3.3 生物資源の取り組み紅茶農園

レインフォレスト・アライアンス認証取得支援

キリングループは、2013年からスリランカの紅茶農園へのレインフォレスト・アライアンス認証取得支援を開始し、2020年末でスリランカの認証取得済み紅茶大農園の約30%に相当する累計93農園が支援によって認証を取得しました。
1年間で約11.7億本※1を販売し、紅茶市場で約5割※2のシェアを占める日本の紅茶飲料No.1ブランドである「キリン 午後の紅茶」は、35年前の発売当時からスリランカの農園でつくられた紅茶葉を原料として使っています。2011年に生物多様性リスク評価を行った時点では、日本が輸入するスリランカ産紅茶葉のうち約25%※3が「キリン 午後の紅茶」に使われていました。生産地やそこで働く人々とのより良いパートナーシップを築き、おいしくて安心できる紅茶飲料をつくり続けていくために、原料依存度が高いスリランカで継続的に支援しています。

  1. 2020年実績
  2. 株式会社食品マーケティング研究所調べ 2020年実績
  3. 日本紅茶協会2011年紅茶統計より
  • グラフ:日本が輸入する紅茶葉の産地の割合

  • グラフ:スリランカ全体の認証取得済み大農園のうちキリングループの支援で取得した割合、グラフ:認証取得支援小農園数目標10,000農園(2025年)

  • 左からトレーナーのGiri氏、農園マネージャー、小農園主、現地確認

認証茶葉を使用した商品

2021年8月3日より、スリランカ産レインフォレスト・アライアンス認証茶葉を90%以上使用して認証ラベルを付けた「キリン 午後の紅茶 ストレートティー 250mlLLスリム」紙パックの通年販売を開始しています。持続可能な紅茶葉生産のために努力をしている農園の方々の想いを伝えるとともに、環境・人権面で安心できる飲み物を求めるお客様の期待に応えていきます。

トレーニング内容

レインフォレスト・アライアンス認証には、「環境」「社会」「経済」の3つの柱があります。
「環境」の側面では、森林保全や野生生物の調査・保護、ゴミの分別やリサイクルなどを行うように指導されます。
「社会」の側面では、茶摘みさんの労働条件や生活環境の向上など人権に関する項目が審査の対象となります。認証を取得した農園では、農園内の診療所の設置や、茶摘みさんへの住居の提供など、農園労働者の生活向上に取り組みます。
「経済」の側面では、農業技術そのものについてもトレーニングが行われます。途上国の農家では、必要以上に農薬や肥料を使用したり、スリランカでは該当しませんが農産物の収量が上がらなくなると隣接の森林を燃やして新しい農地を広げることで貴重な森林が失われることもあります。トレーニングでは、農薬や肥料の使用量を抑えながら収量を上げる科学的な方法を指導することで、森林を守るだけではなく、支出が減ることで農園の収益も向上し、茶葉の安全性も高まります。スリランカでは近年、気候変動の影響を大きく受けて干ばつと大雨が頻発しています。紅茶農園は、日当たりの良い急峻な斜面にあることが多いため、大雨が降ると肥沃な土壌が流出するだけではなく、地滑りが発生して農園に住んでいる人々の命が失われる例もでてきています。そこで、トレーニングでは茶の木にとって良い草と悪い草を見分ける方法を教え、茶園の地面が根の深い良い草だけで覆われるように指導します。この取り組みは、大雨では地面に直接雨が当たらないようにすることで地滑りを防ぎ、渇水時には保水効果もあり、気候変動への適応としても有効な施策となっています。
2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大によりスリランカでも厳格な外出禁止が求められたことから、トレーナーが農園を訪問して認証取得のトレーニングをできた期間は3カ月程度でしたが、感染に十分注意して継続的に取り組みを進めています。

  1. 自然と作り手を守りながら、より持続可能な農産物を実現できると認められた農園に与えられる認証
  • レインフォレスト・アライアンス認証取得支援の仕組みの図

  • 写真:認証取得による改善例

  • 写真:キリンの支援で配布されている研修用ポスターと冊子

認証取得による社会・経済的インパクト

下の図は、スリランカでレインフォレスト・アライアンス認証を取得したある農園で、その社会的インパクトを試算した結果です。特定の農園のデータですが、認証取得支援が、農園と農園労働者に対して財務的にも社会的にもポジティブなインパクトを与えて、原料生産地をより持続可能にしていると言えそうです。より持続性を高めるために、認証基準を超えた取り組みとして、一部の農園では収量を大幅に増やすための研究や無農薬栽培への挑戦を行っており、キリンが提供するトレーニング費用の一部が使用されています。

  • グラフ:レインフォレスト・アライアンス認証取得支援での社会的インパクト 収益性

  • グラフ:レインフォレスト・アライアンス認証取得支援での社会的インパクト 衛生環境

小農園への認証取得支援

2018年からは小農園の認証取得支援を開始し、2020年末で120農園が認証を取得しました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響がありましたが、2020年には約2,000の小農園に対して研修を行いました。2025年までに10,000の小農園に認証取得支援を行う予定です。
スリランカには家族経営の小農園が多数あり、その数は数十万と言われています。小農園で生産された紅茶葉は国の資格を有するコレクターによって集められ、近くの大農園に売却され、その工場での加工後に出荷されます。大農園によっては、工場で加工する茶葉の半数以上を小農園に依存している場合があります。
小農園の認証取得では、複数の小農園を組織化してチームを作りリーダーを決めます。現地のトレーナーが最初にリーダーを教育し、このリーダーがチームの小農園を教育する形で、小農園が認証基準を学び、習得していきます。大農園にとっても小農園の認証取得は自らの工場で加工・出荷する認証茶葉の拡大につながるため、多くの場合は指導員の派遣や研修室の開放など、全面的に協力を得ることができています。ただし、小農園の組織化から取り組みを始める必要があるため、実際のトレーニングを開始するまでに時間が掛かる場合が多く、大農園の認証取得に比べると難易度は高いと言えます。

  • 図:小農園への認証取得支援