持続可能な生物資源の利用紅茶農園

レインフォレスト・アライアンス認証取得支援

キリングループは、2013年からスリランカの紅茶農園へのレインフォレスト・アライアンス認証取得支援を行っています。2021年末でスリランカの認証取得済み紅茶大農園の約30%に相当する累計94農園が支援によって認証を取得し、2021年8月には認証農園の茶葉を使った通年商品の販売も開始しました。

茶葉依存度の高いスリランカ

国内紅茶市場で約5割※1のシェアを占める日本の紅茶飲料No.1ブランドである「キリン 午後の紅茶」は、発売当時から主要な原料としてスリランカの紅茶葉を使っています。2011年に生物多様性リスク評価を行った時点では、日本が輸入するスリランカ産紅茶葉のうち約25%※2が「キリン 午後の紅茶」に使われていました。依存度が高いというリスクを低減するために、認証農園の茶葉を購入することをも検討しましたが、当時スリランカは内戦直後であり独力でトレーニングを受けることのできる農園が限られていることが分かりました。そこで、このような農園を取り残すのではなく、生産地やそこで働く人々とのより良いパートナーシップを築き、おいしく安心できる紅茶飲料をつくり続けていくために、スリランカの紅茶農園に対して認証取得支援を行うことで生産地全体の持続性にポジティブインパクトを生み出すことにしました。

  1. 株式会社食品マーケティング研究所調べ 2021年実績
  2. 日本紅茶協会2011年紅茶統計より
  3. 自然と作り手を守りながら、より持続可能な農法に取り組むと認められた農園に与えられる認証
    https://www.rainforest-alliance.org/lang/ja

トレーニング内容

レインフォレスト・アライアンス認証には、「環境」「社会」「経済」の3つの柱があります。
「環境」の側面では、森林保全や野生生物の調査・保護、ゴミの分別やリサイクルなどを行うように指導されます。
「社会」の側面では、茶摘みさんの労働条件や生活環境の向上など人権に関する項目が審査の対象となります。認証を取得した農園は、農園内の診療所の設置や、茶摘みさんへの住居の提供など、農園労働者の生活向上に取り組みます。
「経済」の側面では、農業技術そのものについてもトレーニングが行われます。途上国の農家では一般的に、農業の知識やスキルの低さ、農薬・肥料の過剰使用などの問題を抱えています。トレーニングでは、農薬や肥料の使用量を抑えながら収量を上げる科学的な方法を指導することで、森林を守るだけではなく、支出が減り農園の収益も向上し、茶葉の安全性も高まります。
スリランカでは気候変動の影響を大きく受けて、干ばつと大雨が頻発しています。都市化や工業化、不適切な農業により土壌の侵食や流出も大きな問題となっています。紅茶農園は、日当たりの良い急峻な斜面にあることが多いため、大雨が降ると肥沃な土壌が流出するだけではなく、地滑りが発生して農園に住んでいる人々の命が失われる例もでてきています。トレーニングでは茶の栽培に悪い影響のある草を見分ける方法を教え、茶園の地面が根の深い良い草だけで覆われるように指導します。
この施策は、大雨では地面に直接雨が当たらないようにすることで地滑りの防止や、渇水時の保水効果など、気候変動への適応としても有効です。

  1. 小農園の目標は2022年から2024年の累計で5,350農園でしたが、2021年は新型コロナウイルス感染拡大による厳格な外出禁止等の影響によりトレーナーが農園を訪問することが難しく、小農園ではトレーニングが実施できませんでした。

認証取得による社会・経済的インパクト

下の図は、スリランカでレインフォレスト・アライアンス認証を取得したある農園で、その社会的インパクトを試算した結果です。特定の農園のデータですが、認証取得支援が、農園と農園労働者に対して財務的にも社会的にもポジティブなインパクトを与え、原料生産地をより持続可能にしていると言えそうです。
より持続性を高めるために、認証基準を超えた取り組みとして、一部の農園では収量を大幅に増やすための研究や無農薬栽培への挑戦を行っており、キリンが提供するトレーニング費用の一部が使用されています。

小農園への認証取得支援

2018年からは小農園の認証取得支援を開始し、2025年までに10,000の小農園に認証取得支援を行う予定です。
スリランカには家族経営の小農園が多数あり、その数は数十万といわれています。小農園で生産された紅茶葉は国の資格を有するコレクターによって集められ、近くの大農園に売却され、その工場で加工され出荷されます。大農園によっては、工場で加工する茶葉の半分以上を小農園に依存している場合があり、紅茶葉の持続可能性のためには小農園の認証取得も必要であると判断しました。
小農園の認証取得では、複数の小農園を組織化してチームを作りリーダーを決めます。現地のトレーナーが最初にリーダーを教育し、このリーダーがチームの小農園を教育して認証基準を習得していきます。多くの場合、指導員の派遣や研修室の開放など、大農園による全面的な協力が得られていますが、小農園の組織化から始める必要があるため、実際のトレーニングを開始するまでには時間が掛かる場合が多く、大農園の認証取得に比べると難易度は高いと言えます。

※ 上記情報は「キリングループ環境報告書2022」の開示内容を転載したものであり2022年6月末現在の情報です。