染防止・廃棄物削減を行う。
  5. 誠実なビジネス
    誠実なビジネスが行われるよう、CSR推進体制を整備し、不正行為の予防・早期発見を行う。不正行為とは、贈収賄・汚職、不適切な贈答品・接待、腐敗行為、利益相反などを指す。さらに、公平な競争や必要な情報の提供・開示、情報財産の保護と知的財産の尊重を行う。

サプライチェーンの上流までさかのぼってリスクを把握

人権問題の解決に対する社会の要請が高まる中、当社グループはサプライチェーンも含めた事業活動と関係する人権への負の影響を特定、管理し、予防・軽減措置をとる「人権デューデリジェンス」の取り組みも進めています。2018年にラオスのコーヒーサプライヤー、2021年には中国の大豆サプライヤーにて人権デューデリジェンスを実施しました。

  • 中国の大豆は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりオンラインで実施。

当社グループでは、人権デューデリジェンス実施に当たり、まずは自社サプライチェーンでのリスクを評価し、リスク領域の特定を行います。その後、リスクの高いサプライチェーンの1次サプライヤーに協力いただき、さらに上流のサプライヤーへ対象を広げていきます。ここでは当社グループからではなく、1次サプライヤーから上流のサプライヤーに趣旨やアンケート調査について説明していただき、確認するポイントを絞り込んでから実地監査に臨みます。必要に応じてNGOなどの第三者機関にも参画いただくことで、より透明性・公平性の高い評価を実現しています。

今回、「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」の制定に伴い、私たちが調達している農産物および農産物加工品のリスク評価を改めて実施しました。リスク評価に当たっては、企業におけるグローバルサプライチェーンの倫理的な取引の推進を目指すNPO「Sedex(Supplier Ethical Data Exchange)」が提供する評価ツールを用い、外部の専門機関の助言も受けながら、①調達国の人権リスク②事業への影響度の2軸で、人権デューデリジェンス実施先の優先順位付けを行いました。

このリスク評価結果に基づき、2022年中計においては、キリンビバレッジの主力ブランド「午後の紅茶」に使用されているスリランカの紅茶葉と、メルシャンのワインに使用されているアルゼンチンのぶどうのサプライチェーンなどに対して人権デューデリジェンスを実施することを計画しています。今後、この取り組みについてステークホルダーの皆様へ開示するとともに、発見された人権課題に対しては、社内外関係者と協力しながら解決を図っていきます。

  • ラオス現地サプライヤーへのインタビュー

  • コーヒーチェリーの摘み取り作業の確認

プロフィール

宮森 功治

キリンホールディングス株式会社 
調達部 主査
医薬事業、食品事業を経て、2013年から調達部にて酒類・飲料事業の原料調達を担当し、現在は調達部企画グループのリーダーとして、キリングループの持続可能な調達推進業務を担当している。

※所属(内容)は掲載当時のものになります。

価値創造モデル

私たちキリングループは、新しい価値の創造を通じて社会課題を解決し、
「よろこびがつなぐ世界」を目指しています。

価値創造モデルは、キリングループの社会と価値を共創し持続的に成長するための仕組みであり、
持続的に循環することで事業成長と社会への価値提供が増幅していく構造を示しています。
この循環をより発展させ続けることで、お客様の幸せに貢献したいと考えています。