免疫ケアの習慣を広げ、お客様の「健幸」に貢献する

  • 健康

2023年06月05日

  • 免疫ケアの習慣を広げ、お客様の「健幸」に貢献する

  • 関連する持続的成長のための経営諸課題 ・免疫機能の維持支援 SDGsゴール 2 3 9

  • 関連する持続的成長のための経営諸課題 ・免疫機能の維持支援 SDGsゴール 2 3 9

当社は、長期経営構想キリングループ・ビジョン2027(KV2027)において、食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業になることを目標に掲げました。このKV2027の目標達成のために、ヘルスサイエンス領域の規模拡大を図っており、中でも「免疫」は最重点領域と位置付けています。

「免疫」は健康な生活を送るためになくてはならない機能であり、人間にとって「健康の土台」ともいえるもので、土台が崩れると、さまざまな健康課題が生じてしまいます。一方で、免疫は機能低下を自覚しにくいため、その対策への遅れは大きな健康課題の一つです。この課題を解決することは、社会的に大きな意義があると考えています。

免疫の司令塔に働き掛けるプラズマ乳酸菌を、世界で初めて発見

当社は免疫の研究に取り組む中で、これまでないとされていた免疫の司令塔を活性化するプラズマ乳酸菌を世界で初めて発見し、2012年に論文発表しました。ヒト試験を含む全31報もの膨大なプラズマ乳酸菌に関する論文というエビデンスをこれまでに積み重ねてきました。その実績を生かして、2020年8月にプラズマ乳酸菌を用いた「iMUSE」ブランドにおいて、日本の歴史上で初めて免疫の機能性表示食品の届出公表がなされました。プラズマ乳酸菌は、健康な人の免疫の維持をサポートする乳酸菌であり、世界で初めてpDC(プラズマサイトイド樹状細胞)に働き掛けることが論文で報告されています。そのメカニズムは、一般的な乳酸菌は一部の免疫細胞のみを活性化する一方、プラズマ乳酸菌は「免疫の司令塔」である「pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)」を直接活性化することができます。そして活性化された司令塔の指示・命令により、免疫細胞全体(NK細胞、キラーT細胞、B細胞、ヘルパーT細胞)が活性化され、外敵に対する防御システムが機能します。

また、一般的な乳酸菌と異なり、菌が生きた状態ではない「非生菌」の状態でも効果があるため、さまざまな食材に活用しやすいのが特長です。そのため当社は、生菌を使用するヨーグルト以外にも、グループ企業、そしてパートナー企業の皆様と飲料、サプリメント、お菓子などさまざまな商品開発を進め、多くのお客様にプラズマ乳酸菌の価値をお届けしてきました。

  • ヒトでpDCに働き掛けることが世界で初めて論文報告された乳酸菌(PubMedおよび医中誌Webの掲載情報に基づく)

国内外で広がりを見せるプラズマ乳酸菌

プラズマ乳酸菌を配合したキリングループ商品(機能性表示食品)は、2022年末には26商品まで拡大しました(2021年末時点は17商品)。プラズマ乳酸菌関連商品の2022年の売上金額は、飲料、サプリメント、ヨーグルトの拡大が大きく寄与し、前年比4割増と大きく成長させることができました。

機能性表示食品のパートナー企業様については6企業様に拡大、商品数も12品にまで拡大しました(2021年末時点は3企業様、7商品)。2022年には、株式会社⽇本薬健様、大正製薬株式会社様、常盤薬品工業株式会社様と新たに協働し、各社様から免疫機能の機能性表示食品を5商品発売しました。商品自体のおいしさと、幅広いラインアップにて、手軽にプラズマ乳酸菌を摂取できることを評価いただき、「免疫ケア」習慣の定着や、プラズマ乳酸菌ラインアップの売り上げ拡大を後押ししました。

また、非機能性表示食品では、株式会社ペティオ様からペット用スナックを新たに27品発売いただくことで、計37品に拡大いただきました(2021年末時点は10品)。ペットカテゴリーにおいてもお客様からのニーズが高まる「免疫ケア」の普及に向けて、ご尽力いただいています。

また、プラズマ乳酸菌の菌体販売については、海外にまで広がりを見せています。米国では現在7社9商品、欧州ではイタリアなどで採用され拡大を見せています。海外に関しては、北米と東南アジアを優先ターゲット市場としていますが、東南アジアに関しては、プラズマ乳酸菌のハラル認証取得により、信仰上の理由でプラズマ乳酸菌を提供できなかった各地域に向けての拡販も目指しています(ハラル対応原料については、2023年中に外販を予定)。

免疫ケアの啓発活動と商品ラインアップ拡大に注力

当社の調査では、約85%のお客様が「免疫は健康のために必要だ」という意識をもっていることが分かりました。その一方で、実際に免疫ケアの習慣があると回答した方は、全体の10%程度にとどまり、意識と行動の間に大きなギャップが見て取れます。

これは、免疫は自覚しにくい機能のためケアの必要性を感じにくく、行動のハードルが高いことなどが要因だと分析していますが、健康の土台である免疫ケアの習慣化を進めるために、当社グループとパートナー企業様が一体となり、粘り強く「啓発活動」に取り組んでいきます。この「啓発活動」は、極めて重要であり、社会的意義のある取り組みだと考えています。また、「商品を通じて気軽に、そして習慣的に免疫ケアできる環境を整える」ために、商品ラインアップ拡大にも取り組んでいきます。

① 啓発活動について

免疫ケアの啓発活動については、私たちはこれまでも、お客様のニーズに基づいたマーケティング戦略を展開してきましたが、これからは商品や自社情報中心ではなく、社会課題に重きを置いた戦略にシフトします。国や行政、そしてさまざまな企業・団体様、学校現場などとともに、「免疫ケア」の必要性を啓発することで、その浸透を加速度的に高めていきます。

具体的な新たな取り組みとして、2022年冬季に国内の複数の観光団体と連携し、旅行シーンでの安全・安心な免疫ケアを推進しました。また免疫ケア啓発の中長期的な取り組みとして、小学生を対象に、免疫に関する知識を強化するために、学校での免疫授業を継続展開していきます。

そして免疫ケアの必要性をお客様に感じていただくためには、科学的な裏付けが重要だと考えています。プラズマ乳酸菌は数多くの学術論文でその確からしさが示されていますが、今後さらなる研究に取り組み、科学的エビデンスを積み重ねていくことで、お客様からの信頼獲得につなげていきます。

このような啓発活動の結果、2022年末時点でプラズマ乳酸菌の機能認知率は32%、継続摂取人数は64万人へと向上しました。

② 商品ラインアップ拡大について

免疫ケアの必要性啓発とともに、より気軽に、習慣的に免疫ケアができる商品ラインアップを拡大すべく、当社グループならびにパートナー企業様からもさまざまなカテゴリーで商品を展開していきます。また、海外での菌体販売についても、展開エリアを拡大していきます。

今後の国内外の市場拡大見込みを受け、「生産体制」も強化していきます。プラズマ乳酸菌の菌体を製造する自社工場で、菌体製造に必要な培養タンクや遠心分離機などを増設しており、菌体の年間製造能力は、2023年に現在の約2倍となる28トンとなります。

今後も国内外で、当社グループおよびパートナー企業様が連携し、プラズマ乳酸菌の拡大・普及を加速させていきます。

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パートナー企業様とともに免疫ケア習慣を広げ、心豊かな生活を実現する

前述の通り、プラズマ乳酸菌関連商品の2022年の売上金額は前年比4割増と大きく成長させることができました。一方で、素晴らしい技術と素材をもっていても、当社グループのみでの展開だけでは、お客様に価値を届けられる範囲には限界があります。私たちは健康課題解決について志を同じくする各業界のパートナー企業の皆様とタッグを組み、多彩なプラズマ乳酸菌商品を展開し、選択肢と接点を増やし続けることで、お客様にとって免疫ケアをより身近な習慣にしていきたいと考えています。今後も、パートナー企業の皆様とともに免疫ケア習慣を広げていくことで、心も体も健康な社会づくりに貢献します。

当社とパートナー企業様との取り組みは、単なるプラズマ乳酸菌の菌体を売買することにとどまりません。免疫ケア習慣につながる魅力的な商品をお客様に届けるために、パートナー企業様の商品企画段階においても、当社ヘルスサイエンス研究所が技術的観点などでの助言や、機能性表示の届出のサポートを行わさせていただいており、協働して商品開発が行われます。このような学術的、技術的な知見のご提供ができることも当社の強みであり、パートナー企業様との連帯を一層強化できる背景となっています。

今後も当社グループならびにパートナー企業様から、科学のエビデンスに裏打ちされた魅力的な商品をご提案し、啓発活動と合わせて「免疫ケア」の習慣化を促進していきます。特にパートナー企業様とは、学術・研究からマーケティングに至るまでの一貫した連携により、一体となって健康課題を解決していきます。

免疫は、人間が元来もっている健康の土台となる力です。「免疫ケア」の習慣化を広げていくことにより、人間が元来もっている力を高め、人生100年時代における生きるよろこびと、心豊かな生活の実現に貢献していきたいと考えています。そして、それはまさにお客様お一人お一人の「健幸」に貢献することであると考えています。

プロフィール

藤田 智彦

キリンホールディングス
ヘルスサイエンス事業本部 ヘルスサイエンス事業部 企画グループ 主務
キリンビール入社。国内外での営業およびマーケティング担当を経て、2021年にキリンホールディングスのヘルスサイエンス事業部に社内公募にて異動。現在はプラズマ乳酸菌をはじめとする免疫素材の拡大戦略担当として、パートナー企業様とのコラボレーションを推進している。

※所属(内容)は掲載当時のものになります。

価値創造モデル

私たちキリングループは、新しい価値の創造を通じて社会課題を解決し、
「よろこびがつなぐ世界」を目指しています。

価値創造モデルは、キリングループの社会と価値を共創し持続的に成長するための仕組みであり、
持続的に循環することで事業成長と社会への価値提供が増幅していく構造を示しています。
この循環をより発展させ続けることで、お客様の幸せに貢献したいと考えています。