ベトナムの小規模コーヒー農園を訪問し、現地の状況を確認しました

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2022年11月28日

キリンは2020年から、ベトナムの小規模コーヒー農園に対して、自然と作り手を守りながら、より持続可能な農法に取り組むと認められた農園に与えられるレインフォレスト・アライアンス認証を取得する支援を開始しました。これは、2013年からスリランカの紅茶農園に対して行ってきた支援を、ベトナムのコーヒー農園にも拡大したものです。しかし、支援開始直後の20年春から、新型コロナウイルス(COVID19)の世界的な感染拡大により、現地訪問が難しい日々が続きました。この度、ベトナムおよび日本における渡航制限がほぼ撤廃されたのを機に、10月下旬にようやく現地を訪問することができました。
訪れたのは、ベトナムの中南部の都市でラムドン省の省都ダラットです。標高1,500mにある滝や湖などもある古くからの美しい避暑地で、現地ではハネムーンシティーと呼ばれているそうです。この高原の気候がコーヒー栽培に向いているということで、ベトナム有数のコーヒー生産地となっています。今回は、小規模コーヒー農園(アラビカ種4カ所、ロブスタ種2カ所)及びレインフォレスト・アライアンス認証取得支援のパートナーであるコーヒーサプライヤーを訪問しました。

小規模コーヒー農園の認証取得支援

アラビカ種及びロブスタ種の農園における認証取得は、現地のレインフォレスト・アライアンスのトレーナーが、世界的なコーヒーサプライヤー企業のベトナム・オフィスにいるサステナビリティチームの協力を得て実施してきました。
支援している小規模コーヒー農園の平均的な広さは2ha。今回は1~4.5haの農地を有する農家を訪問してきました。
アラビカ種はコーヒーらしい香り豊かな品種で、カフェなどで飲むコーヒーの多くがアラビカ種です。高地での栽培に適し、現地では1haあたり5000本のコーヒーの木が植えられています。病気に弱いために栽培に手間がかかり、収穫時は手で熟した果実を採取する必要があり、かなりの重労働です。アラビカ種は、ベトナムで収穫されるコーヒー豆の5%程度で、その多くが輸出されています。収穫したコーヒーの果実は、農家がそのままコレクターと呼ばれる人たちに販売し、コーヒーサプライヤーが加工をして輸出します。
ロブスタ種は苦みが強く、低地でも栽培が可能で病気にも強い特徴があり、缶コーヒーやインスタントコーヒーに広く使われています。ベトナムでは低地の平らな土地で栽培されており、1haあたり1,000本が栽培され、アラビカ種に比べてゆとりをもって栽培されていました。ロブスタ種は1本の大きさがアラビカ種に比べて大きくなることが栽培密度の差になっているとのことでした。また、収穫は木の下に敷いたシートに熟した果実を落とし、農家が天日干ししてコーヒー果実から、周りの果肉をとってから、コレクターに販売しています。
このように、コーヒー豆の品種によって栽培方法や収穫、コレクターへの販売方法まで異なることがわかりました。双方が抱える課題として化学肥料の高騰が挙げられ、小農園の収益を大きく圧迫しているようでした。ロブスタ種を栽培する農家の一部では、有機肥料を活用していました。有機肥料は化学肥料よりも安く、良いコーヒー豆が収穫できるとのことですが、土の中に漉き込むスペースが必要であり、且つ、その作業のために人を雇う必要があります。そのため、密集してコーヒーの樹を植えているアラビカ種を栽培する農家では対応が難しそうでした。レインフォレスト・アライアンス認証取得支援の中では有機肥料活用のトレーニングなどを実施していることから、これらの課題解決に寄与できる可能性があるように見えました。

アラビカ種の農園と農家の皆さん

ロブスタ種の農園と農家の皆さん

活動パートナー企業

今回訪問した小規模農家は、認証取得支援のパートナーであるコーヒーサプライヤー企業に豆を販売しています。この企業は世界的なコーヒー豆のサプライヤーであり、世界の主要なコーヒー豆生産地に事務所を構え、サスティナビリティーに配慮した持続可能なコーヒー栽培に取り組んでいます。ベトナムにおいても、収集したコーヒー豆の品質が損なわれないように管理・保管し、顧客の要望に応じて輸出しているとのことでした。アラビカ種に関しては熟成させた豆の輸出を行うなど、ベトナムのコーヒー豆の付加価値の向上にも熱心です。コーヒーサプライヤー企業も、認証農園産コーヒー調達のためのレインフォレスト・アライアンス認証をはじめとした様々な認証を取得しており、認証制度にも理解があります。引き続きキリンとともに認証取得支援の活動に関して協力してくれることを約束してくれました。

ベトナムのコーヒー小規模農園への支援は、新型コロナウイルスの感染拡大で余りトレーニングが行えない時期が続いたために、認証支援は始まったばかりと言って良い状況です。キリンは、今回の訪問を最初の一歩と考え、現地訪問を継続し、現地の小農園の状況、サプライヤーやレインフォレスト・アライアンスのトレーナーの現地での支援活動の状況などを把握し、現地の課題解決に取り組み、ベトナムの小規模農園における環境と社会の両面で持続的な産業の継続を進めたいと思っています。

※所属(内容)は掲載当時のものになります。

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