持続可能な生物資源の利用ホップ畑
ホップ畑生態系調査
2014年から、遠野市の契約農家のホップ畑で生きもの調査を行い、2015年には昆虫類104種、鳥類19種を確認しました。多くの生きものが存在する理由は、5mの高さにまで伸びるホップを風の影響から守る防風林の存在にあります。
2020年の秋にはキリンビールが出資している農業法人のBEEREXPERIENCEの新しい遠野市のホップ畑の植生調査を実施したところ、環境省のレッドデータブックで「準絶滅危惧(NT)」に指定されている「ナガミノツルキケマン」や岩手県の「準絶滅危惧種」の「オニルリソウ」が見つかりました。2021年春の調査では、岩手県の「絶滅危惧種Ⅱ」の「フクジュソウ」、同じく岩手県の「準絶滅危惧種」の「ヒメイチゲ」「レンプクソウ」が見つかりました。このホップ畑の横には、近くの田んぼや畑の用水路に流れ込んでいる小川があり、林に囲まれ湿り気のある土壌が保たれています。
ホップ畑は毎年耕耘するので畑自体に植生を豊かにする機能はありません。しかし、ホップを栽培するために防風林を作り維持してきたことや、ホップ畑が里地里山の豊かな生態系システムの1つとして機能し続けることが、植生の豊かさに寄与していると言えそうです。
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防風林や地面の乾燥を防ぐための下草に多様な生きものが生息
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ナガミノツルキケマン
環境省レッドリストの準絶滅危惧(NT)
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オニルリソウ
岩手県レッドリストの準絶滅危惧種
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フクジュソウ
岩手県レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類
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レンプクソウ
岩手県レッドリストの準絶滅危惧種