人権の尊重

バリューチェーン全体で人権課題の予防と是正に取り組み、ビジネスパートナーと共に安心・安全な労働環境をつくっていくと同時に、グループ全体で人権意識の向上に努め、従業員の人権尊重に向けた取り組みを推進していきます。

キリングループでは、人権についての活動方針を定め、その遵守に努めています。
従業員に人権尊重の考え方を徹底し、グループ全体の人権意識の向上をはかる取り組みを行っています。

方針・戦略

人事総務戦略担当役員メッセージ

キリングループでは、独自に定めている「キリングループ・コンプライアンス・ポリシー」をベースに、従来より従業員の人権への意識を高めるとともに、人権を守るための活動を行ってきました。またビジネスにおける人権取り組みへの要請が国際的に高まるなか、「国連ビジネスと人権指導原則」に則り、2018年2月には「キリングループ人権方針」を制定しています。
この「キリングループ人権方針」にも掲げる通り、人権尊重は経営の土台であると私たちは考えています。事業活動は、グループの全従業員、お客様やコミュニティ、ビジネスパートナーなどあらゆるステークホルダーと深く関わります。これら事業活動を通じた人権への影響を鑑み、キリングループでは、研究開発、原材料調達から、商品・サービスの製造・販売を含むバリューチェーンのプロセスにおいても、本方針に基づいた人権取り組みを推進していきます。

近年、経営を取り巻く環境変化はますます加速し、複雑になってきています。地政学リスクの高まりなど、新たな人権リスクも顕在化しています。人権リスクが経営に及ぼす影響が以前にも増して大きくなっていることはいうまでもなく、キリングループがグローバルに事業を展開する中でも、これまで以上にきめ細かく、人権リスクに適切に対応していく必要があります。

CSV経営を掲げるキリングループは、今後も、国際基準に則った人権デューデリジェンスを含め、「キリングループ人権方針」に掲げている事項を確実に実践するとともに、これらを推進する体制も強化します。
また、ステークホルダーの皆様への適切な情報開示と対話を通じて、取り組みを継続的に進化させ、新たな人権課題の発見や課題解決につなげていきます。

  • 常務執行役員
    人事総務戦略
    坪井 純子

キリングループ人権方針

キリングループは、時代とともにビールから様々な酒類、飲料、食品、そして先進医薬へと事業領域を広げ、また活動の場も日本から世界に展開してきました。私たちのあらゆる事業活動の土台となるのが人権の尊重です。それぞれの国・事業での活動全般に渡って関係する様々な人権課題について理解を深め、適切な行動をとっていくことが企業に求められています。私たちは、本キリングループ人権方針に基づき活動していきます。

キリングループ人権方針は、キリングループ(キリンホールディングス株式会社及びその連結子会社)のすべての役員と、パートタイマー・契約社員・派遣社員を含む全従業員に適用します。キリンホールディングス人事戦略執行役員が、本方針の運用の責任を担います。

全てのビジネスパートナーにおかれましては、本方針を支持いただけることを期待しています。
また、キリングループは、サプライヤーに対し、本方針をご理解頂くことに努め、遵守を期待します。

本方針は、キリングループの事業活動における人権尊重への取り組みに関するすべての文書・規範の上位方針として位置付けます。

1. 人権尊重の実践

キリングループは、研究・開発、原材料の調達から、商品・サービスの消費・利用を含むバリューチェーンの各プロセスにおいて、私たちのビジネスが、直接または間接的に人権に影響を及ぼす可能性があることを理解しています。私たちは、「国際人権章典※1」及び国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言※2」に規定された人権を尊重していくことをお約束するとともに、「国連ビジネスと人権に関する指導原則※3」を支持し、実践に向け取り組みます。キリンホールディングス株式会社は、「国連グローバル・コンパクト」に署名しています。

  1. 「国際人権章典」は、「世界人権宣言」、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」という3つの文書の総称です。「国際人権章典」は、現在、国際的に認められた人権保障の基本的な枠組みとされています。
  2. 「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」には、「結社の自由及び団体交渉権」、「強制労働の禁止」、「児童労働の実効的な廃止」、「雇用及び職業における差別の排除」が謳われています。
  3. 「国連ビジネスと人権に関する指導原則」は、2011年に国連人権理事会によって承認されました。国家及び企業に対して、企業活動に関係する人権面での負の影響が発生するリスクの防止及び対処を求める権威ある国際規準となっています。

キリングループは、事業活動において各国における法規制を遵守します。万が一、当該国の法規制と国際的な人権規範が異なる場合は、より高い基準に従い、相反する場合には、国際的に認められた人権を最大限尊重する方法を追求します。

2. 私たちのステークホルダーと人権

キリングループは、人権への負の影響について、影響を受ける方々の視点から理解することの重要性を認識しています。

キリングループは、人種、民族、国籍、社会的身分、門地、性別、障害の有無、健康状態、思想・信条、性的指向・性自認及び職種や雇用形態の違い等に基づくあらゆる差別の禁止、ハラスメントの禁止、安全な労働環境の提供、最低賃金の確保、適正な労働時間管理を含む責任ある労働慣行、結社の自由と団体交渉権の尊重をお約束します。

キリングループは、どのような形態の人身取引を含む奴隷労働や強制労働、児童労働も認めません。

キリングループは、私たちの事業の影響を受ける先住民族を含む地域社会の皆様に対して、私たちの責任を果たしていくことに努めます。

3. 人権デューデリジェンスの実施

キリングループは、ビジネスと人権に関する国連指導原則に従って、キリングループの事業と関係する人権に対する負の影響を特定し、予防、軽減する取組みを進めてまいります。人権デューデリジェンスによって、人権に負の影響を引き起こしたり、助長したことが明らかになった場合には、適切かつ効果的な救済措置を講じるよう努めます。また、取引関係によって私たちの商品・サービスが人権への負の影響に直接関係している場合には、是正に向けた役割を果たすことがあることも認識しています。キリングループの取組みに優先順位をつける必要がある場合には、規模、範囲、是正困難性を鑑み、人権に対する最も深刻な負の影響に対処することを優先します。

キリングループには、事業活動に関する懸念を通報できるホットラインがあります。私たちは、実効性の有る通報対応の仕組みづくりを継続します。

キリングループは、役員及び従業員に対して、本方針の実践に必要な教育及び能力開発を行っていきます。

キリングループは、人権への負の影響を特定し対処する取り組みの進捗状況について、キリンホールディングスのウェブサイトや統合報告書等で、定期的に公開をしていきます。

本方針は、ステークホルダーからの意見を踏まえて策定されました。今後もキリングループに関連する人権課題について、継続的にステークホルダーとの対話を行い、人権尊重への取組みを進化させていきます。

制定:2018年2月9日

キリンホールディングス株式会社
代表取締役社長

Yoshinori Isozaki

これまでの歩み

取り組み概要 詳細ページ
2013 スリランカの紅茶農園に対して、茶摘みさんの労働条件や生活環境の向上など人権に関する項目が審査の対象となる「レインフォレスト・アライアンス認証」の取得支援を開始 紅茶農園
2015 キリングループの「持続的成長のための経営諸課題(グループ・マテリアリティ・マトリックス:GMM)」の一つとして、“人権”を選定 持続的成長のための経営諸課題(グループ・マテリアリティ・マトリックス)
2017 国連グローバルコンパクトの定める「人権」、「労働」、「環境」、「腐敗防止」分野における一連の本質的価値観を容認し、支持し、実行に移していくことを宣言した「キリングループ持続可能な調達方針」を制定 持続可能な調達の考え方
2018 国連人権理事会で承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」に則したかたちで「キリングループ人権方針」を制定 キリングループ人権方針
「ビジネスと人権に関する指導原則」および「キリングループ人権方針」に則り、人権デューデリジェンスを開始 人権デューデリジェンスの実施
2020 グループCSV委員会において、“サプライチェーンにおける人権への対応”に関する意見交換を実施し、BSRを外部アドバイザーとした人権プロジェクトを立ち上げ、人権中長期戦略を策定 グループCSV委員会
2021 人権中長期戦略の進捗状況をモニタリングし、方針・戦略・計画を意見交換するため、人事総務戦略担当役員を議長とする「グループ人権会議」を設置 サステナビリティ課題別会議開催報告
ビジネスパートナーであるサプライヤーとともに、社会の要請や期待に応え、事業を通じてさまざまな価値を創出し続けるために、「キリングループ持続可能な調達方針」のもと、サプライヤーに遵守いただきたいことをまとめた「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」を制定 持続可能な調達の考え方
2022 グローバルサプライチェーンにおける人権や環境課題へのリスクマネジメント強化を図るためSedexに加入 持続可能な調達推進に向けた取り組み